第十九話 好意と敵意
ばさぁっと音を立ててたくさんの封筒が地面に広がる。二度目の手術をしてから私の下駄箱には男性からのお手紙で埋め尽くされるようになった。ラブレターというものがこの世に実在していたことを初めて知った。
内容にはすべて目を通している。一目惚れしましたとかすれ違ったときに心を奪われたとかストレートなものもあれば、俺様が付き合ってやってもいいとか一緒にだるまさんが転んだをしましょうとかユーモアで攻めてくるものもあった。直接ラインを交換しようと言う恋愛強者もいる。
しかし私はその一切に返事をしなかった。これは先生の指示である。外見が変わった途端に近づいてくる者は最も用心しなくてはならない。直接絵rん楽先を聞かれた場合は
「ごめんなさい、男性には教えちゃだめって父が…。」
これで全員撃沈した。その中に宮下君が居なかったことは私にとっては複雑だ。もし宮下くんから手紙なんてもらってしまったらホイホイついていくだろう。というか今私が告白したら付き合えるのでは?先生は私が特定の相手と交際することは反対だという。
それは私の姿が今後も変わり続けることをどう思うかわからないということ、究極の美女の隣に立つという重荷に耐えられるかわからないことなど、理由は枚挙にいとまがないというレベルで、聞きたくなかった私が途中でもういいと遮断した。しかしそれでも先生は交際自体を禁止はしなかった。
一つ一つ散らばった封筒を拾う。捨てるわけにも行かないのですべて押し入れに入れている。私が手術を続けもっともっと美人になれば何も考えずこれを捨てるようになってしまうのだろうか。
その時、不意に身体が浮いた。下駄箱に激突する。強い力で押されたのだ。
「っ…!!」
痛みにうめき声を上げる。後ろには派手な女生徒が三人立っていた。
この視線は…敵意だ。
「あんた、最近調子に乗ってるよね。」




