『ヒトを喰うオニ』 其の七
真っ二つに割れた封印石を持ち上げ、一匹の『オニ』が・・・
「よっこいしょっと」
ぽーん。
封印石をぽーんと投げる”幼女”
見た目小学生の花子さんよりも幼い、幼稚園児くらいの見た目。
「・・・はい?」
私は”すっとんきょう”な声を上げる。
え!?封印されていたのは『ヒト』を喰う『オニ』じゃないの??
まわりの皆も同じな様で、すっかり固まっている。
先程感じた強いチカラも感じられない。
「なーんかいいたそうじゃのう・・・お前ら。」
「あ、貴女がオニだと言うの?」
「そうじゃよ、巫女よ。」
「なんじゃ?可愛い見た目にだまされておるのか?・・・ほれっ」
ずんっ
強大なチカラに空気も震える。
あ・・・コレやばいヤツだ・・・少なくとも、この場所では。
・・・いや、華音さん・・・『黒狼叉音』の領域でもキツイかも知れない。
「あ、あ、あ、あ・・・」
香織ちゃんは恐怖の余り声も出ない。
そんな中、香織ちゃんのお母さんが割って入る。
「香織・・・香奈様と共に逃げなさい。」
「逃がすと思うか?」
私は叫ぶ。
「花子さん!!何処でも良いから近くの扉を”繋いで!!”」
「え?は、はい!」
しかし、ソレは叶わない。
「・・・香奈ちゃん・・・駄目・・・ココから出られない。」
花子さんは”何も無い”空間を叩く。
ドンドン・・・
其処には見えない壁のような物が存在しているかのよう。
私も其処を叩いてみると同じようにドンドンと壁のような感覚がありその向こう側・・・本殿の方には戻れなくなっていた。
これは・・・『結界』だ。
前に華音さんが使っているのを見た。アレと同じ物がこの周囲に張られているみたい。
さて、どうしたものか・・・あの幼女には、まず勝てない。
この結界だけでも破壊できれば逃げることは出来るかも知れないけど・・・
・・・その後、この幼女を野放しには出来ない。
見た目は幼女だけど、ヒトを喰うオニだし。
・・・
・・・
・・・
ってあれ??
さっきからあの幼女、なーんにもしていない。
あ、結界はって逃げられなくはしてるけど。
「ねえ貴女、一体何がしたいの?」
「ほう・・・お前もなかなかじゃのう・・・」
「お前と・・・お前。儂と遊べ。」
幼女は私と香織ちゃんを指名する。
「香織ちゃんには、戦うチカラは無いわ。」
「私が相手をします。」
「お前だけか?・・・なら、そっちのちびっ子のも付けろ。」
と言って花子さんを指さす。
「私よりあんたのがちびっ子ですぅ〜〜」
「何じゃと!?ちびっ子に言われたくないわ!」
「其れはこっちの台詞ですぅ〜〜〜」
・・・一瞬にして子供の喧嘩になった。
うん、この子お子様だ。見た目通りにお子様。
そんな子が伝承にあった様な事をしたとは思えない。きっと何か事情・・・いや、伝承そのものが間違っているのかも知れない。
「ねえ貴女、遊ぶ前に教えて欲しいの。」
「なんで貴女は封印されたの?貴女は何か悪いことをしたの??」
「・・・正直、思い出したくも無いのじゃ。」
「どうしても聞きたいというなら、私と遊べ。」
「はぁ・・・もう、分かったわよ。で、何をして遊ぶの?」
ひゅんっ・・・どーん!
私をかすめ、何かが飛んでいった。その何か・・・恐らくはチカラを打ち出したモノ?・・・は、先程ほおり投げられた封印石を粉々に打ち砕いた。
「当然、”こういう”遊びだ。」
つまり・・・バトルって事ね。
単純なチカラ比べでは絶対に敵わない・・・さて、どうしたモノかな。
こんな事なら、『ゴシックプリンセス』じゃなくて『姫薙』で来れば良かったよ。
ゴシックプリンセス・・・今着てるゴスロリ服ね・・・は、強大なチカラを放出する『魔術』が使える服。
ゆえに弱点は燃費が悪い。てうしじゃないココではチカラの補充が出来ないから精々1〜2発ってトコ。
姫薙の『符術』なら符に込められたチカラを使うのでとっても燃費が良い。
ただし、外出しずらいのよねぇ・・・ほらミニスカ巫女服だしコスプレみたいだし。
それを言ったらゴシックプリンセスも何だけど・・・ほら竹下通りとかゴスロリ系ファッションであるく人多いし。
・・・てうしじゃ歩いてないけどさ。
まあ、其れは兎も角よ、こっちは1〜2発しか魔術は使えない。
でも・・・今までの会話からしてやり様はある。
まずは・・・
「ねぇ・・・この中でまともにたた・・・遊べるのは私だけ。他の人は結界の外に出して貰えないかしら?」
「駄目じゃ。その巫女はめいんでぃっしゅじゃ。」
「じゃあ、それ以外の人は出して、じゃないと全力で遊べないわ。」
「む・・・わかったのじゃ。」
よし、先ずは第一段階成功だね。
「花子さん・・・”頼む”わよ。」
私は結界から外にでる花子さんに声を掛ける。
「OKだよ。香奈ちゃん。」
花子さんは私の意図を汲んでくれたよう。
「香織ちゃん。離れてて。」
「う、うん。」
香織ちゃんを結界ギリギリまで下がらせる。
勿論巻き込まないためだ。多分だけど香織ちゃんは封印しか教わってないと思う。
ならば最後の時まで出番はない。
「もう、いいかの?」
「うん、もういいよ。」
私は幼女に向き直る。
「じゃあ、遊ぼっか。」
−−−−−−−−−−
基本的に1週間に1回の更新になります。
次回更新は10月 9日の14時30分頃になります。




