十一話
早速、二回戦。ちなみに今回のSKC大会には64チームが参加している。トーナメント方式のため、あと4回勝って決勝か。で、決勝で華麗に負けると。
「じゃあ、ランク4の・・・あー名前読むのかったりぃ・・・。まぁ、ランク4の人と永遠の刻駆ける紅蓮の炎纏いし導士の集い・・・ああ、中二乙・・・そんなチームの人、出てきて・・・。」
手ぇ抜きすぎだろ。
「じゃあ、行くか。」
で、フィールドに登場した。そしてミーティング。
「・・・あれ、でも神置くん。次の戦いの策って、考えてあるの?・・・まさか、また同じ手をつかうつもりじゃ・・・」
そう栞羽が疑問を投げかける。・・・フフッ。次の策を、考えてあるか、だと?
「ああ。とっておきの秘策を、今回は使うぜ。いや嘘、今回はできれば使いたくなかった策を使う。・・・ロウキュピテス、今回は何もしなくていい。前回で少し疲れただろう。・・・ただ、栞羽には少しきついかもしれない。すまんな。」
「いえ、策を実行するのは私達の役目だから。」
「じゃあ、・・・・・・・・・・・。」
すると栞羽は少し目を開く。・・・・・・かなりきついかもしれない。だが、このチーム、名前こそふざけているが前回は三位と言うかなりの高記録を出しているのだ。・・・これくらいしないと勝てない。
「大丈夫。・・・さっき、奴ら・・・永遠の刻駆ける紅蓮の炎纏いし導士の集いの戦いを見ていて、奴らの弱点を一つ見つけた。この作戦は、かならずうまくいくはずだ。」
「・・・改めて聞くと、永遠の刻駆ける紅蓮の炎纏いし導士の集いなんて凄い名前だね。」
「付けた人のセンスがおかしいんだろね。」
「ああ。頭がくるっているんだと思う。」
「おい、お前ら。」
「だよね。思考回路に以上があるのかも。」
「なぁ、お前らよぉ。」
そんな雑談をしていると声が聞こえてきた。
「なんだい、永遠の刻駆ける紅蓮の炎纏いし導士の集い(笑)くん。」
「(笑)じゃねぇよ!っていうかお前ら、よく本人たちの前でそんな台詞ほざけるよなぁ!俺らが頭絞って考え出したネームにいちゃもん付けて!」
ああ、忘れていた。この声、あいつらにも聞こえているんか。
「・・・ネーム(笑)」
「うるせぇ!」
「まぁ、あんたたちみたいな無能頭にしては、よく考えられたネーム(笑)だと思うぜ。」
「この、ゴミ置き野郎・・・!」
そこに栞羽登場。
「すいません、神置くんが笑ってしまって。」
「・・・お、おう、別にいいんだけど。そこまで謝らなくても、」
「いえ、ペアの失態は私の失態でもあります。本当に、すいませんでした。永遠の刻駆ける・・・フフッ紅蓮の炎・・・ププッ纏いし導士の集い・・・ハハッさん。」
「うるせぇこのアマ!・・・・・・・・・・あ。」
「「「「「おい、お前、今栞羽さまに向かって『アマ』なんて言葉つかったよなぁ?そこの中二オタク。覚えておけよ、いつかお前、生まれてきたことを後悔させてやるからなぁ!」」」」」
怒声と殺気が湧く。・・・ただ一つ確実なのは、こいつの在学中、こいつの友達は二度とできないと言うことだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
沈黙する男。賢い選択だ。此処で下手なこと言えば、こいつの命は100%なくなっていた。・・・しかし、こんどは女のほうがシャリシャリ出てきた。
「ちょっと栞羽とか言う女、そんなこと言う権利はあんたに無いはずだよ。」
「・・・!」
栞羽がびくっとしたのがわかる。まさか、言い返されるとは思ってもいなかったのか。
「っというか、あんたたちのチーム名もひどいもんだねぇ。ランク4だって。自分達がランク4を取っているのを、自慢したいのかい?」
「そんなこと、」
「いや、あんたは内心自慢したいと思っているはずだ。私ランク4ですよーって、自慢したいのだろう?」
栞羽がうつむく。その大きな瞳が、少し潤んでいた。
「ちょっと外見が可愛いからって、調子に乗るんじゃない。ちょっとSPが強いからって、調子に乗るんじゃないよ、いい加減にしな。」
その辛らつな言葉に、栞羽の目からは涙が垂れる。
「だいたいなにかい?あんたたち、スペルズに勝っただけじゃないか。それで慢心してもらっちゃぁいけないよ。」
そろそろ栞羽が泣き出すんじゃないかというところで、俺が止めに入る。観客も、あれは流石に言い過ぎではないか、泣いている女子が可哀そうだという目で見ていたので、俺が止めに入ったことで少し安心した空気が流れた。それにしても、先生は全く止めに入ろうというそぶりを見せない。・・・流石に、乱闘になったら止めにくるだろうが。
「まぁまぁ、そこの中二病オタクが大好きなアバズレおばさん。・・・あれ、そんなに香水かけてどうしたんですか?・・・ああ、体臭を消したいんですね。たしかに、においますもんね。」
かなり辛らつな悪口。・・・まぁ、異端審議会や華に言われた悪口を、100分の1くらいに希釈した感じだ。
「・・・いかにも悪そうな男が来たねぇ。」
「いや、そっちこそ悪そうですねぇ。頭が。」
「・・・うるさいよ、あんたもいい加減にしな。」
「いいぞー、神置!そのアバズレビッチ女をもっとコケにしたれ!!」
