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私は彼女の眼になりたい  作者: 巳ノ星 壱果


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6話 瑠夏に病名がついた日

 時が過ぎるのは早く、気がつけば瑠夏は小学生になる頃だった。



 ランドセルは、淡い紫色だった。

 普段、自己主張をほとんどしない瑠夏が、「紫色がいい」と言ったのを、はっきり覚えている。



 嬉しそうに、そのランドセルを大切に背負っていた姿も、鮮明に残っている。




「瑠夏がもう小学生になるのか」




 そんなことを考えながら、わたしはその姿を見ていた。


 わたしが大人になりきれないまま、瑠夏はどんどん成長していった。



 小学校に上がる前に、入学前検診というものがあるらしい。

 いくつかの検査を受けると聞いた。




 その中で、瑠夏は眼科検診に引っかかった。


 最初は近所の眼科へ。

 そしてその後、大学病院への紹介状を渡されたと聞いた。




 その瞬間、わたしの心はざわついた。




「何か、大きな病気なのかな」




 ただ、不安だけが頭の中を何度もよぎっていた。


 何時間も待たされたと聞いた。


 そして、ついた病名は



「視神経低形成」



 瑠夏は、片目の神経がうまく機能していない、目の病気だった。


 視力という判定ではなく、

「指数弁」という表記で示される状態だった。


 指数弁という言葉を、人生で初めて聞いた。


 見えない側の目の前で、


「これ、何本に見える?」


 と二本指を立てて聞いた。


 けれど、瑠夏が正解することはなかった。




 それが、ただ、悲しかった。




 こんなにも医療が進歩しているのに、

 瑠夏に対してできる治療は、何ひとつなかった。


 ただ、片目でも見えていることに、感謝するしかなかった。

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