第17話:レオーサー帝国からの刺客
第17話:レオーサー帝国からの刺客
ロアノスのニューオーダーズの本部に戻るとリーダーが何か書類仕事してるのが外の窓から見えた。
「ただいま〜」
すると2階のリーダー執務室から声が聞こえた。
「ディレオスか〜!早く来てくれ〜!」
俺は駆け足で階段を上り、執務室に入るとリーダーは一枚の紙を広げる。
「これは……」
「新しいニューオーダーズ本部の設計図だ!カッコイイだろ!安価で丈夫な新建築素材のコンクリートで作られるんだが、ドラゴンの竜骨を十数本柱にして、耐えれるようにするつもりだ。しかも地下3階があって、上は6階建て!多くの仲間を迎え入れたいんだ!」
地下3階は過剰すぎないか?1階でもあれば充分な気がするが……
「リーダー、地下3階は何に使うんですか?」
「……ディレオスの村の住人の避難施設を考えていてな……全員は救えないかもしれない……だが助けられる余力があるなら助けるのがパーティリーダーの努めだと思ってな」
「リーダー……ありがとうございます!」
「いいって事よ!ところで神殺しの剣見せてくれないか?」
「はい!」
俺は鞘から剣を引き抜くと、リーダーはマジマジと見つめる。
「……ありがとう。大切にしまってあげてくれ」
「触ったりしないんですか?」
「確かに触りたいけどさ、剣とかの武器って自分の分身だと思うんだよね。それをやすやすと触ったりするのは失礼かなと思ってさ……」
「その考え肯定します」
リーダーは笑顔で、その後も防衛施設などの主に武力面と安全保障面での会談が中心に行われた。
「やはり機獣操作持ちは欲しいですね……」
「だな、仮にこの村が国レベルになった時に世界最強の武力帝国レオーサー帝国まで直線で100kmと考えるとかなり危ない。村規模でも駐屯地代わりにされる可能性は充分にある」
「頼れる筋は全力を俺は尽くします」
「良い意気込みだ!もう夕食の時間だし、酒場にでも行くか」
夜の初夏の風が吹く中で、ロアノスの静かな街を縫うように進む。
酒場に着くと、店主さんはリボルバーライフルを肩から下げていた。
「いらっしゃい!……迷惑客さん方か……頼むから店を壊すなよ」
「わーてるよ」
「この度はご迷惑おかけしてすみませんでした……」
カウンター席に座り、俺とリーダーは蒸留酒とドラゴンステーキのピザを頼み、手早く調理され、出されるのを雑談しながら待つ。
「店主さん、どうして武装を?」
「実は先日な……友人の酒場店が不法パーティに襲撃されて、そこに居たDランクパーティ共々殺られたらしい。生き残った客からは何百億ルピーはどこだ!と叫んでたらしく、俺の友人も殺されたよ……この街にそんな大金なんてある訳ないのにな」
「「……」」
「まぁ、お2人が持っていたとしても俺は酒代と食事代出してくれたらいいよ……お待ち!」
焼きたてのステーキとチーズのピザはとても香ばしく、優しくも空腹にはダイレクトアタックだった。そしてそれを蒸留酒で流し込む……はずだったが、店主さんのご友人やパーティメンバーを考えると食欲が少し失せた。
「はぁ……2人とも美味しそうに食べてくれよ……俺は酒代とか……伏せろ!!」
その時ズドンっ!ズドンっ!という銃声が響き、店が囲まれてる事に気がつく。
「お前ら!すぐに後ろからカウンターを盾にしろ!それまでは俺が時間を稼ぐ!」
ズドン!ズドン!と耳が痛くなる銃声の中で奥の店員用入り口からカウンターの内側に入る。
「そこに散弾銃が2丁ある!弾は20発ずつだ!無駄撃ちするなよ!」
俺は怯えながらも散弾銃を手に取り、弾を込める。冒険者育成機関で銃の扱いは習ったが実際に使うとは思ってなかった。
「チッ!あいつら不法パーティじゃねぇ。使ってる銀色のライフルと散弾銃、夜に溶け込む黒装束……間違いない、レオーサー帝国の特殊部隊だ」
