22・カウンター
「KIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!」
初めて有効打が炸裂し、蚊柱は金切声のような羽音を立てた。
火が付いた一群が暴れ回るせいで、蚊から蚊へ火が燃え移っていく。
これだ!
これが奴の弱点に間違いない!
「やるもんでしょ?」
にこりと笑うエルピ。
ダメージも残っているだろうに、強がれるのはいいガッツだ。
「足を止めるな! たたみかけろ! カウンターが来るぞ!!」
「もう、ちょっとくらい褒めてもいいのに、さっ!!」
ぶつくさ言いながらも仕事はちゃんとする。
それがプロだ。
エルピは、炎のナタ剣を振り回す。
【サーカスの火吹き男】というスキル、シンプルながらも非常に有効なスキルだ。
シンプルなプレーの方が有効な場面は多いものだ。
サッカーではサーカス的とは必ずしもいい意味では使われない。
個人技ばかりに気を取られている選手を揶揄する時に使われることも多い。
だが、一方で超人的なサーカスとしか比較できない華麗な個人技も存在するのだ。
エルピには後者であって欲しいものだ……。
「だだだだだだだだっ!!」
蚊柱は確実にその数を減らしていく。
これはたまらんとばかりに天井へ逃げていく蚊の群れ。
「逃げても無駄ですよーっと!」
エルピはナタ剣を投げようとしている!
「駄目だ!! 不用意に打つな!!」
「え?」
が時すでに遅し。
エルピは両手のナタ剣を天井に投げつけていた。
燃え上がるナタ剣は、確かに蚊柱を焼いた。
焼き尽くしたとすら言っていい。
だが、ナタ剣は天井に突き刺さってしまった。
「あちゃー、やっちゃった……」
「だからプレーは切れてない!! 気を抜くな!!」
「え?」
それは単なる勘だった。
蚊柱は倒せた。
だが、体に走るおぞ気は消えていない。
だいいち、こんなに簡単に倒せる相手に、サルルバーンがやられるはずがない……!
「アイロ! エルピの剣を撃ち落としてくれ!!」
「う、うん……!」
アイロが銃を構える。
が、遅かった。
「やっば!!」
真っ先に気づいたのは、ナダレ。
咄嗟に俺をかばうように前に飛び込んだ。
鎧が、起き上がっていた。
切り裂かれた傷跡が、回復しかけている……!!
おまけに、身をかがめ、一気に突っ込んで来た!!
「うっそ!?」
まずい!
完全にエルピが突出してしまっている……!
避け切れない……!!
「エルピーーーーーーーっ!!」
鎧が、巨大なランスを突き出し――
それを横から伸びた鎌が引っ掛けてそらし、強引に向きを変えた。
そして、その首なき鎧の胴体を、巨大な鎌が斬り裂いた……!!
「……ごめんな! ちょっと寝てたわ!!」
口元の血をぬぐいながら笑ったのは、サルルバーンだった――




