第23話:人類の最後の希望達
第23話:人類の最後の希望達
国際ギルド連合軍本部アステリア:ギルド連合図書館にて
ミラ・リブレイドを腰から下げて、黒いコート付きの鎧をなびかせた最高司令官の3歩後ろに、17名の高ランクの装備を身にまとった美男美女の集団「人界の天武帝達:ラストオブ・ホープエンペラーズ」は連合図書館へと、白御影石の純白が日光を反射しながら、足を進めていた。このアステリアの道路が何故高価な白御影石で出来ているか。血の色が目立つ為だ。これは死傷犯罪の証拠の手段と見た目の良さ、そして最大の理由はここが数少ない人類の最後の砦の1つであり、魔物の血なのか人の血なのか区別するためである。
連合図書館に着くと最上位クラスの聖騎士達が敬礼し、我らも敬礼を返し、高さ3mの木と鉄出来たドアを開けて、司書長と話す。
「要件は先日伝えた通りだ。『冒険の記録』を確認したい」
「はっ、最高司令官殿。こちらへどうぞ」
司書長は我らが足早にしてる事から、自らも足早に4つの鍵で施錠されたドアを開けて、中にお通しする。
冒険の記録、それは司書長家が代々が引き継ぐ固有スキルであり、無ければ代わりの司書長が選ばれる。そのスキルは全ての冒険者及び引退冒険者、聖騎士、聖騎士候補生、ギルド連合軍の戦闘員といった戦闘能力を持つ全人類の詳細なデータであり、変更される度に自動的に書き換わる。
「さてと……我ら天武帝と呼ばれる人類最後の希望が集まったのは他でもない異適の出現に伴い、撃滅メンバーの選定を手伝ってもらいたい。秘書次官……いや、レアーナ。各自に担当大陸の記録を渡してくれ。ここでは、名前で呼びあってくれ。連携を高めるためにも、仲間としての意識としてでも」
「「「はっ!」」」
レアーナが素早く本棚から何冊もの本を取り出しては16名に配り、それが終わったら、彼女は各自にお茶を用意する。
1時間ほどが経過した頃、西大陸を担当していたロスターメロイ魔剣帝が声をかける。
「ギルセイド最高司令官、このディレオス・アークラーの持つ片手剣が……ランクZってどういう事だ?」
「なに?」
私は近づき書物を確認する。他のページも少し見たが異常はない。天武帝達の視線が集まる中で、私は「作業を続けろ」とだけ言い、考える。詳細は神を殺せる聖呪毒を纏った剣であり、生命を犠牲に剣の真の力を解放できると……
「直接会う必要があるな……万が一敵対勢力と考えて……」
私は2分ほど思考を巡らせ、レアーナに伝える。
「カリデウス機装帝、ロスターメロイ魔剣帝、サディウス魔弾帝はギルセイド最高司令官と共に旧ディレオス村に向かってください。その間のギルド連合軍の指揮は私が執ります。3日連絡がない時点で連合軍総力戦に移行します」
「はいよ、久しぶりに力を見せる時か……」
「Zクラスですか。私の天界の機獣なら時間稼ぎくらいにはなるでしょう」
「僕の魔弾なら弾くために時間は稼げるかなぁ」
カリデウスの機装帝、人類最強の機獣を操る固有スキルの機獣操作を持つ最強の戦力の1人。ロスターメロイ魔剣帝、通称魔剣の武器庫と呼ばれ亜空間から無数の様々な特性を持つ魔剣を無尽蔵に撃ち尽くす。本人以外が持つと呪われ、剣自体も数分で崩壊する。サディウス魔弾帝は二丁のリボルバーライフルを扱うが銃弾を材料さえあれば自由に創造し、必中の呪いと共に発射する強力な固有スキル持ちだ。そして私ギルセイドは凍夜の虐殺の固有スキルを持ち、全てを凍らせ、一流の冒険者でも2分で死に至らしめる。ただし、夜になるとこのスキルはさらに強化され、氷点下50℃を超える温度まで周りを下げて、数体の標的には氷点下200℃まで下げられるという異適の前では無効化されるが、対人戦ならまず負けない。
