3話 わたしと同じところ
第三章 わたしと同じところ
瑠夏が喜ぶものはなんだろう。
そんなことを考えるようになって、子供向け番組のおもちゃを買った。
瑠夏に会うことが、わたしの生きがいだった。
気がつけば、子供向け番組の曲も聴くようになっていた。
瑠夏がにこっと笑ってくれるなら、なんでもしたい。
そう思うほどに、愛おしかった。
瑠夏は、少し体が弱かった。
ある日、一緒にショッピングモールへ出かけた。
手を繋いでエスカレーターに乗った、その瞬間だった。
瑠夏の手が、すっと後ろに引かれる感覚があった。
反射的に手を強く引き、軽い身体を支えて下に降りた。
エスカレーターは三段目だった。
それが、不幸中の幸いだった。
転倒することも、他の人を巻き込むこともなかった。
「瑠夏」
何度名前を呼んだのか、覚えていない。
小さな身体で、泡を吹いて、ぐったりしていた。
身体は、異様なほど熱かった。
気づいてあげられなかった自分が、ただただ悲しかった。
あの時のことは、あまり覚えていない。
それでも、救急車に一緒に乗ったことだけは、はっきりと覚えている。
瑠夏が倒れた姿は、わたしにとって強い衝撃だった。
診断名は、「熱性痙攣」だった。
幼い頃の自分と、同じだった。
わたしは三歳の頃、熱性痙攣で入院したことがあるらしい。
当時の記憶はない。
意識がないまま、三日が過ぎた。
そして、三日後に意識を取り戻した。
小学校低学年まで、薬を飲み続けていたことだけは覚えている。
熱性痙攣が姪に遺伝する確率は、とても低いらしい。
それでも、瑠夏の熱性痙攣はわたしのせいなのではないか?
そう思ってしまうほど、苦しかった。




