第40話:私欲に塗れた代行者VS冒険者育成機関の教官
第40話:私欲に塗れた代行者VS冒険者育成機関の教官ハーフヴァンパイア
「ハーフヴァンパイアがクソガキ冒険者育成機関の教官とは笑わせてくれる!日光結界!」
「貴様……学生達をまだクソガキと言ったな……私を侮辱するのは構わないが生徒を侮辱するのは気に入らない。少し本気を出す」
俺の視界に喧嘩現場が見えた途端ミリエル教官の足場が蒼く光だし、魔法陣が映る。
「アタックミリエルオブヒューマンレクイエムインフロントヒューマン!!」
マズイ!あの魔法は!!
「へぇ〜ハーフヴァンパイアの割にはやるねぇ。寿命が削られていくのを感じるよ。魔道破壊」
バリン!という音と共にミリエル教官の魔法陣が砕かれる。
「お前っ!何者だっ!」
「ディレオスって奴に魔力錬成の指導するように言われて来てみれば、クソガキがぶつかって来たから躾がなってないなと。そして当のディレオスも来たみたいだな」
「ミリエル教官、後は俺が引き継ぎます。あなたがゼルロット・アーセルさんですね。まずはこちらへ」
「はいよ。おっ、へカテオール最先任もいるのか。久しいな」
「私は君の魔力が嫌いだよ。『何人犠牲』にした?」
へカテオールさんの言葉の意味が分からなかったが、ゼルロットさんは一言「600くらい?」と言い、へカテオールさんからの殺意を感じたが、なんとか争いにはならず、本日2度目の面接となった。
レイラが飲み物をお出しする係を率先して引き受けてくれて、ゼルロットさんに飲み物を聞く。
「お飲み物は何になさいますか?」
「そうだなぁ……赤ワインの一番いいやつを。そしてこれはチップだ。麗しきお嬢さん」
「かしこまりました。ありがとうございます!お兄様!ワイン用意してもいい?」
「構わないよ」
レイラが一礼し、部屋から出ていくと、俺はとてつもなく大きなため息を吐き出す。
「神への欲求の断絶はどこへ?」
「ん〜?俺は欲求に素直な神父兼代行者だよ。不完全な人間らしい……だろ?」
この方は神父という役職にDランク以下の適性を無さを感じずにはを得なかった。ただ、素直なのは正直人間味があって好きなのは事実。そしてレイラに対しても怯えさせるような言葉なのではなく、優しく紳士に接して、チップまでくれた。このゼルロットさんは一体どういう人物なのか……ますます分からなくなってくる。
「それでゼルロットさんが俺の魔術力指南に?」
「まぁ、そんな所だ。正確には左遷だな、代行長官からもう帰ってこなくていいと言われたよ」
「ここに住んでもらうのは構いませんが、トラブルは避けてほしいですね」
「あれはディレオスをお呼びする為の演技だよ。君の経歴は調べあげている。ミリエル教官と喧嘩になれば自ずと姿を表すと確信していたわけさ」
頭が回るのか、少し異端なトラブルメーカーなのか。とりあえずどれくらいの魔力を持つなのか知りたいところではある。
するとドアが開くと、レイラがボトルと2つのグラスを揺ら揺らさせながら、なれない手つきで運んできた。
「お、お待たせしました!」
「レイラ、あとは俺が……」
「お嬢さん、後は私に任せてくれ」
一瞬の魔力を感じたと思ったら、グラスとボトルが浮きながらテーブルへと運ばれる。なるほど、術式詠唱無しでの魔力発動……代行者の中でもトップクラスの魔法の使い手なだけはある。
「おじさま凄い!他には何が出来るの!?」
「他にも変身魔法とか重力崩壊魔法とか使えるが……必殺の魔法は秘密さ」
レイラが目を輝かせながら握手をして、そのあとを手を振りながら、部屋を出ていく。なんだかとんでない人材が来たなぁ……教育も恐らくかなり厳しいだろう。だが、レイラを守ると誓った以上やるしかない。
「ゼルロットさん、魔力錬成の教育……よろしくお願いいたします!」
俺は席を立ち、頭を90°に下げてお願いする。
「いいよいいよ、堅苦しいのは無しで構わないさ。元々代行者は性にあわないと思っていたが、神がいると信じずれば死をも怖くなかったから代行者になったが、ここでは自由にやれそうだし、楽しむとするよ。さぁ、契約の乾杯と行こうではないか。賢王よ」
二人でワイングラスを乾杯させ、赤い濃厚で、深みのあるワインが今だけはとても美味しく感じた。
「ところで魔力錬成の基本ってなんですか?」
「簡単さ、俺に向かって固有スキルと魔法攻撃のみをするだけでいい」
え?それだけ?
