第14話:白銀の機装元帥の右腕
第14話:白銀の機装元帥の右腕
明後日を迎えた時に、俺は何時頃に来るのか聞くのを忘れていた事に夢の中で気がついた。だが、それ杞憂だったようだ。
街が「来たぞ〜!」とか「元帥様!!」等と、歓声があがり、起こされた。
普通の服に着替えて、外に出ると中央の壊れた噴水の前にレスティアと主人が鎧を着て待っていた。
「おぉ〜!ディレオス君、久しぶりだな」
「ディレオス君!元気にしてた?」
「お久しぶりです、主人。レスティア」
するとレオスリーダーも慌てて出てくる。
「白銀の機装元帥……」
「リーダー、その名はなんですか?」
主人が代わりに答えてくれた。異名と呼ばれる冒険者世界では畏怖され、尊敬される言葉と共に。
「ロムス・エスターリア。異名は白銀の機装元帥、最高討伐モンスターは階層宮第45層進撃の巨獣アース・ディザスターだ」
レスティアのお父さん……強すぎないか……?
「早速だが詳しい話を聞きたい。パーティリーダー案内してくれ」
「はっ、はい!閣下」
街を歩けばとんでもない視線を次々と浴びながら石畳の街を歩き、パーティ本部に案内する。
そしてパーティ大会議室で自己紹介を済ませ、会議が始まった。
「以上がお……私の意見であり、可能な限り、龍玉を手に入れたいかなと」
エスターリア閣下は静かに目を瞑りながら頷く。
「……いいだろう。ただし私一人で倒させてもらう。それが依頼料だ」
「そんな!主人危険すぎます!」
「安心したまえ、ディレオス君。私自身そろそろ前線復帰の予定が国際ギルド連合軍から来ていてな。実力把握にはちょうどいい。今から行くぞ」
「「「え?」」」
パーティメンバーも俺も含めて困惑し、止めに入る。
「閣下、恐れ多きながら難しいのでは……」
「なーに、第50層のオーディーン・ブラックナイトに右腕を持ってかれて、前線を退いたがマルっと15年休憩は長過ぎた。行くぞ!」
その覇気に俺達は押され、主人の馬車に乗せてもらい、エルザイムの南の洞窟まで2時間ほどだった。
「主人、もう少し待ちましょう。エンチャントダイヤモンドドラゴンが寝てる所を……」
「いや、実力確認だ。起きてなければ意味が無い」
すると主人は小型爆薬丸を取り出して奥に投げ込む。
ドンッ!という爆発音の後に耳が痛くなるような咆哮と共にダイヤモンドブレスが周囲の鉱石を変成させながら飛んでくる。
あ、死んだわ俺。と誰もが思っただろう。その時だった。
「守れ!アーキテクト!」
主人の右腕が変形し、素早く機獣へと変わるが白銀の名に相応しい色をした明らかに普通の機獣と違うものが前に出て結界で防ぐ。結界とダイヤモンドブレスがぶつかる時の衝撃波は美しく、多くの者の欲を貪ってきた証でもある。
するとエンチャントダイヤモンドドラゴンが突進を仕掛けてきた。どう考えても結界では防げない……
「アーキテクト!足と翼を焼き落とせ」
その瞬間白銀の機獣は飛び上がり、洞窟内が明るく照らされるほどの光線と共に、エンチャントダイヤモンドドラゴンの翼と足を溶かした。
「アーキテクト!心臓を抉りとれ」
アーキテクトは近づき、6本の槍のような足で頭を抑えながら口からの小さい光線で装甲に穴を開けて、心臓を器用に槍のような足で引きずり出した。
「嘘だろ……」
「なんて強さだ……」
「お姉ちゃん勝てないわ……」
パーティメンバーも唖然という言葉が出ない脳の状態となっていた。レスティアはニコニコしながら、そのままアーキテクトはエスターリア閣下の前に丁寧に心臓を置いて、右腕になる。
「ふぅ、魔力は多少使ったがもっと戦いたいな。私はもう少し奥に行く。鉱石採取と龍玉採取は任せた。レスティア、ありえない話かもしれないが何かあった時のためにディレオスから離れるな。ディレオス君」
「はいっ!」
「1時間経っても帰ってこなかったら私は戦死したとして撤退しろ。では、腕試しに行ってくる!」
主人はまるで若々しさを取り戻したかのように走っていく。確かこの奥にはレジェンドミスリル属性のドラゴンやダークオリハルコン属性のドラゴンがいるはず……
「レスティア、大丈夫なのか?」
「お父様なら平気よ。多分40分ほどでここにいるドラゴン達は全滅かなぁ。さぁ、早く龍玉を剥ぎ取りましょ」
「あ、あぁ……」
俺は露天商の少女から買った短剣で龍玉を取り出す。まだドクンドクンと脈打っていた。
そして希少化した鉱石を採掘してるとおぞましい爆発音や光線を放つビューーーン!!という音、さらにはドドドンンン!!と恐ろしい音がずっと鳴り響ていた。ドラゴンの咆哮は少ししか聞こえず、もう不気味でしょうがないのが本音だ。
そして30分が経過した時にレスティアの魔導通信機が鳴る。
「お父様〜?殲滅した?……うん、わかった。馬車向かわせるね〜」
「え……?」
「殲滅したみたいだし行こ、ディレオス君。皆様も馬車の誘導お願いします」
洞窟の奥にはドラゴンの巣、エルザイムでは処刑場としても使われる恐ろしい場所には数体の希少な材質属性を持つドラゴンが翼や足を破壊され、心臓を取り出され、中には目玉を取り出されたドラゴンも居た。そして、冒険者の正姿勢の主人は満足そうな笑顔を浮かべていた。
「いや〜楽しかった。白銀の龍獣も満足そうだったよ。私は運動の為に歩いて帰る。レスティアはディレオス君達のお手伝いをしなさい」
「分かったわお父様。じゃあ皆さん、剥ぎ取りは心臓優先で頑張りましょう!」
「「「お、おう……」」」
あまりにも希少な素材を数時間かかりで剥ぎ取りが終わり、馬車に載せる。だが俺は気がついた最深部に剣が突き刺さっていた跡があったと。
「ねぇねぇ、レスティア。主人がここに来た理由って……」
「あ、気がついちゃった?龍王鋼の聖剣「ドラクニルオリハルコン・エクスカリバー」が目当てだったのよ。皆には内緒ね?」
可愛くウィンクしてくれたレスティアを見て、思わずドキッとした。
そして馬車にはテント被せ、希少素材だと分からないようにしてパーティ本部に持って帰り、俺は材料リストを作って、市場価格の調査をしていたらいつの間にか夜が明けていた。だが合計金額は自分が夢でも見てるような感覚だったのも事実。リーダーへの報告は緊張を超えた、失神レベルだった。
ご拝読ありがとうございます!黒井冥斗です!今日は少し諸事情で早めの投稿になりました。もし、この時間帯がよく読まれるようであれば投稿時間も考え直そうと思ってます。それでは皆様、よい夜を!




