7話 その眼に映らない世界で
視神経低形成という病名がついてから、頭の中がぐるぐると回るような感覚がした。
いろいろなことを考えた。
その中で、わたしがたどり着いた結論は、
「他の姪や甥と同じように接しよう」
ただ、それだけだった。
特別扱いはしない。
そう、心に決めた。
瑠夏は、強く生きていた。
わたしよりも、何十倍も強かった。
学校の先生と身内以外は、本当のことを知らなかった。
「他の子と同じように扱ってほしい」
それが、小さな瑠夏の願いだった。
跳び箱と縄跳びは禁止されていた。
空手をやりたいと言ったこともあったが、眼科医から許可は出なかった。
型はできても、試合には出られないと言われたらしい。
それでも瑠夏は、強かった。
体育の授業も、縄跳びと跳び箱以外は欠席していないと聞いた。
忘れもしない運動会。
瑠夏は、すべての競技に出た。
他の子より足は遅かった。
それでも、涙がこぼれそうになるのをぐっと堪えて、最後まで走りきった。
その姿に、胸が締めつけられた。
将来、免許は取れると聞いた。
けれど、急に飛び出してくる人や子どもに気づけない可能性がある。
だから、事故のリスクは高いとも言われていた。
わたしは、たくさんの習い事をしてきた。
ピアノ、トランペット、ギター、水泳、テニス、英語、私が住んでいた国の言語。
それでも、何一つうまくいかなかった。
すぐに投げ出して、挫折ばかりしてきた。
逃げてばかりだった、わたしの人生。
それに比べて
生まれつき目に障害を抱えている瑠夏の方が、ずっと立派だった。
こんなわたしなら。
「瑠夏に片目をあげたい」
何度も、何度も、強くそう思った。




