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『霧島華音』 ~不思議の依頼お受け致します。~  作者: hermina
第3章 『ヒトを喰うオニ』
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『ヒトを喰うオニ』 其の九

「し・・・そ・・・って・・・」


ごほっ・・・


吸血種の多くは吸血種によって吸血種にされた『死徒』と呼ばれるモノ。

だったらその大元は??それが『始祖』。

始祖は”生まれながら”にして吸血種だったモノ。吸血種された死徒とは違い”劣化”していない。

つまり、天災級のバケモノだ。”今の私”に勝てる筈は無い。


「香奈!」


香織ちゃんが私に駆け寄る。

大丈夫・・・大丈夫だよ・・・香織ちゃん。

私は痛む体を・・・無理をしてでも立たせる。


「む・・・?お前、何故其処までのダメージを負った?お前位のチカラがあれば、大丈夫な位に調整したぞ??」


調整って・・・何処まで余裕があるのよ、あの吸血幼女は・・・


「そういえば、先程までのチカラはどうした?もう、チカラは殆ど感じないぞ??」

「・・・そうか、お前のチカラ・・・其れは”借り物”じゃな?しかも、この場では本領を発揮できんとみる。」

「ならば、そのチカラの持ち主と遊んで貰おう。」


言うと吸血幼女は、うーんっと何かを探っているよう。

まさか、華音さんの所に行く気なの!?


「駄目・・・させない。」


ごほっ・・・ごほッ


私は咳込み・・・吐血し膝をつく。

そんな私を見た香織ちゃんは庇うように前に出た。


「あんた!私がメインディッシュなんでしょう?つ、次は私の番よ!」


震えている。それでも香織ちゃんは私の前から動こうとしない。

駄目・・・香織ちゃん・・・だって、香織ちゃん”封印”以外教わってないんだよ!?せめて巫女のチカラである『巫術』さえ使えれば・・・いや、それでも駄目あの吸血幼女には勝てない。


「む、そうじゃった。」

「楽しそうな遊び相手が居そうな気がして忘れてたよ。」


ひゅんっ


吸血幼女は一瞬で間合いを詰める。


「攻撃してみるがよい。」


「や、やあぁぁぁぁ!!」


香織ちゃんはぬきを振りかぶり殴りかかる。


ぺし。


・・・唯殴りかかっただけ、当然が如く受けられ、そのまま反撃とばかりに軽く手を振るわれると数メートルは吹き飛ばされた。


「潜在能力はあるようじゃが・・・全く使えんのじゃな。」


「まだ・・・まだよ!」


やぁぁぁぁぁっと立ち上がった香織ちゃんは再びぬきを振るう。今度は連続で。

勿論そんな攻撃が当たる筈も無い。いや、仮に当たったとしても効果なんて有るはずが無い。

でも・・・香織ちゃんは攻撃を続ける。手加減ではあるが攻撃を受けても立ち上がり何度でも。

香織ちゃんは私の為に”時間稼ぎ”をしてくれているんだ。

殆どチカラを使い尽くした私。今は回復にその全てのチカラを使っている。せめて動けるくらいにはならないと・・・

・・・最後の賭けすら出来ない。


「もう・・・飽きてきたのじゃ」


ぶんッ


先程までより強めの攻撃に香織ちゃんは吹き飛ばされる。

香織ちゃんは立ち上がれない。意識はあるよう・・・とりあえずは無事・・・でも、余り時間は掛けられない。

私の方は・・・うん・・・少しはマシになってきた。

こういう時、ゲームみたいにポーションとかあれば良いのに・・・うん、思考にも余裕が出来てきている。

後は、花子さんさえ戻れば・・・


どんどんっ


何かを叩くような音がする。

あ、結界か・・・花子さん戻ったのね!

何か口をパクパクさせている。ああ、外に音も届かないのか・・・何かやられてる時に直弥さん達がパクパクしてた謎が解けたわ。

ってそんなこと考えてる場合じゃ無い!!

吸血幼女は香織ちゃんに近づく。とどめを刺すつもりなの!?


「ま、待ちなさい! ある程度回復したわ。また私が遊んであげるわ!」


「・・・今のチカラが殆ど無いお前なんて興味が無い。」

「ならばこっちの巫女の方がまだマシじゃ。」


「・・・其れはどうかしら?」


私は花子さんに目線で合図を送る。

花子さんは持ってきた”服”のうち一着・・・『外套』を結界内に投げ入れる。

さっき石を投げて試しておいたので、”モノ”・・・正確には意志の無いモノだと思う・・・が結界を通れるのは確認済み。

まあ、『瘴気』が染みこんだモノが通れるかはちょっとした賭けだったけどね。

早速投げ入れられた外套を『ゴシックプリンセス』の上から着込む。

私の中にチカラが戻ってくる。

実はこの外套。華音さんと違い”服に込められたチカラ”を使う私がチカラを使い切った時にチャージする為に新しく作った服。

コレは妖精騒ぎでチカラを使いすぎた反省から生まれたモノだ。


「ほう・・・チカラが戻っているのじゃ。」

「お前、面白い事をするのぅ〜」

「じゃが、このままでは先程と同じじゃぞ??」


「う〜ん、そうなんだけどね。まあ、ちょっとした考えもあるよ。」


「そうか!お前面白いヤツじゃな!」


言って吸血幼女はにっこりと笑う。悔しいがちょっと可愛い。敵じゃ無ければお持ち帰り確定だったね。


「あ、でもその前に・・・香織ちゃんを安全なトコまで移動しちゃうね。」


「む・・・分かった。」


私は香織ちゃんの元に行くと・・・ひょいっと抱き上げる。


「ちょ、香奈!?」


お姫様だっこである。


「香織ちゃん、ありがとう・・・後は任せて?」


私は結界の端、花子さんの前の辺りに寝かせる。

その時に花子さんにもジェスチャーで指示をする。

う〜〜ん分かったかなぁ??

私はその場を離れると、吸血幼女に向き直る。


「さって、準備はいいよ。第2ラウンド・・・始めようか?」




−−−−−−−−−−




基本的に1週間に1回の更新になります。

次回更新は10月23日の14時30分頃になります。


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