あまりに単純すぎて呆気にとられていると向こうも理解してくれたようだ。
「原理としては魔力が底を尽きるまで使うと、身体は防衛反応として魔力貯蔵量を増やす。と言っても日々の積み重ねだが、俺の力も少し貸してやる。どんな力かは魔法秘密さ」
「ちなみに教育は週何日ほど……?」
「毎日に決まっているだろう?体の限界のその先へ。最弱スキルが最強にするならそれくらい必要さ」
これからは行政と魔力錬成という地獄の日々が続くのか……冒険者育成機関時代を思い出すなぁ……
「さぁ、俺はどこに泊まればいい?まさか青空ホテルとは言わないだろう?」
「一応ほぼ完成済みのギルド本部兼ディレオス街役所の中央本部で来賓の方専用の部屋があるので、そちらへ」
「ありがとう。少し覗いて見たが悪くない部屋だな。もちろん不法侵入した訳ではなく、グラウンド・アイという特殊な広域視界だ。魔法と固有スキルの並列とも言うべきかな。もちろん俺は神父だから女の子の入浴なんて覗いたりはしない」
「レイラの入浴を見たら殺します」
変態能力持ち神父代行者さんは「性欲は欲求の断絶で無くしたから、気にするな」と言ったが、欲求に素直な神父という自己紹介はどこへ……
「さて、ここからは商談と行こう。俺の給料は毎月いくらかな?」
「100万ルピーと住居は用意します」
「そういえば俺に魔法を教えてほしい大富豪のおじさんがいたなぁ」
「アイスワインの天然ワインセラーにワイン100本付けます」
「もう一声あると、ディレオスをもっと強くできるんだけどなぁ……」
「……年3回にボーナス+200万ルピーでどうですか?」
「乗ったよ、その船」
本当に欲求の断絶をしているのだろうか……だいぶな私欲の塊に見えるが……
そのままゼルロットさんと話しながら、ディレオス街役所に送り届けていたら、かつての故郷が最強クラスの吸血鬼の1人に滅ぼされたらしく、彼だけが気に入られ、莫大な魔力と魔力制御能力を貰い、生かさせてもらったが、報復に殺すほどの技術と覚悟を持っていた話を聞いた。この人が神を信じる理由はきっと亡くなった一族の想いがあるのではと思わずにはいられなかった。
「ゼルロットさん、その……あまり良くない言い方かもしれませんが、故郷を滅ぼされた者同士共にいつか悲願の達成を」
「……ありがとよ。だけど俺はもう一族の事はなんとも思っちゃいねぇのが本音だ。死んだら神の身元で美味しい紅茶でも飲んでるさ。それが俺の一族なんでね、俺が来たら喧しくなるだけさ。それじゃあ明日の朝6時からとっくんだから覚悟しとけよ〜」
「はい!お願いします!」
俺は一礼した後にギルド本部の初期メンバー及び幹部会議室へと顔を出した。
新築なのか床を踏んでも音すら立てず、階段の堅牢さ安心感を覚え、大きなドアをノックしてから入る。
「レオスリーダー、お疲れ様です。ユルミナさんもお疲れ様です」
「ディレオス、ちょうどいい所に来てくれた。ユルミナがレイラに剣技指導を頼んできたんだが……構わないか?」
「少し連絡してみますね」
魔導通信機を取り出して、番号を入力し、レイラへと繋げる。
「もしもし、お兄様〜?どうしたの〜?」
「今日家に来たユルミナさんっていう紅い服を着た冒険者さんいるだろ?その人の剣技指南を頼めるか?本人からの依頼なんだ」
「え!?私が先生!?やる!絶対にやるから明日の午前6時に家に来るように伝えて!それじゃあ!」
通話は切られてしまった……レイラ、嬉しそうだったなぁ……
「ユルミナさん、レイラの許可が取れたので明日の朝6時に俺の家に来てください」
「ありがとうございます!ディレオス街長!不屈の紅剣士としてどんな厳しい訓練でも耐え抜いてみせます!」
「レオスリーダー、心強いですね」
「そうだな。俺も鍛えないと……明日にでも階層宮にでも行こうかな」
俺は「行政はこちらでしておくので、心置き無く行ってきてください」と伝えて、会議室を出る。
さて、明日からの魔力錬成頑張るか。その晩はアリーナ姉さんの手作りカレーをレイラと姉さんとレギオスと共に食べて、早めに寝た。
ご拝読ありがとうございます!いつも皆様に支えてもらって第40話まで行けました!本当に感謝してます。そんな中次回作へのモチベーションやこのロケットパンチシリーズの一旦区切りまで行けるように評価やブックマークをしていただけると大変心強いです!よろしくお願いいたします!それでは良い夜を!




