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究極の美女の幸せ  作者: 森しゃおこ


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第十一話 三億円の使い道


 子供の養育費は大人になるまで二千万はかかるという。二人生まれれば四千万だ。旦那さんの収入は?いや常に最悪の事態を想定しよう。私は男性経験もないしろくでもない男に騙されて結婚して子供を産んでしまってもおかしくない。


あれ?その場合離婚するときに半分持っていかれてしまうのか?いや、確か結婚前に持っていたお金は分けなくていいはずだ。私一人で二人の子どもたちを育て上げることができるのか?。だがそれは覚悟はないがしなくてはならないだろう。私とて女だ。母親としての責任は全うしよう。

 両親にも手伝ってもらおう。最悪仲が悪くなっている可能性もあるが…。


 最悪?いや違う。最悪両親はすでに居ない可能性がある。その場合葬儀はどのくらいかかるのだろうか?二人分となれば百万では足りないだろうか。お墓に法事に冠婚葬祭はとかくお金がかかるイメージだ。特にお葬式は突然来るので安い葬儀屋さんを選んでいる暇もないだろう。


では結婚の方はどうか?私は地味でいいというだろうが悪い男に騙されているのだから派手な結婚式をしてしまうかもしれない。新婚旅行も海外に何週間なんてことになるかもしれない。そうなると必要経費は…スマフォを叩く手が止まらない。これは3億円がない人々は本当に生活していけるのだろうか?私の自由に使えるお金は残り一億五千万…。



だが私はもう一つ考えなくてはならないことがあると知っている。



それは私の子どもたちのことだ。二人の子供がまっとうに育ってくれるとは限らない。しかも父親の居ない子どもたちなのだ。グレて警察のお世話になることもあるかもしれない。人様の車だか家を壊して弁償させられるかもしれない。一時的なものならまだいい。子どもたちは働かないかもしれない。ではこのお金を子どもたちに残してなんとか食べるに困らないようにしてあげることはできないだろうか?

 家はあるんだから諸経費と食事さえ賄えれば子どもたちも不満はないだろう。

 

 その結論が出たところで、私は3億円をどう使うかという夢のような空想を終えた。


「じゃあ全部終わったらパパとママが一億円ずつもらうわね。」


 私の肩をじっとりと撫でる母の手。何を言っているんだこの女は。全然足りないことがわかったばかりなのに浪費家の母になんて渡せるはずがない。とは思ったが煩悩の実例を聞いておくことは自制心を高めると思い母の妄想に耳を傾けた。



「まずはうちのダサい車売っぱらってオープンカー買うでしょ~?それから指輪ね、今まで手が届かなかったおっきなダイヤ!!ダイヤ一択よ!!」



 俗物的欲望である。私のように地味で何を考えてるかわからない女よりこういうわかりやすくて扱いやすい女のほうが好まれるのかもしれない。



「それから世界一周くらいはしたいわよね。ファーストクラスもいいけど私としては豪華客船に乗りたいわね。」


「あ、それいいかも。」



 ついつい同意してしまった。やはり遊び慣れている母。発想もなかなか幅広い。


「でしょ~~?豪華客船には映画館やカジノにプールもあるのよ。世界のイケメンセレブがそこで肉体美を披露するの。」


 私は断じて男の筋肉などに興味はないがおしゃれプールには興味津々だ。



「食事だって超一流のシェフが作ってくれるんだから。あんたテーブルマナーくらい覚えときなさいよ~恥かくんだから。」



「が、がんばる。」


「イタリアではおしゃれな町並みととダンディイケメン、フランスでは美術館とクールイケメン、スペインでは闘牛と情熱イケメンよ~!!」


 ぐっと私を引き寄せ闘牛のポーズをさせようとする。


「イケメン多すぎない?」


「仕方ないじゃないどこの国にだってイケメンがいるんだから。」



「…パパはどう?一億円あったら何がしたい?」


 そう言うと父は新聞をたたみ何やら思案しているようだ。待つこと約10秒。



「まず金庫を買うな。」



「つまんね!!」


 素早い母のツッコミ。やはりこの二人は相性がいいようだ。

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