第二六話:「では行きましょうか」
「フゥ……」
僕はゆっくりと溜息を吐く。
何かもう、あれだ。軽く鬱だ。
「どうしました、我が主?」
「いえ、何でもないですよ……」
「そうですか。なら良いのですが」
口ではそう言うが、黒装束の彼女はなおも心配そうにこちらを見てくる。
「アンタのせいよ、気付きなさい」
「……何だと?」
何故か険悪になる空気。
どうして僕の周りには、変人しか寄って来ないのだろうか。
「アンタが余計な心労をかけてるせいじゃない」
「余計とは何だ。そちらこそ、王女などと言って我が主に負担をかけているのではあるまいな」
「ハァ? 私がいつ負担かけたってのよ、言ってみなさい」
「まぁその辺りで終わりましょうよ」
早いうちに止めておかないと、後々面倒な事になりそうだ。
「それより、これからどうしますか? お兄さんが来るまで待つのもなんですし」
「何か適当に依頼でも受ければ良いんじゃない? 新人の力試しも兼ねて」
「貴様が我が主に指図をするな。我が主に命令できるのは、この世に一人もいないんだ」
「そうですね、では何か受けましょうか」
「了解しました、我が主」
「変わり身早すぎでしょ!」
そんなこんなで僕達は、依頼を受ける事になった。
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「それで、何を受けます?」
「面倒だから、適当に目についたのでいいんじゃない?」
そう言うと王女は、D板の前に立ち、その身長で届くギリギリの位置にあった紙を一枚手に取る。
「これが丁度良いと思うわ」
そう言って彼女が差し出した依頼書を、僕は覗き込む。
『小鬼の討伐』。
示された依頼書にはそう書いてあった。
「小鬼ですか」
……やっぱりあれだよね。
とある世界では、『雑魚・オブ・雑魚』、『キング・オブ・やられ役』等の異名を取る、最早異世界では当然のあれだよね。
「我が主が良いというのであれば、私は何も申しませんが」
「まぁ今回は特に危険を冒す必要もないですし、それにしましょうか」
「ふーん。じゃあこれ出しに行ってくるわね」
そう言うと、王女は依頼書を持ってカウンターの方へ歩いて行く。
その間、僕達は二人で会話を交わす。
「そう言えば、あなたはギルドに登録してるんですか?」
「えぇ、一応は。と言っても、最低限しか依頼を受けていないので、ランクはFのままですが。ちなみに我が主は?」
「僕ですか? 僕は(不本意ながら)Aですよ」
「A!? さすが我が主、その域にまで到達しているとは!」
「分かりましたから、落ち着いて下さい」
軽蔑や畏怖の目線もあれだが、憧れや羨望の眼差しも僕は苦手だ。
日本人は、そういう気質だからね。
そんな事を語り合っていると、王女が戻って来た。
「終わったわよ」
「そうですか。では行きましょうか」
僕はそう言って出口へ向かう。
その後ろに、彼女達二人も続いた。
今回は少し短めです。
書きたい事はたくさんあるのに、話が全然進まないこの状況orz