「治安維持部隊は来るんですか!?」
「ロアノスの治安維持警察は銃器が無いから太刀打ちできねぇよ。俺達だけでやるぞ!」
「リーダー!銃の扱いは!?」
「10年以上前の冒険者育成機関以来だよ!」
俺は考える、この戦況を打破する方法を。マズルフラッシュと呼ばれる発射炎は6個見えたが、それだけではないはず。
リーダーが散弾銃をカウンター越しからドンッ!ドンッ!と撃つ。
「なんとか1名殺ったが、厳しいな……店主さんあんた元軍人か!?」
「元軍人だと言いたいが!ただの野生動物の狩人だよ!対人戦は初めてだ!」
その割には店主さんは既に2名のマズルフラッシュを見極め、単発のリボルバーライフルを正確に命中させている。そして極めつけは装填の速さだ。リボルバーのリロードはどんなに早くても狩人なら数秒から10秒以上は当たり前、だが、店主さんは指の隙間に3発ずつ挟み、1秒ちょっとで完了している。
「俺も負けてられないな!」
ドンッ!ドンッ!激しい衝撃が肩を蹴る。
「ぐっ!」
という命中した声が聞こえてくる。その時俺が一番近くにいたからわかった、裏口から入る音が聞こえる。斧で木のドアを壊す音だ。
「バック!カバー!」
俺はそう叫び、後ろから来る敵が店内へのドアを壊し、突入した瞬間にトリガーを引きながら、ポンプアクションと呼ばれる弾を薬室に送ることで素早く、5発の凶弾をお見舞いし、カウンターを盾にする。
「何人殺った!?」
「分かんないけど裏口からは撤退したはず!」
カチャン、カチャンと弾を装填してると、店主さんが後ろに素早く振り向き発砲する。
「詰めが甘いぞ!冒険者!」
そのまま銃声が止み、敵の気配のようなものは無くなる。
「なんとか……なったな。なぜ帝国の特殊部隊共が来るんだ?アイツらは金には困ってなそうだしよ」
店主さんは紙巻きたばこにマッチで火をつけて、煙を吐き出す。
「店主さん……あなたただの狩人じゃないでしょ?再装填の速度、素早い状況分析。元レオーサー帝国の遠征打撃部隊に居たんじゃないですか?」
俺のその質問に店主さんは、葉巻を弾痕が痛々しく残る灰皿に捨ててから答える。
「第101機動機獣連携連隊元エースオブエース、ウィスンティンガー・サークだ。最終階級は中佐だよ……全く言いたくなかったのに……秘密にしてくれよ?元軍人は冒険者に誘われがちだからな」
「「秘密にします」」
「あんがとよ。とりあえず店の片付けするから出てもらえるか?」
「代金置いときますね……」
俺とリーダーパーティ本部に着くと二人で声をかけなくてもやる事は決まっていた。
パーティの予備資金と神殺しの剣……狙われるには充分すぎた。
「ディレオス君、休暇終了まで俺と居てくれ。これは俺たちが招いた事だ。戦闘を拡散させる訳にはいかない」
「ですね、俺も同意です。銃が欲しいですね……」
「拳銃なら渡せる……古いヤツだが……」
リーダーは執務机の引き出しから黒いリボルバーを取り出す。
「強装弾(マグナム弾)が6発入る。弾は18発、何も起こらなければこれは俺からのプレゼントだと思ってくれて構わない」
「ありがとうございます。ロアノスの街を守りましょう!」
そして全員の休暇終わりに、パーティでディレオス村村民安全保障会議が開かれた。これが後に俺の村の再興の野心が世界に羽ばたくとは思ってもいなかった。翼の色はきっと……
ご拝読ありがとうございます!前にお知らせした吸血姫の執事シリーズの復活の件ですが…少々執筆の都合とメンタルの都合が合わないので少し見送らせて頂きます。楽しみにしてくださった方は本当に申し訳ございません…
大型連休も始まったので執筆のスピードも上げていきたいですね。それでは皆さん、良い連休を!




