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第2話:レボリューション・チルドレン

第2話:レボリューション・チルドレン

その日の夕方まで家宛ての手紙を書いていた。

「……お父さん、お母さんよろしくお願いいたします。っと、レスティアのお父さん、書けました。お手数おかけします」

「そうかしこまらなくていい。君はレスティアの指導役なのだ、期待している。あと私のことはお父さんで構わないし、尊敬を込めてくれるなら主人でも構わない」

これが上流階級の文化か……主人と呼ばせてもらおう。多分その方が適切なはずだ。

「では、主人よろしくお願いいたします」

「うむ、確かに受け取った。時にディレオス君に問いたい、どうやって知から離れた村で次席の学位を取った?」

え?俺の農村……知から離れた村って呼ばれてるの?

「す、すみません……知から離れてるとはあまり思ってなくてちょっと動揺してます……」

主人は「なるほど」と付け加えてから小学校時代から抱いてた違和感を問う。

「君の同級生は皆あまり好奇心が無かったんじゃないかね?」

「言われてみれば……小学校には15名ほど居ましたけど皆あまり授業を真面目に受けませんでしたね……先生もあまりやる気があるとは思えなかったのが本音です」

主人は小さく「レボリューション・チルドレン……か……」と漏らす。

「レボリューション・チルドレン?」

「地下の蔵書室を見るといい。君なら探し当てるだろう、夕食の時にうちの使用人も顔を合わせたから大丈夫だと思うが、深夜に起きてると当直の使用人に怒られるから気をつけたまえよ」

「は、はい!お心遣い感謝します!それでは、主人おやすみなさい」

自分の部屋に戻るとノートを開き、村とこの街での違和感を箇条書きで洗い出す。

知的好奇心の高さ、感情の振れ幅、貧富の差……

俺は心を抑えきれなかった。地下の蔵書室に行くために、こっそりと深夜の豪邸の隠密任務を開始した。隠密という言葉は小学校の辞書で学んだ。秘密に物事を行う事が由来してるとか。言うなればこれは主人の助言を聞かなかった事から秘密裏で無ければ主人の顔に泥塗る事になる。見つかってはいけない。

邸宅内を静かに、動き、足音を立てずに忍び足で捜索する。

そして、地下の階段を見つけ、慎重に降りていく。ギィィという木の軋む音を聞かれないように使用人のグラインさんが過ぎ去った後を狙った。そして知の宝庫、地下蔵書室のドアの前に立つ。

深呼吸をして、扉を開いた。

「やはり来たか」

「主人!?す、すみ……」

主人は俺の口に手を当てて、「静かに」と言いながら部屋へ入れてもらえる。

「すみません……主人……」

「いや、合格だ。やはり君はレボリューション・チルドレンで間違いないようだ。そしてこれがその本だ」

主人は分厚い本を渡してくれる。皮の装丁が施されているが少し古くなっており、開いてみると紙の質も色もかなり昔のものだ。

目次を見て、俺は驚いた……

「レボリューション・チルドレンは好きな固有スキルを選べる……そして神の摂理に反することが出来る……」

「君なら少しは推測が出来たんじゃないか?もし出来てるなら聞かせてくれ」

俺は考えをまとめて、深呼吸だけしてから語る。

「あくまでも憶測ですが俺の村は神の摂理によって好奇心の高さが異常に低いんだと思われます。そしてレボリューション・チルドレンと呼ばれる才を持つ人はその神の摂理に反することができる……と」

「好きな固有スキルについては?」

「そこまでは……推測すら出来ませんでした」

主人はメモを取りながら、頷いている。

「12歳でここまで正しい推測が立てれるなら上出来だ。来週の入学式を終えて、卒業時に君は好きなスキルを取るといい。私は関与しない」

俺は唾液を飲んだ。これを言えば反対される、きっと。だけどここで言わなくては主人への裏切りになると俺は子供ながら分かっていた。

「例え……ロケットパンチでもですか……?」

「……異議は無いといえば嘘になる。だが所詮私も娘も神の摂理を破れなかった人間だ。だが破れた君なら何か得られるだろう。話だけは聞かせてもらうがね」

「ありがとうございます!」

「静かに……遅かったか……」

階段をダンダンと駆け下りる音が聞こえる。

ドアをガタンと開き、グラインさんが拳銃を向けながら、警告した。

「くせ者!……失礼しました、旦那様。最近盗人が街に出没しているらしく、つい……ですが旦那様、育ち盛りの子供を夜更かしは感心できません。ディレオス様は私が部屋にお送りします」

「分かったよ、グライン。ディレオス君おやすみ」

「すみませんでした……おやすみなさいませ、主人」

その後俺はグラインさんに叱られながら、部屋に戻り、夜を明かした。

翌朝からレスティアへの教鞭を取って欲しいと主人とレスティアから頼まれて、俺は勉強を教えながらあと3日の入学式を待つ事となり、簡単な基礎知識だけでも明らかにレスティアは村の人よりも覚えが良く、質問もしてくれて嬉しかった。そして入学式前日の夕方、二人で街を見下ろせる丘へと向かう。

「ディレオス君、この丘はね……昔、戦争でターニングポイントっていう重要地点だったそうだよ。だからあなたにターニングポイントになって欲しい」

俺はドキドキしていた。告白でもされるのかと。

「私を人類の天座に連れて行って……」

思いも寄らない言葉に驚いたが、俺はすぐに脳内を整理する。

「本気で言ってるなら相当の覚悟がいるよ。1番入りやすい第5軍でも冒険者全体の0.0001%未満と言われてる。レスティアはどうしてそこに?」

人類の天座、それは世界最強の冒険者国家のレオーサー帝国にある、世界最強のSSSランクパーティ。

「私の憧れ……、凱旋パレードを見た時にその気高い瞳と信念は本物だった!私は本気よ!私は絶対に諦めない!」

俺が格闘劇場を観て、ロケットパンチに憧れてるのと本質的には同じだ。ならば……

「……合格だ。明日からの休憩時間、俺がレスティアを全力で支援する。無論俺も最短ルートどころが確実ルートすら知らない。それでも俺を頼るか?」

「えぇ、ディレオス君は常識破りだもの。レボリューション・チルドレン……?とかってやつでしょ。地下の蔵書室で見たことあるわ。東の農村は好奇心が抑制されて、勉強はほとんど興味を持たない。そんなあなたが次席。だから確信したの」

そこまで知っていて、分かってるなら俺も本気で応えよう。

「わかった、一緒に人類の天座を目指そう!」

その晩は二人で事前に届いた、学生服の手入れとアイテムを相互確認して、俺達の下克上冒険者学生の生活が始まった。

こんばんは!黒井冥斗です!第2話でいよいよ冒険者育成機関のパートの始まりです!このロケットパンチシリーズは基本的には、そこまで難しく考えなくてもある程度楽しめるように作るのを心掛けているので、どうかお気軽にお楽しみください!

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