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俺たちの冒険はこれからだ!(五三周目)  作者: 厨二×武力=はた迷惑
第一章
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第二一話:「一応、聞いておきたいんですけど」

「一応、聞いておきたいんですけど」


 街の中心部に向かって歩きながら、僕は彼女に尋ねる。


「何かしら?」

「さっき門の所で、『王女』って呼ばれてましたけど……、あれって本当なんですか?」

「えぇ、そうよ。言ってなかったかしら?」


 僕の質問に、彼女はあっさり肯定した。


「言ってなかったも何も、会ったのがつい数刻程前の事ですからね」

「それもそうね。まぁ、詳しくは後で話すけど、正確には私は『皇女』ね。第三皇女だから、王位継承権はそれほど無いけどね」

「へぇ……。ちなみに、王位継承権を持っている人は、あと何人いるんですか?」

「皇子が一三人、皇女が八人。一応、私は正妻の子だから比較的高い位置にいるだけで、年齢で言えば、下から数えた方が早いわね」

「あぁ、なるほど」

「何が『なるほど』なのよ!」


 言葉と共に振り下ろされた杖の先端を、片手で受け止めながら答える。


「いえ、どう見ても見た目が子ど———」

「子供って言うな!!」


 受け止められていない方の先端を上に跳ね上げ、丁度僕の顎を狙ってくる。

 仕方無く、僕は空いているもう片方の手で、それを抑え付ける。


「こんな往来で暴れないで下さいよ」

「自業自得よ!」


 ……明らかに、向こうの方が悪いと思うのだが。

 まぁ、半々という事にしておこう。


 そんな風に話しながらしばらく歩いていると、突然目の前の道が開けた。

 思わず立ち止まると、眼前には、巨大な城がそびえ立っていた。

 そんな僕に構う事無く、彼女はどんどんと先へ進む。

 慌てて跡を追うと、彼女は少し先の門の前で立ち止まった。

 その門は、街の入り口の扉とは比べ物にならない程、大きく重厚そうだった。

 そして彼女は振り返ると、


「いらっしゃい、王族の庭園(ロイヤルガーデン)へ」


 と、感情を押し殺した口調でそう言った。



 ===================



 外観もそうだったが、内装もきらびやかその物だった。

 きらびやかすぎて、逆に不快感を覚える程だ。

 至る所に、絢爛豪華な調度品、美術品、装飾品の数々。

 一体どれだけの金をかければこんな風に出来るのかと、呆れて物も言えない。


 体内時計で三〇分程歩いた頃だろうか(長っ!)。

 ようやく、目的の場所が近づいてきたようだった。

 とは言っても、目的の場所を知っていた訳ではない。

 建物の中を進むにつれ、少し前を歩く彼女の足取りが重くなり、表情が強ばっていくのが分かったからだ。

 そして彼女は、とある一つの扉の前で立ち止まった。

 その扉は、一面白一色で出来ており、そこだけ余計な装飾は付いていなかった。

 扉の脇にあった、掌大の水晶に彼女は手をかざす。

 と。

 ゴゴゴ……、という重苦しい音を立てて、扉がゆっくりと開いた。

 静脈認証装置のような物だろうか、と勝手に想像を巡らしながら、開いた扉に目を向ける。

 が、直視するのは一瞬で諦める。

 何故か。単純な事だ。

 そこはあまりにも眩しすぎた。

 まるで、真昼の太陽の如き明るさ。

 これが現代なら、一体どれだけの電気代を食っているのか、想像もしたくない。

 数秒は、手をかざしたまま動けなかった。

 ようやく目が慣れてくると、彼女は既に数歩前にいた。

 それに付いていこうと、僕は一歩を踏み出した……所で、全方位を、武装した兵士に取り囲まれた。

 ガチャガチャ、という金属が触れ合う音が辺りに響く。

 だが、別段慌てるような事ではない。

 門の所でも止められたし、城内に入ってからも何回かあった。


