第7話 ポーション革命の始まり
仮眠をとった後、ルークは魔法ギルドを訪れた。
「新しい魔法を開発した。特許を申請したい」
受付で言った途端、周囲がざわつく。今時、新しい魔法が開発されることはそう多くない。それに、特許を申請できるような凄い魔法はめったに出てこないからだ。
「どのような魔法ですか?」
受付嬢の質問に、ルークはニヤリと笑い、言った。
「魔力回復ポーションから苦味だけを取り除く魔法だ」
一方その頃、恵はメレーの元を訪ねていた。
メレーはポーショングミを食べると、言った。
「これはうちでは扱えない。ポーションと同じ効果があって、ただのお菓子ではないからね。よし、冒険者向けのポーション店に話をつけよう」
その日のうちにメレーに連れられ、街でも評判のポーション店を訪れた。
店主は最初こそ半信半疑だったが、ポーショングミを口に入れた瞬間、表情を変えた。
「……本当に魔力が回復するな。効果はポーションと同じなのか?」
「はい。普通のポーションと同じ効果があります」
店主はもう一粒食べる。
「苦くないな。確かに菓子みたいだが、ちゃんとポーションらしさも残ってる」
「そこが売りです」
「なるほどな……」
店主は腕を組んで考え込んだ。
「冒険者はポーションの味を嫌がる奴が多い。携帯しやすいのもいい。戦闘中に食べることもできるだろうな」
そして、
「面白い。うちで扱ってみよう」
そうして販売が決定したのだった。
ところが今度は新しい問題が浮上した。家に戻ってグミを生産しつつ三人で頭を悩ませていると、
「どうした? 浮かない顔をして。何か問題でも起きたか?」
「ルーク!」
ルークが帰ってきた。
「特許はどうなったんです?」
「無事申請が受理された。三日以内に審査が行われて、取得可能か決定されるそうだ。それから職人ギルドにも行って、ポーション職人と交渉してきた。今日にも僕の開発した魔法陣を導入して生産を開始してくれるそうだ。来週には苦くないポーションが市場に並ぶぞ」
「おぉ! 凄いな!」
レティシアが声を上げる。
「普通に買えるようになるんだね!」
わたしも思わず身を乗り出した。
「そっちはどうだ?」
「上手くいって、ポーション店でグミを販売してもらえることになったよ。でも……」
新しく浮上した問題、それは。
「販売は決まったんだけど、今の生産量じゃ全然足りなくて……」
そう。グミの量産体制ができていないことだった。
「わたし一人じゃ、ずっと作ってても、販売が始まったら絶対足りなくなるよ」
「そうか……生産に人手が欲しいところだな。ん……? 待てよ……」
「?」
ルークは腕を組み、しばらく黙り込んだ後、口を開いた。
「メグミのスキルを解析すれば、魔法である程度の再現ができるかもしれないぞ」
「そんなことができるの!?」
「なるほど。理論上は可能ですね」
フィンが頷く。
「以前お話しした通り、魔法そのものがスキル解析から生まれた技術ですから」
「恐らく、無から有を生み出すのは無理だ。だが、材料を加工してグミに変えることはできるかもしれない。試してみるか?」
「うん!」
「面白そうだな!」
レティシアが身を乗り出す。
「また徹夜になりそうですね」
フィンが苦笑して肩をすくめた。
(もし量産できるようになったら、もっとたくさんの人にグミを届けられる。この世界中にグミを広められるかも!)
そうしてわたしたちはグミの量産化に乗り出したのだった。