4人で港まで向かい、他にも数十名の聖騎士と共に旧ディレオス村のある大陸までの船旅を始める。
久しぶりに乗るギルド連合軍専用のお召艦は贅沢な内装でワインも無尽蔵と思えるほどにあり、一流のシェフが最高の食事を提供する。大食堂ではオーケストラによる静かな音楽と共に美術品のような料理に舌鼓を打ち、フカフカのベッドで休める。
が……我々の4名は戦法を必死に考えていた。
「Zクラスってそもそも実例がないですよね〜少なくとも僕は聞いた事ないです」
「私もDからSSSクラスは知ってますが……Zは上なのか下なのか……」
「どちらにしろ上に決まってるだろ。下なら山ほど記録されてるはずだ」
「剣に詳しいロスターメロイに聞きたい魔剣としたらどんな物が考えられる?」
彼は冒険の記録にあった内容をメモした用紙を見ながら考える。
「少なくとも魔剣のような性質ではない……と考えている。そもそも神殺の降臨剣という名前と神すら殺す聖呪毒……魔剣は元々属性剣がより魔法の力を得やすくした物に由来する。だからこんな奇天烈な神殺しの猛毒なんて想像がつかない」
「確かに奇天烈という言葉が最も似合う剣はこれ以外は無いな」
その後私を含めた3人は酒を楽しむが、サディウスは未成年で連合軍規律ではお酒は飲めないため大好きなオレンジジュースを楽しんでいた。
「サディウス……もし、死なせたらすまん……」
「大丈夫ですよー、ギルセイド最高司令官はどちゃクソ強いじゃないですかー。信用してますよ、成年になった時の御祝儀期待してます!」
「ハッハッハ、いいだろう、千万単位で渡そう」
「閣下、無駄遣いしたらレアーナ秘書官に怒られますよ。何せ死霊使いの女王の異名を持ってますからね。怒らせたら私の機獣ですら呪殺されますよ」
4人で笑った後は寝ようとした時だった。ドアベルが鳴り、私がドアを開ける。
「ご休憩中のところ失礼します。アリーナ最高聖騎士総長です、ディレオスについて話が……」
「構わん。ラウンジで話そう」
彼女と共にラウンジに向かい、銀髪のストレートロングに翡翠の瞳。高身長ながらも優しい顔つき。その見た目で聖騎士総長は無理があるとさえ思えた。
「実はディレオスは……私の異父姉弟です」
私はグラスを落とした。待て……どういう事だ?ここに居る戦闘要員の資料は調べ尽くしたはずだぞ。
「まぁ詳細は今はいい。敵対してると思うか?」
「ありえません。私が保証します、なのでディレオスを殺す判断はしないでください……」
彼女は頭を下げ、この姉弟は化け物揃いと思いながら、新しく用意されたカクテルを飲む。
アリーナ総長の固有スキル森閑投影。その名の通り森がしずまりかえるかのように姿が見えなくなり、突然目の前など様々な方向から斬られる。もし彼女が寒さに極端に強ければ私の首も落とせる。それ程にまで彼女は若くして強い女性騎士だ。
そのまま彼女から幼少期のディレオスの話を聞いてほぼ確信した。彼は敵対ではない可能性が高いと。ならば威圧で従えるのが合理的と考えるのが自然だ。
こんばんは!いつもお手に取っていただきありがとうございます!
最近は執筆してるとすぐにお腹が減るようになってしまい、食事との格闘が続いております…
空腹になると作品のクオリティがかなり落ちるので悩みどころですね…でもくろいはちょっと体重増えているので食べる量も控えなくてはなりません…難しいです…皆さんも食べる量はコントロールするのが健康の秘訣らしいです。それではいい夜を!




