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37話

ちょっとややこしいですが、王子たちの名前です。

長男アウグスト

次男フェルディナント

三男エドゥアルト

王家の保有する宝剣の1つがお茶会の場に運び込まれ、それがどのような性質の剣なのかを王子たちとメイリーンで推察するという課題が国王ヨハンから出された。



王子たちとメイリーンは、お茶会の経験があまりないため、こういう遊びもするのかとすぐに納得していたが、宰相ディーンとメイリーンの父親であるスチュワート侯爵は驚いていた。


子どもに魔法属性の付与された剣を調べさせるなど、聞いたこともないやり方だったのである。ただ、国王という最も身分が高い者が、子どもたちを交流させるために考えた案だとわかっているので、難易度が高すぎると思いながらも、宰相も侯爵もひとまずは見守ることにしていた。



「ふはは。これはなかなか当てづらいだろうから心してかかるが良い。」


「陛下、中々に骨のある遊びですな。」


「ははは。」



宰相ディーンがじと目で国王ヨハンを見たが、国王は笑って受け流した。

スチュワート侯爵は黙ってお茶を飲みながら、ことの成り行きを見守っていた。彼には結果がわかっていたので、特に課題自体に口出しは不要だと考えた。そして子どもたちのやり取りだけが気になっていたので、そちらに気を配りながら静かに見守ることに徹した。


子どもたち4人はしばらくの間、テーブルに置かれた宝剣をじっと見つめていた。長男であるアウグストが宝剣を手に持ち、ゆっくりと上下左右に回しながら見聞した。



「そうだな。鞘はわからないが、柄の先、柄頭にある宝石がなんらかのスイッチのように見えるな。」


「さすがはお兄様ですね。私は小説の挿絵に載っていた魔法の剣に似ていると思いました。」


「そうか。ありがとう、フェルディナント。そうだな、魔法が使える剣なら、宝剣として扱われそうだな。エドゥアルトはどうだ?」


「僕は剣を振ってみたいです。」


「そうだな…。気持ちはわかるが、危険性がわからないから、今は別の方法を考えよう。」


「そうですね。もし危険だったら困りますよね。」


「メイリーン嬢はどうかな?」


「はい…。」



メイリーンは、父親であるスチュワート侯爵に助けを求める視線を送った。

ここで魔法が使えることをアピールしてしまえば、国王陛下の遊び心と、王子たちのプライドを傷つけてしまうかもしれない。しかし、国王陛下の前で嘘をつくわけにもいかず、困ってしまったのだ。



「メイリーン嬢…?」



アウグストがどうかしたのかと、名前を呼んで来る。

メイリーンの視線の先でスチュワート侯爵が頷いたのが見えた。それを見たメイリーンは意を決して話すことにした。



「はい。実は私にはこちらの宝剣がどういうものかわかるのです…。」


「なんと。素晴らしいではないか。それでは何故、なぜすぐに答えないのだ。」


「はい…。話し合うという形式が取れないことに気がついたのです。」


「なるほど…。メイリーン嬢は控えめな性格なのだな。」


「そうですよ。わかるなら教えてください。知りたいです。」


「そうです。僕も知りたいです。」


「しかし…。」



メイリーンが宝剣のことがわかると言うと、王子たちが口々に話し始めてしまった。

見かねた国王ヨハンが割って入る。



「おお。素晴らしいな。余が許すゆえ、メイリーン嬢は意見を述べると良い。」


「はい…。それでは僭越ながら。こちらの宝剣は、柄頭の石に魔力を流すことで音楽を奏でることができます。主に演舞に使われる物のようです。」


「おお。正解だ。さすがアンドレの娘だ。素晴らしいな!」


「ありがたきお言葉でございます。」



国王ヨハンが褒めちぎると、アンドレことスチュワート侯爵とメイリーンが揃って頭を下げる。

どことなく、スチュワート侯爵は誇らしげな表情をしていた。


宰相ディーンも想定外だったのか驚いた顔でメイリーンを見ていたが、何よりも子どもたちが唖然としていた。



「すごい!すごいですね、お兄様。」


「あ、ああ。どうやってわかったのだろう。」


「すごい。僕もできるようになりたい。」



口々に感想を述べると、その様子を見た国王ヨハンがにやりと笑い、スチュワート侯爵に尋ねた。



「アンドレはわかっていたから余計に静かだったのだな。」


「はい。我が娘メイリーンは鑑定の能力がありますので。」


「おお。そうか、そうか。さすがだな。よし、褒美としてその宝剣一振りをメイリーン嬢に授けよう。」



その国王ヨハンの言葉に全員がぎょっとしてしまう。

幼女に褒美を取らせた前例などないからであった。



「…ありがとうございます。謹んでお受けいたします。」

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