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『霧島華音』 ~不思議の依頼お受け致します。~  作者: hermina
第3章 『ヒトを喰うオニ』
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『ヒトを喰うオニ』 其の十

「さって、準備はいいよ。第2ラウンド・・・始めようか?」


私はちらりと香織ちゃんの方を確認し、吸血幼女と対峙する。

花子さんが香織ちゃんの元・・・といっても結界の外だけど・・・にいるのを確認。

このままでは勝てない。チカラが完全に戻った今でも。

でも、香織ちゃんのチカラを借りる事が出来ればあるいは・・・


「なんじゃ、来ないのか?」


吸血幼女は挑発する。

勿論それに乗ることは出来ない。完全な状態でも2発。それはさっきと変わらない。無駄打ちは一切出来ないんだ。


「はぁ・・・もう良い。なんぞ、後ろでこそこそやっておるし・・・時間が欲しいんじゃろう?」

「待ってやるから早うせい・・・」


「え?待ってくれるって・・・??」


「2度は言わん。そっちの巫女を使い物になるようにするのじゃろう?さっさとやるのじゃ。」


吸血幼女の言う事・・・いや、今までの行動は理解しがたい。

ヒトを喰うオニとまで言われ、封印されていた吸血種。吸血種には吸血衝動というモノがある筈。

チカラの差は歴然なのだから、私をさっさと倒して吸血する。其れが出来た筈。

其れをしない。あまつさえ、力が戻るのを待ったり、戦力が増強されるのすら待つ。

ひょっとして・・・この子・・・


「そう・・・なら、少し待っていて?・・・もう少しくらいは楽しませてあげるから。」


「うむ。」


私は吸血幼女に”背”を向けると、香織ちゃんの元に戻る。

花子さんや直弥さん、香織ちゃんの両親が何か言っているようだけど、にっこり笑いながら。

・・・結界で聞こえないしね。


「香織ちゃん。大丈夫?」


「香奈・・・何とかね。」


「花子さんから受け取った?」


「ええ・・・使い方は分からないけど・・・『符』・・・って言うの?コレを数枚。」


花子さんは私の意図を汲み、香織ちゃんが使える武器となりうる符を結界に投げ入れてくれていた。

巫女の『符術』其れを使う為の符。


「今から其れの使い方を教えるから・・・一緒に戦って欲しいの。」


「・・・分かったわ。」


よっこいしょっとなんて言いながら、香織ちゃんは起き上がる。

10代でよっこいしょは無いでしょうに。


「じゃあ、説明するね。」


「あ、うん・・・でも・・・あっちは大丈夫なの??」


見ると吸血幼女は退屈そうに欠伸をしている。


「ああ、大丈夫大丈夫。話はついてるから。」


怪訝そうな顔の香織ちゃんをよそに説明を始める。

封印だけとは言え、一応チカラの使い方を学んでいる香織ちゃん。

直ぐに要領を掴んでくれた。


「えっと・・・」


2枚の符を取り出す香織ちゃん。


「陽・璃符・・・『幻聖杖』!」


無から杖を創造する。『陽花璃ひかり』と呼ばれる『符術』の一つ。

前に私が使った『幻太刀』の杖バージョン・・・しかも聖属性・・・だね。

香織ちゃんの持っていたぬきもその媒体に使う。

創り出されたのは”完全版”の『恋蓮鳳凰かれんほうおう結婚マリッジ

香織ちゃんがオンラインゲームであるFUファンタジーユニヴァースでも愛用し、『黒歴史ノート』でも愛用していた杖。


「でき・・・た・・・」


「やっぱり香織ちゃんにはこの杖だね。」

「イメージだよ、香織ちゃん。この杖は香織ちゃんのチカラを引き出してくれる。『魔術』をイメージして打つんだよ。」


「・・・分かった、やってみる。」


私達は吸血幼女に向き直る。


「今から、私達が出来る最大の攻撃をする。それをどうにか出来たら貴女の勝ち。出来なければ私達の勝ち。」

「・・・それでいいかな?」


「ちょっと、香奈!?何言ってるの?そんな条件・・・」


「うむ、分かったのじゃ。」


「え!?ええ???」


うん、この条件は了承してくれる。

其れは分かっている。


「香織ちゃん。香織ちゃんの最強の魔術・・・あ、火が得意なのは分かってるけど、それ以外で!」


「そうね・・・それならば、光属性ね。」


香織ちゃんはゲームの中では火属性が得意。

だからと言って、他の属性が使えない訳じゃない。と言うか、全属性を使いこなす。


「・・・じゃあ私は風属性・・・かな。」


「まさか、香奈と『合体魔術』が使えるなんてね・・・それも、現実こっちで。」


「あはは、私は盾特化のタンクだからね〜」

「・・・行くよ、香織ちゃん。」


私は魔術の詠唱に入る。香織ちゃんも実際のゲームの呪文を詠唱している。

香織ちゃんは多分詠唱をしなくても打てる・・・筈。でも集中力を高め、イメージをより明確にすることが出来る。

私達が詠唱している間も吸血幼女は待っている。


「おお、凄いぞ、ヒトにしては凄いぞ!」


先程とは違い、楽しそうにニコニコしながら。


「準備・・・いいかな?」


「ええ、いけるわよ。香奈。」


私達は頷き合うと、詠唱していた魔術を放つ!


「『『光風螺旋シャイニングスパイラル』』!!」


フィーーーーン


放たれた光の螺旋は、吸血幼女に一直線。

レーザーとかスパイラルレーザーとかそんな感じ。

迎え撃つ吸血幼女は、避ける気が無いのか、右手を前に突き出して真っ正面から受ける。

バリバリバリっとバリアの様なモノに防がれ、光の螺旋が左右に分かれる。


「「まだ・・・まだぁぁ!!」」


私と香織ちゃんはチカラの全てを振り絞り、光の螺旋を放ち続ける。


「お?おお??おおおお!?」


パリーン!


ガラスでも割れたかの様な音共に、吸血幼女を守っていたバリアの様なモノは消滅し、光の螺旋は吸血幼女を飲み込んだ。




−−−−−−−−−−




基本的に1週間に1回の更新になります。

次回更新は10月30日の14時30分頃になります。


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