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第1話:人類の刃を目指した少年

初めましての方は初めまして!黒井冥斗と申します!お久しぶりの方はまた来てくださり感謝します!2ヶ月ぶりの投稿になりますが、これからしばらく毎日投稿していくので毎日見てくださるととても嬉しいです!

第1話:人類の刃を目指した少年

俺が見たかった光景こんなんじゃない……俺のロケットパンチ「弾丸殴打」の力はこんなもんじゃない!!

全てを壊す、限りなく、重く、速く、そして信念のこの拳で!!

目の前に立ち塞がる、神話の存在相手に俺は腰を低くし、拳を下げる。

「行くぞ……神を自称する悪魔よ!俺の拳は最強のスキルで、貴様の結界くらいいくらでも壊す!!」

どんなに理不尽な現実も、どんなに理不尽な強敵も倒してきた。この拳は最強の証にするんだ……!!

「人類最強でも……神でも……追えないこの拳がお前を打ち砕いてみせる!!ロケットパンチ『弾丸殴打』!!」

激しい光と共に視界が真っ白となった。


雀の鳴く声と母さんの呼ぶ声が俺を現実へと引き戻す。

「ディレオス〜!朝よ!今日冒険者育成機関の合格発表日でしょ〜!」

俺は母さんの声で目を覚まし、しばらくしつこい眠気と戦う。

眠気を蹴り飛ばすようにベッドから起き上がり、現実によく似た夢を思い出しながら、置き時計を眺める。

「夢……?あ……時間が無い!」

俺、ディレオス・アークラーは12歳から入学できる冒険者育成機関通称「人類の刃」に入学する為に小学生の頃から必死に勉強してきた。これで不合格通知が出れば、俺は晴れて農民決定だ。

下のリビングに降りると木の椅子に座りながら新聞を読む父、忙しそうに料理を焼く母さん。幸せな3人家族だが本当は妹でも居てくれたらなと思ってしまう。一人っ子なりの寂しさなのだろうか。

俺が椅子を引き、席に座るとお父さんが俺の顔をよく見る。

「ディレオス、お前悪夢でも見たのか?」

「え?」

突拍子もない質問に戸惑う。確かになんか夢は見た気がする。

「お父さん、どうして?」

「いや〜目が腫れてるから涙流したのかなって……深問いはしないが、何かあったのか?」

俺は記憶を巡らす。俺とよく似た男性が物凄い数の青い壁に向かってパンチしていた……意味がわからない。そして壁の向こうにはとても強い恐怖と戦う夢、俺とよく似た自分が輝く拳を発射していた。

それを上手く言葉には出来なかったが、父さんに説明すると、父さんは不機嫌そうになる。

「ロケットパンチのスキルはダメだぞ。あれは使い物にならない最弱スキルだ。お前を格闘劇場に連れて行ってからずっと欲してるようだがダメだ。お前が本当に冒険者を続けたいならやめておけ」

肉を焼く香ばしい香りとは裏腹に、俺には意地でも取りたいスキルとしてロケットパンチがある。お父さんの頑固メガネ頭は承知のつもりだが、これは譲れない。

「ディレオス、ハムトーストよ。さっさと食べちゃって」

母さんが白い円形をしたシンプルな皿にトーストの上にハムを載せて焼いただけのご馳走を出してくれる。

「ハムは久しぶりだよね、母さん!」

「ディレオスはこの6年間頑張ったからねぇ、不合格でも『家』という仕事場がある!気軽に行ってきなさい。それとアンタは早く畑耕してきて。種が腐る前に植えないと大変だよ」

父さんは「へいへい」と答えて、家を出る。

「母さん……俺はロケットパンチを習得しようと思ってる……反対?」

「何言ってるのよ、ディレオスの人生で、ディレオスの冒険を母親が指図したら意味無いじゃない。ディレオス、あんたの冒険はあんたが決めるんだよ」

「ありがとう……母さん!」

飲み込むようにハムトーストを嚥下し、「行ってきます!」の声と共に山々が広がるこの静かな農村から隣の小さな町アルノスへ、一歩を踏みしめた。試験日もこんな静かな晴れの朝だった事を思い出し、太陽の祝福を浴びながら、飛ぶように隣の町へと向かう。


アルノスまで片道1時間半、恐らく街には多くの少年少女が集まって、合格発表を楽しみにしているはずだ。

そして街に着く頃には日も登り、多くの人で賑わっていた。露天商さんも気合いを出している品揃えで、お小遣いで何か買いたくなる欲求を僅かに感じながらも、冒険者育成機関へと早足で向かう。

