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「みゆ、話があるんだけど。」
「なに?」
私は意を決して話しかけた。みゆはその様子に気が付かないようでいつもの様に話しかけた。
二人で収録を続けて気付けば二週間が経っていた。
最初は一緒にいるだけで満足できたのに気が付けばそれ以上のものを求めていた。
私はみゆと共にもっと大きな世界を見れると思っていた、当然みゆもそれを望んでいるものだと思い込んでいた。
「いつまでこんな感じなのかな?」
「こんな感じ?」
「録音するだけみたいな。」
「言いたいことが分からないんだけど。」
「もしかして私に遠慮していることとかあるなら……」
「ないよそんなこと。」
みゆは笑顔で答えた。
いつもならそこで話をやめるのだが覚悟を決めた私は、そこで止まらなかった。
「隠さないでよ。」
「隠してないよ……全然。」
「みゆがいろいろ考えているのは分かるよ、わかるけど具体的に何を悩んでいるか分からないの。」
「だから悩んでいないって。」
「私たちは一緒に進んでいくんでしょ、隠さないでよ。」
「……」
「ねぇ、みゆ?」
私の問いかけにみゆはしばらく黙り考え込んだ。そんなみゆの姿をみるのは初めてだった。
私はみゆの答えをじっと待った。
「……ごんちゃん。明日の昼空いてる。」
「空いてるよ。ここ毎日一緒にいるじゃん。」
「……りーに会いに行かない。」




