5話 気が付きたくなかった違和感
当時、瑠夏が実家の近くに住んでいたこともあり、瑠夏との時間は少しずつ増えていった。
あれから、一度だけ。
わたしが会っていない時に、熱性痙攣を起こしたらしい。
それでも、その後は起こることはなく、ほっと胸をなで下ろした。
わたしが三日間目を覚まさなかった時、両親はわたしの死を覚悟したと、何度も聞かされていた。
だからこそ、瑠夏が同じようにならなくて、本当によかったと思った。
もしも、瑠夏がいなくなってしまったら。
きっと、心にぽっかり穴が空いてしまう。
私はきっと立ち直れなかっただろう。
こんなに小さくて、尊い命が、自分より先に逝ってしまうなんて、考えたくなかった。
あどけなく私の名前を呼ぶ声も、
口を開けて眠る顔も、
すべてが愛おしかった。
まるで、自分の子どものように、瑠夏を一番可愛がった。
いろいろな場所に連れて行った。
動物園にも、夢の国にも。
それでも他の姪や甥と比べて、瑠夏は相変わらず大人しかった。
走ることも、ほとんどなかった。
その姿に、どこか引っかかるものを感じていた。
下の姪や甥とは違って、わがままも言わなかった。
「これもあれも欲しい」と言う二人とは違い、自己主張も少なかった。
手がかからない子だった。
瑠夏は、ピアノに興味を持ち始めていた。
「ピアノを習いたい」
そう、ぼそっと言った。
音を聴くことが好きなようだった。
スポーツを習う姪や甥とは、どこか違う部分があった。
小学生に上がる前から、ピアノを習い始めた。
あの時のわたしは、まだ知らなかった。
この先で、知りたくもなかった真実を知ることになるなんて。




