『ヒトを喰うオニ』 其の一
「はぁっはぁっ・・・ちょっと運動不足かしら。」
普段、運動をせずにオンラインゲームが趣味の私に、実家の石段はきつい。確か100段くらいはあった筈。
やっとの思いで階段を上り、古び・・・歴史を感じる鳥居をくぐる。
目の前に本殿。左手には社務所件自宅、つまり実家がある。
そして、本殿の後ろには鬼が封印されているとされる大きな岩があるが、とりあえず実家に向かう。
いっつも、鍵の掛かっていない引き戸をがらがらっと開ける。
「ただいま〜」
私が中に入ると、奥から兄の声が聞こえた。
「香織か?社務所の方へ来てくれー」
「分かった。でも、とりあえず私の部屋に荷物だけ置いてくるわ。」
私はたたたっと2階へ上がり、左の部屋に入る。ちなみに右は兄の部屋だ。
中には私がカスタマイズしたパソコンがあって快適にオンラインゲームがプレイ出来るようになっている。
ぽちっ
「あ。」
つい、上頚反射で・・・
うん、家に帰るとさ、ついパソコンの電源って入れちゃわない?
私なんてもう、部屋には行って瞬間にセンサーか何かで、自動的に電源が入るくらいでちょうど良いと思うのよ。
あ、それよりも、帰宅する5分くらい前から起動しているのも良いかもね。
ほら、起動までに30秒とか掛かるじゃない?アレって結構気になるのよね。たかが30秒なんだけどさ。
なんて言うの?目の前で待ってるからかもしれないけど・・・
って、そうじゃ無いでしょ私!
私は立ち上がったばかりのパソコンをシャットダウンすると、荷物を置いて社務所に向かう。
って言っても、家の中からいけるんだけどね。
「お兄ちゃん、お待たせ。」
「ああ、お帰り香織。」
「って、また昔の呼び方に戻ってるぞ?」
「うん、なんかもう、こっちのが楽な気がしてきたのよ。」
「それはいいんだけど、何かあったの?お父さんもお母さんも居ないみたいだけど?」
「ああ、父さんは裏の封印石だ。母さんは○○県の神社に行っている。」
「ひょっとして・・・もう、結構やばい感じなの?」
「ああ、あまり良い状態では無いな。」
それは前回戻った時にも聞いていた。
『封印が解けるかもしれない』
封印が解ける。鬼の。私の実家の神社では鬼を封印した人を祭っている。
そしてそれは、私の遠い遠い先祖に当たるらしい。そして、本殿の裏には鬼を封じた封印石がある。
その大きな石の下に鬼には今も生きている・・・らしい。
正直、眉唾ものだけど・・・実際に香奈や華音さんを知っている私は”そういうこと”もありうると言う事を知っている。
香奈に言わせると、
『この世に不思議な事は結構ある。』
らしいから。
「つまり、お父さんは封印の維持・・・いえ、監視かしら?お母さんは救援・・・もしくは指示を仰ぎにってところかしら?」
「理解が早くて助かる。」
「父さんは、維持できる程のチカラが有るわけじゃ無い。当然俺もだ。むしろ、直系であり巫女だった母さんの方がチカラは上だしな。」
「で、私を呼んだのは、母さんの代わりに封印の維持の為って事なの?」
「私、そんなチカラ無いわよ?」
「まあ・・・そうだな。今の香織にチカラが無い事は分かっている。」
「・・・意味深ね。」
「香織にチカラが無いのは、チカラを受け継いでないからなんだ。」
チカラを受け継ぐ?誰から・・・お母さんから?
だったら、チカラに慣れているお母さんが封印の維持・・・出来るのか分からないけど・・・強化とかすれば良いと思うんだけど?
私の考えを見透かしたように、お兄ちゃんは言った。
「母さんのチカラは、もう衰え始めているんだよ。」
「それに受け継ぐのは母さんからじゃ無い、祭具殿にある祭具からだ。」
「祭具から?」
魔力がこもった武器・・・みたいな物でもあるって事かしら?
「何にせよ、危険が伴う。それに母さんがまだ戻っていない。明日には戻ると思うが・・・・」
「その時に香織には話していなかったこの神社・・・『鎮森神社』についても話があると思う。」
「その後に、返事を聞かせてくれ。」
「返事?」
「チカラを受け継ぎ、この地を守る巫女になるかどうかだ。」
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基本的に1週間に1回の更新になります・・・が、お盆前でちょっと忙しいので・・・
次回更新は 8月21日の14時30分頃になる・・・予定です。




