↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
5/25

5・出場停止とDF加入

「何てことをしてくれたんだ貴様は!!」


 大乱闘のあと、俺はボーゲ教官に呼び出しを食らっていた。

 

「大富豪のご子息が多数大怪我したんだぞ!!」


 無論、一般寮生も多数怪我したのだが、とりつくろわずそこだけ言及するのは、やはり清々しさまである。

 一応、俺は乱闘の中でカニばさみや肘打ちで戦闘不能にしていったので、そこまで大怪我はしていないはずだ。

 暴力プレーはあっても、怪我をさせるのが目的ではないのだ。

 この匙加減は、南米でよく乱闘に巻き込まれた経験から得たものなので、良い子は真似してはいけない。

 だがまぁ、一番ノックアウトしたのは俺なので、理由のない怒られではないが……。

 結果的に死人を出さずに済んだのを褒めて欲しい。


「一応聞いておくが、お前に大金持ちの親戚はいないよな?」

「いません」

「だったら何をしてるんだお前は!! 貧乏人は大人しく殴られてりゃいいんだ!!」


 差別感情……いや勘定というのが正確か。

 止めようともしなかったくせに、特待寮が旗色悪しと見るや、他の教員を呼んできて止めに入った男だ。


「とにかく、貴様は停学だ!! 退学もあり得ると思え!!」

「はい」


 成り行きだが仕方ない。

 国武専からの騎士団入りは成功ルートだが、それだけが人生というわけではない。

 ケセラセラだ。

 両親も兄弟が多いぶん、俺に関しては超放任主義だから、そこまで悲しみはすまい。


「あと、神器は置いていけ! 人型神器などあり得ん! 何かのトリックに決まっている! 徹底的に調べてやるからな!!」

「はい」


 俺は、持ち込んでいた箱(・)1(・)つ(・)を教官の机の上に置く。

 小さく「薄情者ー」と聞こえたが無視しておく。

 今は一旦、教官の言うがままにしておくのがいい。


「ふん、覚悟しておけよ!」


 覚悟、か。

 想像はつくが……。


 *


 寮の相部屋ではなく、寮から少し離れた物置でしばらく謹慎するようお達しがあった。

 なかなか露骨だが、さしあたり、今晩か。

 一応、青と緑の箱は持ち込んでいる。

 3つも適応したなんて知られるとより面倒になりそうだし。

 まぁ、エルピに関しては自我がある以上、上手くやるだろう。

 適当にやり過ごしてくれる……はずだ。

 ……いや、やばいかも。


「……」


 少し、楽観的すぎたかもしれない。

 今になってやらかしそうな気が、ぷんぷんしてくる……!!

 と、不安になってきたその時、物置のドアが蹴破られた。


「!」


 中に飛び込んで来たのは、覆面をした男だった。

 その手には長い棒が握られているが、如意棒的な神器に違いない。


「それっ!」


 だが、報復は予想していたので、用意していな小袋を投げつける。

 中身の白い粉が溢れ出し、侵入者の顔面に直撃する。


「くっ!?」


 中身は、白線を引く用の生石灰だが、目つぶしくらいにはなる。

 怯んだその隙に、小脇をスライディング気味に抜けて外に出る。

 しかし、思っていたよりずっと早い。

 報復するなら闇討ちが定石だろうに!

 よほど気の短いクライアントがいるらしい。


「逃がすか! ピィーッ!!」


 覆面が口笛を吹くと、隠れていた仲間が二人飛び出して来た。

 ハンマーやナイフを持っている。

 体格的に、上級生だろうから、【スキル】を発現している可能性がある。

 参ったな。流石に分が悪い。

 こういうときは三十六計、逃げるに如かず!

 囲まれるより先に逃げようとしたその時、体が思い切り後ろに引っ張られた!


「なっ!?」


 腕ごと胴体に巻き付いていたのは鎖。

 最初の覆面男の棒は三節棍の節をもっと多くしたような武器であり、それが絡みついてきていたのだ!


「しまった!?」

「抵抗するなよ。しなけりゃ骨の二、三本で済む……」


 じりじりと囲んでくる覆面たち。

 まずいな……。

 流石にこれはもう……。


「な~にをやっているのかね主殿は。早く拙者を呼べばいいのにねぇ……」


 諦めかけたところに響いて来たのは、少女の声だった。

 そしてそれは、腰の箱ホルダーの青箱から聞こえている。


「!」

「拙者ぁ、面倒は御免だけどねぇ、見捨てるほど薄情者でもないからねぇ……ま、助けて進ぜるとしますかぁ!」


 ホルダーから青い箱が飛び出すと、それは空中で一回転。

 その間に箱が人型に展開して巨大化。

 現れたのは、青い袴姿――というよりカウボーイがズボンの上に履いてるカバーみたいな面積――にふんどしとサラシ姿。

 黒い長髪を後ろで縛り、刀を持った、侍のような少女であった。


「な、なんだコイツは!! 説明しろ!!」

「俺も知らん!!」


 ブロックヒロインだというのはエルピから聞いていたが、それ以上は何も知らなかったのだ。

 俺が考えをまとめていると、視界に幾つもの閃光が走った。

 それが剣閃だと気づいたのは、三節棍と鎖がばらばらになったからだった。


「おおっ!!」

「なっ、なぁあっ!? 俺の神器があ!?」

「何者だ!?」


 易々と破壊されることがない神器を破壊され、黒服たちは明らかにどうようしていた。


「拙者ぁ、ナダレ。

 まぁ、拙者が出てきた以上は、勝ったも同然ってことになっちゃうねぇ」


 けだるそうに、ナダレが剣を肩に担いだ――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。