第7話:ルピー属性が落とした奇跡
第7話:ルピー属性が落とした奇跡
朝の平原は予想通り誰も居なかった。そしてルピー属性のスライムから試す。これに限る。実際ルピー属性のスライムと通常のスライムでは経験値は変わらないが、落とすルピーの平均的な取得額は50ルピー程度しか変わらず、ほとんど結婚した旦那さんのお小遣いくらいだ。たまにレアな鉱石や宝玉が手に入るがだが、今はそれでいい、冒険者育成機関でのルピー属性装甲実験で爆薬丸で壊せる装甲は把握済み。今のヒュドラ・ストライクソードもあればルピー属性のマーターズドラゴンも仕留めれなくは無い。ただ実験は段階的な物だと俺は昔から考えている。
その時だった、ルピー属性のスライムが十数体まとめて突っ込んできた。
「爆薬丸、点火!」
3個の小型爆薬丸を転がし、ルピー属性のスライムの動きが止まった。そして興味深そうに眺めている。
「……3、2、1……」
朝焼けのフィールドに爆音が鳴り響いた。
同時にスライム達のルピー属性装甲にヒビが入っており、そこをスパイクで素早く刺して、装甲を砕くと同時にヒュドラの毒で瞬殺する。
「……タイムは25秒か。本来なら5分はかかるだろうから合格だな」
他の冒険者が集まる前に戦利品を獲得し、足首ほどの草原を駆け抜け、すぐに家に戻る。
家に戻るまでエルザイムの衛兵や叩き起されて不機嫌そうな高ランクパーティが向かっていくのが見えたが予想済み。だから裏道からの家だった。路上生活冒険者が何名かおり、目も当てられず今日一日の食事にはなる10ルピーを全員に配った。
そして、家に着いて、戦利品袋を開けた時だった。
「嘘だろ……聖石の根源玉……何故だ……?ルピー属性のダークドラゴンですら落とす確率は平均0.5%と言われ、ルピー属性スライムなら0.001%あるかないかだぞ……」
思わず独り早口をしてしまい、悩む。この根源玉があればSSランククラスの武器には必須の為一気に大金が手に入る。だが、市場に行って値段を聞くのはリスクが高すぎるのも事実。
今日のこの爆破で、噂になってるはずだ。
「防盗金庫買うか……」
平原とは反対側にある、北の金物屋に出向き、金庫を眺める。
「高ぇ……」
視点を右や左に移す俺を見て、店主さんが一言声をかけてくれた。
「お客さん、どんな金庫をお探しだい?」
「防盗金庫でそこそこ良いモンスターの素材がしまえるやつが欲しいですね」
「なるほど、なるほど。美味い話を聞いてくれないか?」
俺は少し用心しながら聞かせてもらう。
「実は未知の金属で出来た防盗金庫があるんだ。アイアン・ホークのスキル持ちの冒険者から買ったんだが、妙に柔らかく、柔軟性が高くてな……俺の予想では爆破には弱いが、斬撃や打撃には強いと思うんだが……何せこの街は小型爆薬丸が格安で買えるから困ってるんだ。5000ルピーで売るから、耐久試験してくれないか?壊れたら試験代100ルピー出すからよう」
「いいでしょう」と言い、俺はヒュドラ・ストライクソードを取り出す。
「あんた、ストライクソード使ってるのか……丁度いいな。ちょっと持ってくるから待ってな」
そう言って店主さんは全辺50cmの金庫本体と床に敷いて、金庫を固定してドアから運べないようにする金属板を持ってきてくれる。
「どっこいしょと……、さぁ兄ちゃんやってくれ」
「二撃与えてもいいですか?」
「どうせ、防盗金庫としては半人前未満だ。惜しいが壊しちゃって構わないよ」
俺はヒュドラの剣を引き抜き、店主さんが離れる。
「はっ!!」
持ち手から伸びるスパイクを突き刺すように、全身の力で突き刺した後に素早くジャンプ斬りをする。
ガキィィィーーン!!と激しい金属音が鳴ったが壊れなかった。
