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俺たちの冒険はこれからだ!(五三周目)  作者: 厨二×武力=はた迷惑
第一章
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第二〇話:「危ないですよ」

 厄介な連れができてしまった物だ、と僕は思った。

 これで、少なくとも魔王を倒すまでは、一緒にいる事が確定してしまった訳なのだから。

 どこか適当な所でほっぽり出すというのは、最初から選択肢に無い。

 ほっぽり出すなら、最初から一緒について来る事は許可しないし、それができないのが、僕という人間なのだ。


 そんな事を考えながら、僕らは街の入り口まで戻ってきた。

 ……のだが、そこでふと思った。


「そういえば、あなたはここに入れるんですか?」

「? どういう意味よ?」

「いえ、ここは一応身分の証明とかが求められるみたいなので、そういうのを持っているのかなと」

「あぁ、それなら大丈夫よ。問題ないわ」


 彼女がそう自信満々に言ったため、僕は彼女に先に入るよう促して、少し離れた位置で見守る事にした。

 彼女は、何の気無しに門番に近づいていくと、道ですれ違った人に、挨拶でもするかのような気楽さで話しかけた。

 僕が呆気にとられる間もなく、相手も気さくな調子でそれに応じた。

 何だ、あの門番と知り合いなのか。なら、もし何も持っていなくても大丈夫だな。

 僕はそう楽観視しながら、様子を窺っていたのだが、数分後、何やら雲行きが怪しくなってきた。

 一向に通してくれそうな気配がないし、会話がいつの間にか口論に発展しているような気がする。

 仲裁に入る気は無いが、会話の内容は気になるため、耳をそばだてる。

 だが、いかんせん距離があるので、途切れ途切れにしか聞こえない。


「……何…アンタ、たか…門番の……際で、こ…私に逆ら……ての!?」

「で…から、いく…王女さ…でも、おと……することは出来……んです!」


 ……今、王女って言葉が聞こえたんだけど。

 僕的『異世界において、関わったら面倒な事になる単語(ワード)』ランキング、トップ一〇入りを果たしている単語が聞こえたんだけど。

 何この面倒くさくなりそうな展開は。


「いい…ら、さっ……どき…さい!」


 よく聞こえなかったが、多分「そこをどけ」的なニュアンスの言葉を言ったんだろう。

 そして、それと同時に、彼女は手に持っていた杖を振りかぶり、門番の鳩尾に思いっきり叩き込んだ。

 ドムッ、という鈍い音と、「グフッ」という低い呻き声が聞こえ、門番が地面に倒れ込んだ。


「ふぅ……。手間かけ……んじゃな…わよ」


 そう言って彼女は、倒れている門番を放置して、中へと入っていった。



 扉が閉まり、彼女の姿が見えなくなったのを確認すると、僕は急いで門番に駆け寄った。


「ど、どうかしましたか?」

「ん? あぁ、アンタか。何、大した事じゃねぇよ」

「……そうですか」


 ちなみに、僕が何も知らない一般人を装っているのは、少しでも面倒な事から離れようという考えからだ。

 まぁ、殆ど意味はないのだが。

 門番は、顔をしかめながら、お腹をおさえて立ち上がり、


「見苦しいトコ見せちまって、悪かったな」


 と笑った。

 流石門番。腐っても鍛え方は並じゃないという事か。(腐ってるというのは僕の偏見だけど)


「いえ、そんな事は無いです。それより、僕の事覚えてるんですか? 確か、まだ数回ぐらいしか会ってなかったはずですけど」

「アンタ程顔立ちが整ってりゃあ、大抵の奴は一発で覚えるよ。それに俺は、半分人の顔を覚えるのが仕事みたいなもんだからな」

「そうなんですか、お疲れ様です」

「いや、そっちこそ。気ィ付けていけよ、……って、戻ってきたトコか」


 そう言って再び笑うと、門番は扉を開けて中に僕を入れた。

 あの人も苦労しているんだな、と、閉められた扉を見ながらしみじみ思った。


 と。

 横合いから、いきなり声をかけられた。


「遅いわよッ!」


 そして、僕の顔のすぐ横を、ブォン、という音と共に、一迅の風が通り過ぎた。


「……」


 僕の頬を、一筋の汗が伝う。

 あと数センチずれていれば、完全に顔面直撃コースだった。


「……何するんですか。危ないですよ」


 冷や汗を拭いながら振り向くと、案の定そこには彼女がいた。


「あなたが遅いのが悪いんでしょ! 何をチンタラやってたのよ!?」

「あなたがやった事の後始末ですよ。それが無ければ、もっと早く来れてました」

「そんな事知らないわよ。それより、早く行きましょう」


 そう言うと彼女は、街の中央に向かってズンズンと歩き出した。


「どこに行くんですか? ギルドはそっちの方向じゃありませんよ」

「分かってるわよ。誰がギルドに行くって言ったのよ」

「じゃあどこへ?」

「そんな物、決まってるじゃない」


 首を傾げる僕に、彼女は振り返ってこう言った。


「王宮よ!」

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