「止めなさい」


 彼女の静かな声が、周りの兵士達の動きを止めた。


「その方は私の客人です。無礼な真似は許しません」


 途端に辺りがざわつく。

 兵士達の間にも動揺が走っていたが、しばしの逡巡の後、槍を収め、元の位置に戻っていった。

 包囲が解けたので、僕は彼女へ近づいていく。


「助かりましたよ。ありがとうございます」

「フン、あなたなら力ずくで強行突破できたでしょう」

「いえ、あまりそういうのはやりたくなかったので……」


 小声で言葉を交わすと、正面を見据える。

 彼女は更に数歩進み、膝をついて頭を垂れる。

 僕はその場で直立不動だ。


「ただ今戻りました、父上」

「うむ、よくぞ戻った」


 厳かで気品があり、聞く者を畏怖させる声。

 だがそこに、労いの気持ちは一切無かった。

 挨拶をされたから自分も返す。その程度だった。

 そこから先は、聞くに堪えない会話だった。

 親子の情など微塵も感じられなく、世間話というよりは腹の探り合いと言った印象を受けた。

 そしてその間、他の者は一言も発する事は無かった。


「……そうか。して、後ろの人間は誰だ?」


 ようやく僕に話が及んだ。

 僕は一歩前に出ようとするが、彼女がそれを目で制する。

 そして、再び目を戻すと、


「この度、東の森にて修練中に出会った者です。名は———」

「あぁ、名などどうでも良い」


 彼女の言葉を途中で遮り、王は言った。


「先程お前は、その者を『客人』と言ったが、どのような意味の客人だ?」

「……、正確には、これから私の魔法の修行に置いて、師匠となってもらおうと考えています」

「ふむ、師匠とな」


 彼は、僕を舐め回すような目つきで見ると、


「そこの宮廷魔導師では不満かね?」


 と、少し離れた位置に控えていた、ローブを纏った小柄な老人を見やる。

 視線を向けられた老人は、ビクッ、と身体を震わせる。


「いえ、不満という訳ではありません。ただ、彼よりもこちらの方が、学ぶにあたり有益と判断しましたので」

「お前の独断でか」


 彼は、明らかにこちらを見下すように言う。


「何、拒否するつもりは無い。こちらとしては、お前が強くなってくれればそれで良いのだから。ただ……」


 ゆっくりと背もたれから身体を起こして、彼は言葉を続ける。


「どこの馬の骨とも知れぬ輩に、そのような実力があるとは到底思えんのでな」


 スゥ、と右手を軽く上げる。

 と、音も立てずに、彼の背後に二人の男女が現れた。

 男の方は髪を短く整えており、女の方は腰まである長髪をポニーテールに結んでいた。

 どちらも黒髪で、全身を黒装束で覆っていた。

 僕のイメージから言えば、忍者に近い感じだ。

 所々から覗く身体や移動の仕方から、相当鍛えられているのが分かる。


「悪いが、試させてもらうぞ」


 悪い等とは欠片も思っていなさそうな口調で、彼はそう言った。


「……ッ、お待ちください!」


 彼らの姿を見た途端、彼女は声を荒げた。


「いくら何でも。彼らでは相性が悪すぎます! せめて別の者を———」

「俺に逆らうのか?」


 その一言で、彼女は押し黙ってしまった。


「納得してもらえたようで何よりだ。では、始めようか」


 その言葉と同時に、彼の背後にいた二人の姿が掻き消える。

 そして次の瞬間には、二人は僕の左右から迫っていた。

 いつの間に取り出したのか、男は右手、女は左手に小刀を構え、僕を狙う。

 彼女が何かを言う間もなく、二つの小刀は振るわれた。

今回のあとがきで、「文字数が二千弱で安定してきました」と書こうと思ったら、この回で三千近くまで行ってしまいました。orz

しかも、もう少し追加してしまおうかと思ってしまった次第です。

文字数って、大体どのくらいが読みやすいんですかね?

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