第二十話 暴力的敵対者対策女性編
リーダー格なのか腕を組んだアイラインが非常に長い女子が低い声で言う。大丈夫、こういう事がいづれ起きるのは想定内。もちろん本当ならこんないざこざに巻き込まれたくはない。だが手術を受けると決意し契約した時に、それに付随するすべての事情と向き合うという覚悟をしている。
そして対処法も伝授されている。
「なんとか言えよおい!!」
「噂んなってるぜ、お前整形してんじゃねぇかって。」
「そんなブスだったのかよお前。」
口々に強い言葉を発し、少しずつ私に詰めてくる。正直怖い。けれどここで引いたらおしまいだ。
「そ、そうなの!!」
突然の私の大声に三人がたじろぐ。いうんだ。想定通りの言葉、一息に言ってしまうんだ。
「わた、し、整形した、の!!そそ、それで、表情とか、作りづらくて!!態度悪く見えたらごめん!!」
一気に言い尽くして頭を下げる。沈黙が怖い。本当は完璧な手術のおかげで表情が作れないなんてことは私に限ってありえないのだが…。
遠くにいた生徒たちも視線を向けているのがわかる。結果的に私の作戦は成功したようだ。
「ハッハッハ!!それじゃあしょうがねぇなぁ気をつけろよ整形女!!」
「あんまりでかい面すんじゃねぇぞ。」
「う、うん。」
でかい面なんて今どき使う人いるんだ…とも思うがこういった人たちは先人の言葉を参考にしているのだろうから自然なことなのかもしれない。ともあれ私は助かったようだ。
先生の教えてくれた暴力的敵対者への対策女性編はこうだ。
整形したということを明確に告げ詫びる。昔よりは減ったとはいえナチュラル女子は整形女を下に見ている。だからこそそれを認め詫びることで一度だけ事なきを得る。一度でも退けられればもう次はない。
なぜなら今や学校の男子全員が私の味方なのだ。このことだってすぐに広まる。そうなれば彼女たちがなにかしようとすればすぐに誰かが私に教えてくれるし、目のつくところなら守ってくれる。たった3人で学校中の男子を敵に回せるわけがない。
では学校の外では?無論問題ない。なぜなら私にはボディガードがついている。これも先生の提案だ。最初は拒否したが陰ながら遠くから見守るだけだということで了承した。先生としても私が事故や事件に巻き込まれ少しでも傷がつくことを避けたいのだ。最後に先生はこういった。
「君はもう嫉妬される対象なのだ。」
この頃から私は前よりも遊びに出かけるようになった。遊園地や水族館、映画館。大した場所ではないが家や図書館ばかりだった私にとっては大きな変化だ。そこにはいづれ男性と出かけるための練習の意味合いが強かったが当然誘われた地味友たちの反応は悪かった。
「なんで急にこんな所…?さならしくないんじゃない?」
「こういう所って今まで家族としか来なかったからさ。友達とくるのもいいかなと思って。」
最初のうちは渋々といった様子で付き合ってくれたがその後はそれとなく断られるようになった。
私はまだ自分がわかっていなかった。彼女たちから見れば私は綺麗になった自分をひけらかしたいようにしか見えなかっただろう。それを直接言えない気持ちもよくわかる。私はすでに変わりつつある。それが良いことなのか悪いことかはわからない。
私は検査のついでに今の状況を先生に話した。




