表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たちの冒険はこれからだ!(五三周目)  作者: 厨二×武力=はた迷惑
第一章
24/84

第二二話:「分かってもらえましたか?」

 気付いた時には、既に終わっていた。

 急所を狙って振り下ろしたはずの小刀は、いつの間にか手の中から消え、私の首元に突きつけられていた。

 薄皮一枚切る事無く、しかし少しでも動けばその瞬間首を落とされる。そんな距離に、刃を構えられていた。

 私でこのザマだ。

 奴を挟んだ向こう側にいるアイツならあるいは、何が起こったかぐらいは分かっただろうが、それでも結果だけを見れば私と変わらないだろう。


「僕の実力、分かってもらえましたか?」


 私たちに一瞥もくれる事無く、奴は雇い主()を見据えていた。



 ================



「僕の実力、分かってもらえましたか?」


 そう言って彼を見る。

 瞬間、僕は彼に目をやった事を後悔した。

 彼が僕を見る目は、珍しい生き物を見た時の人間の目その物だった。

 目を背けたくなる程の不快感を押し殺し、よくある事だと自分に言い聞かせて笑顔を作る。


「いかがですか、王様」


 僕は再度問いかける。

 すると彼は、醜く笑ってこう言った。


「気に入った。貴様、俺の妻になれ」


 途端に辺りがざわめいた。

 彼を諌める声が、そこら中で飛び交う。

 だが彼は聞く耳を持たず、先程の視線でこちらを見つめてくる。

 いや、訂正しよう。

 あれは、珍しい生き物を見る時の目ではない。

 男が女を、欲望の捌け口として見る時の目だ。


 女。

 そう、女だ。

 僕は正真正銘、誰がどこからどう見ても女だ。

 だから、『女性としては身長の高い神様の胸』に『平均身長の僕の顔が埋まる』し、

 『そこらの俳優(女優だって俳優の内だしね)』が全裸で土下座する。

 ことあるごとに、『お嬢ちゃんと呼ばれる』し、

 マスターみたいに『同性愛(ソッチ)の気』は無い。


 そういう訳だから、彼が僕を見る目に、何らおかしい所は無い。

 でも、おかしくないからと言って、それを許容できる女性は、この世に一人もいないと思う。

 僕だって、その一人だ。

 だから、僕は言う。

 辺りが未だにざわつく中、僕はよく通る声で呟いた。


「お断りします、変態野郎」


 しぃん……、と。

 話し声がピタリと止んだ。

 そして一斉に、今度は僕に向かって、非難の声や罵声が浴びせられる。

 僕は、それら全てを澄ました顔で聞き流す。


「静まれ」


 彼のその一言で、全ての音が止んだ。

 それを見届けたかのように、再び彼は口を開く。


「本来なら、貴様のような無礼者は、不敬罪で今すぐ処刑されてもおかしくはないのだがな」

「分かってますよ。それがどうかしましたか?」

「いや。その度胸と美貌に免じ、今ここで俺に服従を誓えば、その罪不問にしてやらんでも無いが」

「なるほど」


 どうやら、彼はどうあっても、僕を自分の物にしたいらしい。

 でも、そんな物は絶対にお断りだ。

 だから僕は一歩踏み出し、()()()

 彼が息を呑む気配が伝わる。

 僕は、手に持っていた小刀を、彼が腰掛けている椅子の背もたれに突き立てる。

 カッ、という軽い音を立てて、小刀が突き刺さったのは彼の頬のすぐ横。

 そのまま横に引けば、それで彼の顔を真っ二つに出来る位置。

 その位置に小刀を固定したまま、僕は言う。


「次。そんなふざけた事をぬかしたら、あなたの首は即座に飛びますよ」


 ヒッ、という悲鳴が、彼の口から小さく漏れる。


「あなたは仮にも、一国の王でしょう? なら、懸命な判断を期待していますよ」


 そう言うと僕は、小刀を引き抜き、彼の返事を待たずに出口へと向かう。


「や、奴を取り押さえろ!」


 誰かが言葉を発した。

 多分、王の近くにいた大臣らしき人物達の一人だろう。

 その言葉で、拘束が解けたかのように、部屋の中にいた兵士達が一斉に僕に飛びかかる。

 その殆どが武器を構えている。

 「殺せ」なんて命令は出てなかったはずだけど。

 まぁ、どちらでも良いか。


 手に持っていた小刀を床に落とし、ゆっくりと空いた両手を広げる。

 そして、その両手を軽く打ち合わせる。

 パン、という音が響く。

 一瞬遅れて、僕を中心に強烈な突風が巻き起こる。

 一番近くにいた兵士数人は、もろに食らって勢いよく吹っ飛ぶ。

 残りの兵士も、余波を受け、あるいは他の者に巻き込まれ、見る見る内になぎ倒されていく。

 風が通り過ぎ去ったのは一瞬。

 その一瞬で、大半の兵士を無力化する事が出来た。


「ま、上々かな」


 そう小さく呟くと、僕は再び出口に向かう。

 が、その途中で立ち止まると、


「一つ、付け足しておきます」


 と言う。

 そして、薄く笑いながら言葉を続ける。


「あなたの欲望の対象が僕じゃなくても、僕の耳に届いた時点で、消しにいきますから」


 そのまま、振り返る事無く扉へ歩いていく。

 途中、呆然としていた彼女———第三王女に声をかける。


「ギルドに行ってます。付いて来たければ、ご自由にいらして下さい」


 そう言い残して、僕は王宮を立ち去っていった。

ついにやってしまいました。反省はしてますが後悔はしてません!

まぁ、皆さん多分予想してたと思うので大丈夫ですよね。←

……本当にすいませんでした。orz あ、待って、見捨てないで!


コホン。えー、失礼しました。

次回は久しぶりに閑話を入れて、それで第一章を終わらせたいと思います。多分。

それではまた(無事に更新できれば)次回、お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