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転生無双!! チン説弓張月 ―― 純愛路線かハーレムか!? それが問題だ!  作者: 幸田 蒼之助
家を守るという事

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商売の心得

 いわば、一つ二つ齢(とし)上の色っぽい女先輩から、直球で迫られているような状況である。

(これぞ男児の本懐……っちゅうか、ムッチャ刺さるシチュエーションやぞ)

 早くも相棒(ゝゝ)が、出番を察しワクワクしている。

 だが、オレはSっ気たっぷりの一九歳である。なんとなく、目の前のお色気ダダ漏れ症候群お姉さんを、いぢめたくなってきた。

 そりゃもう、色っぽい女性を見れば、ひたすら流れに任せてエロエロモード突入……なんてのは、当たり前過ぎてオモロないやんか。何となく、一枚上手のお姉さんを手玉に取って、優しくあれこれいぢわるしたくなるのが素直な男ゴコロってもんやろ。

 おっと。異論は認めない。

「おまささん」

 声をかけると、彼女は小首を傾げた。

 おい。

 ちょっと赤い顔で小首を傾げただけで、この色気は何事やねん! 何かバグってないか!?

 計測器具でも着けて、SA(Sex Appeal)値の日中変動を測定すべきだ。医学界に、新たなテーゼをもたらす事間違いなしやで。いや知らんけど。

(ちょっと待て。落ち着けオレ……)

 ひっ、ひっ、ふーー、と密かに呼吸を整える。よし、もう大丈夫だ。

「おまささん。知っての通り、オレは結構忙しい」

「存じております。……でも」

「ちょっと協力してくれ。今、頭の中にある事をまとめたい。……紙と、書く物が欲しい」

「……」

 おまささんはちょっと頬を膨らまし、それでも立ち上がって廊下の方に向かうと、手を叩いた。

 下女が、それを聞いて襖から顔を出す。おまささんは下女に、ひと言ふた言何か告げると、すぐにオレの傍らに戻る。

 相変わらず、頬を膨らましたままである。オレの顔を覗き込み、そして、

「ぷんっ」

 といった感じでそっぽを向いた。

 可愛い。ただしSA値は依然、上昇中。絶対、何かバグっている。

(よしよし。オレがバグ修正したるわ)

 程なく、下女が筆記用具一式を持って来た。彼女が座敷を去るのを待って、おまささんの頬を、指でそっとこちらに近づける。

 これから唇を重ね合った。

「んっ」

 唇が離れると、おまささんは微かな吐息を漏らす。

 オレの顔を見つめる眼が、蕩けている。

「おまささん。オレが今から言う事を、書き留めてくれるか」

 筆を渡すと、何かを期待していたおまささんは再び膨れっ面となった。が、それでも素直に紙を広げ、筆を持つ。

 オレは、そんなおまささんの耳周り、首筋を撫でつつ、

「題字は……そうだな、“商いの心得”としようか」

「んふっ」

 おまささんは、ちょっと色っぽい吐息とともに、筆を走らせ“商いの心得”としたためた。

「では、次」

 オレは目の前に浮かぶ月を眺めつつ、おまささんのあちこちをあれこれ撫で回し、

 ――商売の基本は、良い品を安く売ること。

 と告げた。

 おまささんは、微かな喘ぎ声を漏らしつつ、オレの言葉を次々と書き留める。

 ――誰に何を売るか、を明確に意識する。

 ――即ち庶民に安い日用品を売るか、高貴な方々に高額な品を売るか。

「んふっ」

 おまささん、実に感度が良い。

 ――他に無い品を開発し売るのが望ましい。

 ――即ち希少価値、付加価値。その分、高い値を付け売ることができる。

「あっ」

 オレの左手は、おまささんの襟元から首筋、背中へと徘徊を続ける。

 ――“商標”を設け、広める。同一商標にて多数の品々を売る。

 ――買い手に“商標”への憧れを意識させる。

「あはんっ。……為朝様」

「ん?」

「買い手に憧れを意識させる、とは?」

「ああ。……例えばおまささんは、この界隈では顔が知られているか?」

「まあ、そこそこは」

「ではそのおまささんが、艶(あで)やかな着物を着て外を歩けば、それを目にした人々はどうなる? 私もあの着物が欲しい、と思うだろ!? 私もあの簪が欲しい、と思うのではないか!?」

「はあ……」

「今すぐ絶対に必要な物でなくとも、憧れから『あれが欲しい』と思うよな」

「なるほど」

「そういうことだ。憧れの気持ちを抱かせる……それが商売に繋がる」

「はあ。……あはんっ♡」

 説明を続けながらも、オレの左手がおまささんの身体のあれやこれやと戯れ続けた。おまささんはそれに耐えつつも、その顔は既に上気している。

「例えば、先日話をした、酒」

「はい」

「あれを、瓶(かめ)のまま売るのと、品の良い白木の箱に収めて売るのでは、どちらが上等に見えるか?」

「それは……瓶を白木の箱に収めた方が」

「そう。それも、箱には立派な字で酒の名前を記す。瓶の中身は同じ酒でも、高級そうに見えるよな。さすれば倍の値を付けても売れる」

「なるほど……。ああっ♡」

「それを、例えば天皇(みかど)に献上し、『みかど御愛飲の御酒』と宣伝し売る。値は、三倍にも四倍にもなる」

 要するにブランドの確立と、有名人御用達というイメージ戦略だ。前世においてオレでも知るようなビジネス論を、おまささんに解説する。

「それがしは去年、京にて噂の的だったから、それを利用し“八郎”という商標を流行らせ大いに商いをやった。最初はイノシシやシカの肉を並べた。ただの獣の肉だが、よう売れた」

 今おまささんに書いて貰っている、いわゆる商売の心得を踏まえれば、商いは必ず上手くいくと説明した。

「なるほど素晴らしい……あんっ♡♡」

 おまささん、感心しつつも、もはやかなり出来上がっている。

「為朝様ぁ」

 オレの左手が、おまささんのあーんなところやこーんなトコロと戯れ始めた頃、ついにおまささんは音を上げた。

「まさ(ゝゝ)はもう、ダメです。ああっ♡ 早く……」

 おまささんの大事な処(ところ)に手を忍ばせると、いわゆるその……もはや大変な状況になっていた。

 素直な男ゴコロが充分に満たされたオレは、場所をオレの寝所へと移すと、先日の旅順戦(ゝゝゝ)を続行し大いに盛り上がった。

 諸般の事情を鑑み、その詳細は割愛する。

 わははは。おまささん、サイコー。色っぽいお姉さん、万歳♪ 


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