『見るモノ』 終
私は公園の高台から、公園内を行き来する人達を眺めている。
朝も昼も夜も私は只々眺めている。
その行為に意味等は無い。
私には、それ以外の事が出来ないのだ。
私はトレント。
つまりは木・・・なのだ。
意識を持ったのはつい最近の事だが、きっと長い間此所に立っているのだろう。
まあ、そんな訳で、今日も人間観察をしている。
朝、制服の少女がこっちを向いて、会釈をする。
この前の子だ。名前は確か・・・加瀬千佳。
どうやら普通の生活に戻れているように見える。
尤も、あの子には妖精が憑いているから、私が見守らなくとも、妖精がずっと見守っていてくれるのだろう。
そんなことを考えていると、猫を抱えた女性が此方に向かってくる。
この前の、凄いチカラを持ったお嬢さん。
「おはようございます。トレントさん。」
《おはよう。お嬢さん。》
《珍しいね。お嬢さんは朝、この道を通らないだろう?》
「そうですね。実際、大学に行くにも遠回りになりますし。」
「でも・・・たまには遠回りも良いんじゃ無いかな?って思ったので。」
《そうだね。少なくとも私は、話し相手が出来るのは嬉しいよ。》
「あはは、じゃあ、また来ますね?」
そう言うと、猫を抱えた女性は行ってしまった。
名前は確か・・・香奈・・・様?だったか。
不思議なお嬢さんだ。相手が人だろうとそれ以外だろうと分け隔てが無い。
下の道で、香奈様?が手を振っているのが見えた。
私はトレント。
つまりは木。
今日もこの公園の高台から行き交う人達を眺めている。
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来週は『フレイ』の方の更新を行う為、更新はありません。
次回の更新は、 7月31日の14時30分頃になります。