んなこえが、異端審議会を中心に聞こえてくる。・・・いや、俺は決してサドだからこいつをいじめているわけではないのだ。
「そいつとは付き合って二年ですか。よくあなたの顔で二年も持ちましたねぇ。彼氏は今まででそいつ一人ですか。」
「うるさいねぇ。なんでそんなことを知ってんだい。あんたあたしのストーカーかい?」
「そんなわけ無いでしょう。あなたみたいなブスを、誰が好き好んで巣トーキングするんですか。異端審議会主催の『彼女にしたくないランキング』で何度も顔を拝見させてもらってますよ。」
「うるさ」
「べつにうるさくないですよお。・・・もう、観客も毒舌合戦はあきたでしょう。はじめてください。
「・・・はい。では、ランク4チームと永遠の刻駆ける紅蓮の炎纏いし導士の集いチームの試合を始めます。レディ・ファイト!」
先生が、試合の始まりを告げた。
28秒 「おい、じゃあどこに隠れる?」
「そうだねぇ、あの窪みの辺りでいいんじゃないかい?」
23秒 「どこに隠れても一緒だと思うぜ?お前らみたいに、気持ち悪いオーラ(笑)を出した生物なら、俺はどこにいても見分けられるぜ?」
19秒 「・・・・・・。」
18秒 「おい、せっかくお前らが喜びそうな『オーラ』とかいう単語入れたったのに、無反応かよ。」
15秒 「おい、あんた、いい加減うるさいよ。少しも黙られないのかね?」
12秒 「いや、あんたらのネーミングセンスに感服していただけだって。」
09秒 「・・・だまっときな。本気で怒るよ。」
06秒 「おー、そうかいそうかい。わかったって。」
02秒 「じゃあ、隠れ場所あの辺で。」
01秒 「ああ、わかったよ。じゃぁ行こうかい。」
00秒
「栞羽、打て。」
泣いている振りをしてかがんでいた栞羽は、スペルの最後を唱える。
「聖なる弓は、光という鎖を解き放つ。限界の先にあるものを仰ぎ見よ・・・!」
詠唱が終わり、栞羽のSPは光という物質に、重量を与える。・・・物が光の
速度で移動すると、無限のエネルギーを産み出すと言うのは有名な話だ。
「・・・・・・え?ギャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
そしてその、無限のエネルギーがひめられた光線は、奴ら二人を葬り去った。
栞羽は、苦虫を噛み潰した顔・・・美少女は何をしても絵になるなぁ・・・でこちらを見つめてくる。
「しかたないんだ、勝つためにはこれはなかったんだ。」
俺はそう、自分に言い聞かせるように呟いた。
*
こいつらの試合を見ていて気を引いたのは、物凄く慎重だということだ。始まったらすぐに岩に隠れて男のほうが発火能力を慎重に撃つ。相手がそのちまちまとした攻撃に耐えられなくなって少し岩から出た瞬間に女のほうの念動能力を使って岩の外に引きずり出され、そこを狙い撃ちされていた。
これを見て、かなり厄介な相手だな、と思った。栞羽の干渉能力は強いがその分LDの消費が激しく、大技なら一回、小技なら5回しか使えない。それで栞羽がやられれば俺なんて瞬殺だ。運の悪いことに二人はどちらとも運動部で、回避能力はあるはずである。栞羽の干渉能力から逃げられたら、どうしようもない。
そこで俺が注目したのが、奴らの中二病を患っているとしか思えない名前である。しかも女のほうはかなり仲間意識が強そうで、男のほうを強めにいじっていると必ずシャリシャリ出てくるのは読んでいた。だから、俺たちは男をいじった。そして寸分の狂いも無く俺の読みは当たり、女のほうがシャリシャリ出てきた。・・・しかし計算外だったのが女が栞羽の方を責めたということだ。一瞬栞羽はマジで泣きかけていたので、俺はかなり心配したが、どうやら持ちこたえてくれたようだ。
そして試合を始めた。・・・もし、最初のいじりがなかったらあいつらは100%こっちによってこなかっただろう。しかし、俺らが最初に少し相手をいじってたからこそ、あいつらはこちらへ、俺らの侮蔑に反応してくれた。
そして後は簡単。隠れるために与えられた三十秒を侮蔑によって伸ばさせ、残り十秒くらいになったら相手が俺らに背を向けるようにする。そして0秒になったと同時に栞羽が放つことができる最強の技を放つ。それで背を向けているあいつらを一網打尽にしヤッターという作戦である。・・・つまり要約すれば、相手を侮蔑して平常心がなくなったところを背後から不意打ちという最低鬼畜極まりない作戦である。
とかなんとかいうことを、唖然としている永遠の刻駆ける紅蓮の炎纏いし導士の集いチームに告げ、ひたすら謝って、ついでに栞羽がなぜそんなに準優勝を取りたいのか言いまくり、俺が土下座したら許してくれたようで、上級生との溝は多分埋まった。・・・字で書くとこれだけだが、弁解には一時間を要したことを一応書いておく。
「・・・ねぇ、神置くん。こんどは、こんな作戦じゃないよね。」
「ああ、今度こそ大丈夫だ。・・・っていうか、俺らの当たる相手が少し強すぎたんだよ。一回戦元三位グループ、二回戦も元三位グループだぜ・・・。大丈夫、次は無名チームだから。・・・もし元一位とあたるなら決勝だ、今回は多分、楽な試合になる。」