「兄ちゃん……驚いたよ……初心者冒険者なのにストライクソードを使いこなして、しかもヒュドラの毒も使って侵食もしている……約束通り5000ルピーで売ろう」
俺は気前よく渡し、ついでに100ルピーのチップも忘れずに払う。
この100ルピーは今後お世話になるかもしれない人間にしか渡さないのが俺の基本だ。チップという文化がまだ根付いてない以上気持ちとサービスへの感謝をお金に変えて渡すことで顔を覚えてもらう。これが狙いだ。
店主さんは100ルピーに喜び、家まで金庫を馬車で運んでくれて、防盗金庫を設置してくれた。
もちろん先に俺が家に入り、焔煌龍の利刃には布を被せておき、変な噂が広まるのを防ぐ。
「お兄さん、新人冒険者なのにいい部屋借りれたねぇ。そういえば明日は冒険者育成機関卒業パーティの入隊式だったね。これをオマケに渡すよ。チップの100ルピーには全く及ばないが受け取ってくれ」
店主さんからベルトが付いた小型金庫を渡してくれる。
「いいんですか!?」
「なぁに、これくらいお安い御用さ。これからもアルイド金具店をよろしくな!」
そう言って店主さんは去る。入学前に冒険者にとっては便利アイテムを手に入れて
ワクワクしながら、魔導通信機を取り出す。
さて、今日最後の仕事をするか。
レギオスに魔導通信機で電話する。
「ディレオス君か、どうした?」
「短い話だから安心してくれ、聖石の根源玉って今いくらで取引されてる?」
彼は少し黙り、書類をめくる音が聞こえる。
「僕がいるレオーサー帝国だと最高値で2億8000万ルピーだ……まさか!?」
「ここだけの話にしてくれ。俺はこの素材を村の再興に使いたいと思ってる。だから盗まれるわけにいかないんだ」
「分かった。内密案件にしておく。余計なお世話なら済まないが希望小売価格価格はあるか?」
俺は悩んだ。2億8000万の誘惑でも凄いのにこの先いくらまでいけるのか……
「いくらまでいけそうか?」
「それを決めるのが冒険者だろ?」
「……5億ルピーだ。俺は村を絶対に再興して、全員分の墓と神の摂理という理不尽な呪いで苦しめられた過去を語りつつも新しい村として多くの人に豊かな暮らしをさせたい」
彼は黙って聞いてくれた。そして、メモを取る音が聞こえ、通話が続く。
「その根源玉の中心に虹色の塊があるか?」
俺はすぐに根源玉を見ると薄くだが虹色に輝く球体が眠るようにハマっていた。
「薄くだがあるぞ」
「実は僕のパーティに知らせが届いて、皇帝陛下から武器の材料を集めてるらしい。僕が皇帝陛下に直談判で5億で買って貰えないか交渉してみる。もちろん入試首席の僕がタダで引き受けるわけないと分かるよね?」
俺の返事は「あぁ」の一言に詰まっていた。
「モンスター狩りは難しいだろうから、何時でもいいから君の冒険者育成機関時に作っていたルピー属性装甲対抗レポートを送ってくれ。なにぶん僕のパーティもお金不足だ。どうかな?」
「分かった。速達便で送る」
「ありがとう。それじゃぁね、世界一の帝国との交渉だ。時間はかかるかもしれないが出来たら連絡する」
互いに「ありがとう」と言い、通話を切る。
「5億か……」、そう呟き、聖石の根源玉を防盗金庫にしまう。
再び興奮して眠れない夜を過ごし、翌日のBランクパーティ入隊式の朝を迎えた。
こんばんは!ご拝読ありがとうございます!徹夜明けに投稿しております!夜食なのか朝食なのか微妙な食事をとった時に思ったのが人間は飯には勝てないと痛感しましたね…黒井は朝からとんこつラーメンやトンカツを食べれるくらい元気な朝が多いのでカロリーを爆装して一日を色々過ごしてます。友達からはよく朝からよくそんなに食べれるねなどと言われることもありますが、個人的には一日を良くする秘訣だと考えてます!それでは、皆様いい夜をお過ごし下さい!




