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14・ドラゴンゾンビVSブロックヒロインズ

「いくらなんでもこれは聞いてないぞ!?」


 ドラゴンなんてものは、騎士団が総出で戦うべき相手だ。

 油のような妙な液体をだらだら垂らすゾンビとはいえ、ドラゴンには違いない。

 そんなのがうろついていたら、真っ先に討伐対象だ。

 よりによって逃げ道の少ない廊下に出てきたのがやばい。

 訓練どころじゃない!


「サルルバーンさーーーーーん!! やばいでーーーーす!!! ドラゴンゾンビいますーーーーーー!!」


 入り口に向かって叫ぶ。

 少し間あって――


「あははー! 冗談はやめぇやー! ドラゴンゾンビなんかおるわけないやろーー!」


 ダメだ。信じてもらえない。

 いっそそっちに逃げて――


「グルルルルルルルル……!」

「マスター! 背を向けたらやられるよ!」

「みたいだな!!」


 ドラゴンゾンビは完全に攻撃態勢だ。

 口の端からちろちろと炎が漏れている。

 こんな廊下で炎のブレスなんか吐かれたら終わりだ。

 ヤツの体の油に引火するのかはわからないが、どっちにしろ、火だるまが一体増えるかどうかの差でしかない。


「ボクが守るよ!!」

「拙者の後ろに!」

「いや、銃使いの後ろが一番、安地(あんち)……」


 もめてる場合か!!

 個性が強い奴らは、たいてい緊急時でもこうなる!!

 やはり、俺がまとめるしかない……!!


「エルピが前!! ナダレは中盤!! アイロが俺の前だ!」

「ムフ……」

「えー? ボク、マスターを守りたい」

「拙者ぁ強いんだから、前か後ろじゃない?」

「黙れ!! お前らはプロだろ!! プロならプロの働きをしろ!! それともマスターの指示も聞けないようなアマチュアなのか!?」

「!」

「敵が来てるぞ!! プロの仕事をしろ!!」

「わかったー!」

「承知―」

「……ラジャー」


 もめている間に、ドラゴンゾンビは近づいてきている。

 駆け引きできるだけの知能はなさそうで良かった。

 もめている隙に火でも吐かれたら目も当てられなかった。


「エルピ! 派手な動きでドラゴンの注意を引いてくれ!

 ナダレは隙を突いて攻撃!

 アイロはその間に右の壁を破壊してくれ! たぶん、隣の部屋に入れる!!」


 俺の指示に頷き、一斉に動き出すヒロインズ。


「派手に動くのは大得意!!」


 エルピはバク転を繰り返し、ゾンビに急接近。


「フシュアアアアア!!」


 ゾンビは、腕を振り下ろす。

 だが、エルピはそこにはもういない。

 壁を蹴ってドラゴンの頭の上へ。


「そりゃ!!」


 両手のナタ剣がドラゴンの頭に炸裂する。


「ゴアッ!!」


 頭こそ割れなかったが、衝撃で油が撒き散らされる。


「うわっ、ばっちぃ~」


 天井に片方の剣を突き刺し、ぶら下がったエルピ。

 はねてきた油をぬぐおうとしているが、無防備すぎる。


「ナダレ! 今だ!」

「あいよう!!」


 エルピに注意が向いているドラゴンの顔面を、地を這うような刀の斬撃が襲う!


「逆さ三日月!!」

「ガァアアッ!!」


 ダメージを受けて大暴れするドラゴン。

 腕や尾を振り回し、暴れ回る。

 エルピとナダレは上手くそれをかわす。

 ゾンビの鈍重さでは、二人を捉えられない。

 遭遇したら絶望しかない魔物相手に、ヒロインズは完全に渡り合っている!

 嬉しい誤算だ。

 おそらく、【身体強化】系スキルの、中級程度の運動能力は最初から備えているのだ。

 ならば三人は、騎士団の小隊に匹敵する存在だ。

 そんな相手に、敵がとる選択肢は間違いなく――


「フシュ……フシュアアアアアアアアアアアア!!」


 腐りかけの顎が千切れんばかりに開かれた口から、廊下を埋め尽くすほどの猛烈な勢いで炎が放たれた……!!

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