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『霧島華音』 ~不思議の依頼お受け致します。~  作者: hermina
第3章 『ヒトを喰うオニ』
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『ヒトを喰うオニ』 其の六

翌日。

香織ちゃんの家に泊めて貰った私と花子さんは、香織ちゃんの継承の儀式に立ち会っている。

鎮森神社の本殿、畳敷きの小舞台の上、巫女服(ミニスカでは無い)に身を包んだ香織ちゃん。

華恋鳳凰かれんほうおう・・・もとい、ぬきを手にしている。


「代々受け継がれし祭具とチカラ。」

「次代を担う巫女に受け継ぎたく・・・」


香織ちゃんのお母さんの祝詞で儀式は厳かに始まる。

辺りはしんっと静まりかえり、境内の小鳥のさえずり、遠くの子供達の声が聞こえる。

香織ちゃんはすっと立ち上がり、巫女舞いを舞う。

巫女舞い・・・神楽は、神様をお慰めし、和んで頂くために奉納するもの。

その起源は、アメノウズメノミコトが天岩戸の陰に籠もってしまった天照大神の関心を引くために踊った裸踊りが起源と言われている。

また、古くは祈念の舞いとして舞い、神の神託を仰ぐという神懸かりの舞いである。

つまり香織ちゃんは、神様にチカラを受け継ぐ事のお伺いを立てているって訳ね。


・・・

・・・

・・・


一通りの巫女舞いを終え、正座をしぬきを両手で掲げる。

香織ちゃんに表面上の変化は無い。

だけど私には、香織ちゃんの奥底で何かが”カチリ”と外れた気がした。

元々香織ちゃんの一族にはチカラが備わっていて、チカラを受け継ぐ儀式と覚悟を決める事で外れるんだ・・・鍵が。

きっと今の香織ちゃんなら『巫術』が使える筈。

私が使う・・・瘴気を応用した紛い物の『巫術』では無く、本当の『巫術』が。


「無事・・・チカラを受け継げたようですね。」


「はい。」


「ならば、鎮森神社の巫女として、勤めを果たして貰います。」

「香奈様、花子様、ご一緒に封印石へ。」


香織ちゃんの母さんの案内の元、私達は封印石の元に向かう。

神社の裏手、少し森に入った所にオニを封印していると言う石はあった。

其処には既に直弥さんと香織ちゃんのお父さんがいて、封印の監視を行っていた。


「封印が落ち着いている。」

「今の内なら、封印の強化はできよう。」


「封印はまだ、大丈夫のようですね。」

「香織。教えた通りにやってみなさい。」


「はい。」

「香奈達はここで待っていてくれる?」


「ん?大丈夫なの??」


「ええ、身を清めてくるだけだから。」


ああ、みそぎね。

巫女が儀式の前に水で身を清めるって言うヤツ。

・・・あ、私、『巫術』使う前にやったこと無いわ・・・華音さんやってたのかなぁ?今度聞いてみよう。うん。

その場には、直弥さん、お父さん、私、花子さんが残る。

お母さんは香織ちゃんの手伝いだ。


「香奈様。黒歴史ノートの一件の時はお世話になりました。」


「いえ・・・って私は殆ど何もしてませんよ。華音さんと・・・香織ちゃんのおかげですよ。」

「あ、あと花子さんもね。」


「ぶ〜〜取って付けたような言い方だなぁ〜」


ぶすーっとする花子さん。お持ち帰り決定。

わきわきって手をやると、花子さんが全力で後ずさった。それはもう全力で。


「時々香奈ちゃんが怖い・・・」


「香奈様。」


「はい?」


今度はお父さんに話しかけられた。


「香織はチカラをつけたばかり、もしもの時は・・・なにとぞ御チカラをお貸し下さい。」


「ええ、勿論です。」


・・・

・・・

・・・


等と話をしていると、香織ちゃんの準備が出来たようだ。

お母さんと共に封印石の前に戻ってきた。


「始めます・・・」


しんっと辺りが静まりかえった。

封印石の前、この場所では先程のように鳥の鳴き声も子供の声も聞こえなかった。

唯々静かで・・・心なしか空気も澄み少しひんやりと感じる。


しゃんっしゃんっ


香織ちゃんがぬきを振るう。舞う。巫女舞い。

先程とは違う舞いのよう。多分だけど今度の舞いは神様に御チカラをお貸し下さいって舞いだと思う。

まあ、ソレによって実際にチカラが貸される事って殆ど無いんだよね。

結局は自分のチカラ。神様はそんなにほいほいチカラを貸してくれたりはしない。

例外は・・・花子さんにゼクスさん・・・家の神様達かな??


舞いもいよいよ佳境に入る。

少しずつぬきへとチカラを込めていた香織ちゃん。

そのチカラを封印石へと注ぎ、封印を強化する。


「上手くいきそうですね。」


「ええ。香織のチカラは歴代の巫女でもトップクラスでしょう。」


《・・・ほう・・・それは面白い・・・》


ズドン!!


いきなりの直下型地震!震源地は・・・この下!?


「あ・・・」


バランスを崩し倒れ込む香織ちゃん。

私は香織ちゃんの元に何とか行き支える。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・


「この揺れは・・・それに・・・さっきの声は??」


「香織!儀式です!儀式を続けるのです!!」


《・・・もう、間に合わんよ。》


ぴきっ


ぴきぴきぴきぴき・・・・


封印の石に亀裂が走る。


どんっ・・・・どんっ・・・・


・・・大きな音を立て封印の石は真っ二つに割れた。




−−−−−−−−−−




基本的に1週間に1回の更新ですが、来週は『フレイ』を更新する予定ですのでお休みします。

次回更新は10月 2日の14時30分頃になります。



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