十二話
「さぁ、いよいよ三回戦に突入しました!戦うのは元三位チームのスペルズ、永遠の刻駆ける紅蓮の炎纏いし導士の集いを策を以って退けたランク4の神置 悠真さんと栞羽 桜さん、それに比べれば見劣りはしますがこちらは銃を呪文能力によって作り、そしてそれを撃ちまくるというFPSおたくの二人組、GUN+αの二人、蒲生 我さんと榊 神代さんです!では、準備はいいですか?レディ・ファイト!」
一瞬にして駆ける俺ら。身近な岩に身を潜め、時をうかがう。そして、0秒になった。それと同時に、天空がきらりと光り、
隕石が、落ちてきた。
これも、栞羽の干渉能力。宇宙のなんかに干渉し、隕石を落とすというトンデモ技。じゃあ、あの呪文能力と変わりないじゃねぇかと言われるが、そうではない。
あの、呪文能力によって作り出された隕石は、あくまでもSPによって作り出されたもの。そのため、隕石は物理干渉能力を持たない。だから、フィールドに当たってもフィールドには傷がつかない。
しかし。それが本物の隕石だったらどうだろう。SPによって軌道を狂わされ地球に落ちてきたと言うだけであって、その隕石はSPではない。つまり、それがこんなフィールドに直撃すると。
「バキッ・ヴァゴン」
・・・となるのは、自明の理だった。
あまりの巨大隕石のため、張っていたフィールドが割れるという事態に。アンノウンの二人は隕石に当たらなかったみたいだが、物理による攻撃はフィールドの中で痛覚を開放する。・・・つまり。
「・・・次はお前らに当てるぞ。」
「GUN+α、ギブアップします!」
といい、三回戦は誰一人血を流すことなく終了した。
(フィールドにあいた直径五メートルくらいの穴+隕石は学校側が責任を持って回収してくれました。)
*
「で、次の試合はどうするの?」
「前と全く同じ作戦だ。」
「やっぱり・・・。」
「ねぇねぇ、私見てるだけなんてかなり暇なんだけど。」
「・・・まぁ、そこは我慢しろロウキュピテス。言っておくけど、俺も見てるだけなんでかなり暇なんだ。」
「でも神置くん。また私が隕石やればいいの?学園にかなり迷惑がかかるような気が・・・。」
「・・・まぁ、学園も貴重な隕石の標本手に入ってラッキーなんじゃないか?「でも、流石に二回連続隕石は無理があるんじゃない?」
「なんでだ?ロウキュピテス。」
「だって、桜ちゃんの隕石なんだけど、アレ一回使用しただけでLD枯渇するんでしょ?」
「・・・・・・気づいてたのか。」
そう。実はアレ、撃っただけで栞羽は即死なのだ。だから、三回戦でもしあいつらが電光掲示板を見ていたら栞羽が死亡している事に気づき、俺らは負けていただろう。次もあの技を使うと、間違いなく見切られる。流石に、あの隕石をあいつらに当てるわけにはいかないし・・。
「・・・栞羽。なんか小技で、だけどあいつらをイチコロにできるような技、なんかないか?」
「ごめん。ないんだ。」
「・・・じゃあ、岩陰に潜む相手を殺せる技は?」
「うーん、液状化っていう技はあるよ。土を水に変えて相手を土の中に閉じ込める技。」
「それだよ!」
「え?でも、これ下手したら地下100メートルくらいまで相手が沈むかも知れないんだけど・・・。」
「いや、次戦うやつら、実は二人とも水泳部なんだ。」
「え?じゃあ、この技大して意味無いような気が・・・。」
「いや、あるさ。喜べロウキュピテス、お前も今回は働けるぞ。」
「え?ホント?!」
「ああ。ただ、ひとつだけ注意点がある。それは・・・。」
*
「では、四回戦、つまり準々決勝の始まりです!一年にも関わらず此処までのし上がってきて、甘言弄策さまざまな手を使い勝利を収めてきた最強にして最凶のチーム、ランク4。対するは覚醒能力に洗脳能力というでこぼこコンビで戦いを制してきたチーム、クラッシュファースト。・・・さぁ、闇のゲームの始まりだぜ!」
遊●王の読みすぎだと突っ込みたくなるような解説の後、とうとう試合が始まった。俺の指示通りに栞羽、ロウキュピテスは動く。・・・3、2,1,0。
そして俺の意識が飛んだ。
クラッシュファーストSIDE
「よし、神置が岩陰から出てきた。」
「ねぇ、島田。栞羽と使徒が出て来てないけど。」
「洗脳能力の効果を干渉で打ち消したんだろう。」
「くっそ、なんでもありじゃん。」
「知るかっての。」
「ねぇ、島田の洗脳能力で自殺しろっていう命令出せないの?」
「何気に怖いこと言うなよ・・・。出せないんだよ。人道に悖る命令は。」
突然、地面がプールになった。
「!?!?!?」
「やべ、これ沈む・・・!」
しかし、腐っても水泳部。何とか首だけを出し、沈まないようにはできた。