「すみません、通してください!」

人混みを縫うように、押し切るように育成機関の門前に向かう、近づく度に少年少女は増えて、泣いてる者、喜びを噛み締めるかのように唇から血を流す者、大声で盛り上がる者。人それぞれだった。

そして俺も掲示板を見た時に名前を探す。最下位の合格者から眺めていくと、俺の名は……

「ディレオス……デ……ない?」

底無しの絶望が訪れた。悔しかった。恐怖で熱も無いのに悪寒がする。怖い、息が乱れ始めた。

足元から崩れ落ち、涙で石レンガの床が歪んだ、その時だった。

門が開き、育成機関長が直々に紙包みを部下に渡したのが見えた。だけどそれはもう関係ない。

「えぇ、採点の関係で成績上位10名の発表を致します!後日郵送でも合格発表はお届けします!」

俺が成績上位なんて……でも、だが、俺は6年間死ぬ気で勉強してきた。こんな所で終わってたまるものか!!

顔を見上げたら……そこには輝く銀色の文字で現実とは思えない名前が書かれていた。

「次席……ディレオス・アークラー……やったぁぁぁぁ!!!」

周りの視線が集まる中で、拍手をしてくれる人もいた。

そんな時優しい声が後ろから呼びかけてくる。

「君がディレオス君?」

振り向くと僕と同じくらいの身長で、銀髪の可愛らしい女の子がいた。

「は、はい!」

「あはは〜、私君に負けちゃったよ〜。どうも3位のロムス・レスティアよ。よろしくね?」

「あ、どうも……よろしくお願いいたします!」

「よろしく、レスティアでいいよ〜、どこから来たの?」

俺は考える、思えば住んでる農村に名前なんてあったっけ?一応通ってた木造3室の小学校はエルエン小学校……

「東の農村から来ました!」

「あー……景色は良いわね。私も何度かお父様やお母様と訪れたわ」

なんか気になる反応だった。あまり関わりたくないような……

「ねぇ、ディレオス君さえよければ私の屋敷で暮らさない?在学期間中だけでいいからさ」

え?街の女の子ってこんな気軽に人を住まわせることが出来るの?

「え、でも俺は……」

「もちろんタダではないわ、私に冒険者の勉強を切磋琢磨協力し、戦い合うライバルになってもらうわ!次席に教えてもらうならお父様も納得するはずよ。ね?お父様?」

レスティアの視線を追うと紳士服の片眼鏡の男性が頷いていた。

「ディレオス君、君を歓迎しよう。次席なら優秀な冒険者になるはずだ、娘を鍛えて欲しい」

俺は無邪気ながらも特に断る理由もなかったので、引き受けるつもりで答える。そして町の暮らしにも憧れがあったのも事実。

「わ、分かりました!でも先に家族に手紙を書かせて貰えませんか?」

「いいだろう。速達用の切手も貼っておけば明日には返事が来る。今日は興奮して疲れてるだろう、我が家に泊まっていきたまえ」

そしてレスティアさんの家に案内されると自分の家とは比べ物にならない大きな三階建ての煉瓦の屋敷だった。

そして、僕が案内されたのはレスティアさんの隣の部屋で、実家の4畳の自室よりも遥かに広い10畳の部屋だった。

その時、レスティアさんが部屋に入り、ドアを閉める。

「ディレオス君……冒険者の世界ってね、人の取り合いなの。あなたを私のお父様が出資しているAランクパーティ『ロードシアの翼』に来てもらう為に誘ったの。でも最初は育成機関の支配するBランクパーティで経験を積まないといけないから……いつか、よろしくね?」

え、え、Aランクパーティのお誘い!?これはもう棚からぼたもちどころが棚から金貨以上なのは間違いない!食べれないけどとんでもない導きだ!!

「よろしくお願いいたします!レスティアさん!」

「ふふっ、よろしくね」

冒険者育成機関への入学と同時に、新しい家への入居も決まった大きな1日はあっという間に夕方へと進んでいった。

ご拝読ありがとうございます!今日は5話まで投稿する予定なのでぜひ、5話まで読んでこれから追うか判断してくださるととても嬉しいです!現時点で12万文字書いているのでストックは十分にあります。安心と実績の黒井クオリティ(笑)でいかせてもらいます!

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