「やべぇ、この体勢。神置、あいつまだ洗脳にかかっているよな?」
島田が電光掲示板を見た。
赤チーム クラッシュファースト
島田 猛 HP 31
海道 愛伍 HP 40
青チーム ランク4
神置 悠真 HP 30(洗脳状態)
栞羽 桜 HP 0(LD枯渇・DEAD)
ロウキュピテス(使徒) HP 12000
「・・・ねぇ、確か主人が死んだら使徒も死んだって言うことになるよね?」
「ああ。」
「で、洗脳状態で今神置はただでさえおかしい頭がさらにおかしくなっていると。」
「ああ。」
「それで、栞羽は死んじゃったと。」
「ああ。」
「で、私達は水泳部だから、こんな泥水くらいは平気で泳げると。」
「はぁ。」
「・・・これ、私達勝ったんじゃない?」
「・・・あ。」
あまりにあっけない勝利だった。あとは、狂人か廃人になっている神置をボコれば勝ちなのだから。
「よし、そうと決まれば!」
島田は上着を脱ぎ捨てて液状化の効果範囲外まで泳いで出る。そして地面に突っ伏したままピクリとも動かない神置に嬉々とした顔で近づいて殴りかかろうと拳を振り上げ・・・岩陰から出てきたロウキュピテスに手をつかまれた。
「あ?神置の使徒か、ちょっとあっち行ってろよ、お前の主人が殺られるシーンなんて見たくないだ・・・へ?」
バタン。
島田の体が痙攣して、地面に突っ伏した。それと同時に神置が起き上がる。栞羽のような、自然の理を書き換えるSPは術者が死んでも継続するが、洗脳の初級SPは一時的に脳の理を書き換えているだけなので、術者が死ぬと被害者の洗脳は解けるのだ。
ニヤニヤ笑いながら神置は言う。
「・・・さぁ、海道。君はどうする?」
「はぁ?あんたの使徒が何をしたかは分からないけど、あんたを殺すに決まっているじゃん。私は覚醒能力者だから、あんたの使徒に触れないようにあんたを殺すなんて簡単なんだよ?」
神置のニヤニヤは止まらない。
「たしかに、弱体化した俺+ロウキュピテスと覚醒能力でパワーアップしたお前ならお前のほうが何百倍も強いだろうな。ああ、そうに違いない。」
「じゃあ、いくよ。」
そういいながら、効果範囲外まできた。外の土に手をのっけながら、海道は考える。
(・・・どうしてこんなに平気なんだ?聖痕などのものは使用禁止だから、奥の手なんて間違いなくないはず。なのに、なんで私らに負けるのにも関わらずこいつはこんなに余裕をかましているの・・・!)
いつのまにか、神置が目の前に立っていた。完全に悪役面だ。
「なんで俺がこんなに余裕なのかわかるか?」
「知らないわ、そんなの。」
そして海道は陸へと身を乗り出し・・・・・・肌寒さを感じてすぐに水面へと身を戻した。
・・・・・・・・・肌寒い?いや、服を着ているし、寒くはないはず。いや、服が濡れているから寒いのか。・・・え?服が、濡れている?
ようやく、ようやく神置の言葉の意味がわかった。・・・体操服という、少し薄めの生地。その体操服で水にはいり、陸に出たらどうなるかと言うと・・・
「キ、キャァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
・・・・・・・・肌に服が張り付き、透けるのだ。
「サービスシーンキター!!!!!」
男子達の絶叫。
「おい、神置、中々男心分かってんじゃないか!」
「ナイス神置!」
「さすが、性の事に関してだけお前はよく頭が働くな!」
「神置、神だ!」
「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」「透けろ!」
そんな男子達の嬌声を聞きながら、海道の声は恐怖に引きつる。まずい。やばい。・・・今日、実はブラジャーを付けていないのだ。そんな状態で水に濡れたら・・・!別に、海道は自分の体に自身が無いわけではない。女子の中では、まぁまぁの体つきだと思う。・・・だからこそ、出るのが嫌なのだ。
(どうしよう・・・。ブラが無いから、絶対に濡れ姿を見せるわけにはいかない・・・。)
だんだんと神置の顔がサタンに見えてくる海道。すると、女神が現れた。栞羽が、神置のことをジーッとにらんでいるのだ。それに気づいた神置は、少し惜しいなと言う顔をしつつ、
「・・・まぁ、このままじゃ終わらないから、そっちが降参をしたら認めてあげ「クラッシュクファースト、降参します!」
「クソソソォォォォォォォォォォォォ!!!!!」
観客はいささか残念そうだったが、ランク4の勝利となった。
(この後、海道選手は女性スタッフによって観客からは見えないように運ばれていきました。)




