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箱庭?のロンド ―マリサはもふ犬とのしあわせスローライフを守るべく頑張ります―  作者: 彩結満
第1章

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53 箱庭の箱④ ~七日目

 

『豊穣の女神、セレース様、セレース様セレース様、いつもお見守りくださりありがとうございます。どうか、この畑に祝福をお与えくださいませ』


 そうマリサが唱えた瞬間、最初にシロリンと共に耕した(本当はシロリンが主に耕した)畑と、更に今朝耕したその二倍の面積の畑が、燦然と輝いた。


 その瞬間、くらりとマリサの身体が傾いだ。

 なんだか今朝は身体が重たいなあ……と内心思いつつ、気のせいかな、目まぐるしい毎日だったしと納得する。

 シロリンが心配そうにマリサの顔を覗き込んでいる。


「ウフゥ? ワフ、アフ、アファーッ! ワフゥ(だいじょうぶ? マリサ、ねてるときに、きらきら、ビューン! ってやったせいだって)」

「え?」

「アフアフー、ワフゥ、ファアア(めがみさまがね、あぶないから、きをつけてって)」

「あ~~っ……」


 マリサは思わず頭を抱えて座り込んだ。

 盛大にやらかしてしまっていたらしい。

 まさか自分が、眠りながら光魔法を遠隔地へ大放出していたとは。


(ちょっとでも、ライアン様や、南の領地の手助けになってる、かな……そうだといいんだけど)


 それにしても、魔力0になっていたら、起き上がれなくなっていたかもしれないのだ。魔力量が増えたため、なんとか立っていられるのだと気付き、遠い目になるマリサだった。

 ただ、確かにまずいことはまずいだろう。防ぎようがないのだから。取り敢えず、毎日の終わりに魔力が半分以下などにならないよう、気を付けようとマリサは決意する。 


「じゃあ、次の収穫までに、少し休憩にしましょうか」

「ワフッ!(うん!)」


 ガーデンテーブルの上に、摘み立てのブロックイチゴを三つと、魔力ポーションを並べる。

 飲む前から苦い顔で魔力ポーションをちらりと見て、ふと思い立つ。


「よし、絞ってジュースにして、ポーションと割ってみよう」


 そうすれば苦いのが緩和されるかもしれない。ブロックイチゴのステイタスを見る。


『+S(品質)・ブロックイチゴ バラ科・完熟 サイズ・一割増し 収穫済み 効果・体力回復(中、持続一時間) 魔力回復(中、持続一時間)』


「なにこれすてき」


 ブロックイチゴで体力と魔力回復と知って、なるほどと頷く。フルゥピュアでシロリン、ロバジイ達と共に移動中の休憩に食べた時、僅かにだが身体が軽くなった気がしたのだ。


「教会までの道程、ほぼ山登りで、毒化した魔物に襲われつつの移動だったし、シロリンもロバジイとケビンとテオも美味しそうに頬張ってくれていたし、美味しい上回復もできるなんてピッタリじゃない」


 体力回復の、(中)というのをタップすると、解説が出てきた。


『中=一分で一ポイント回復(小=五分で一、大=一分で二ポイント)』


「すごい! ブロックイチゴ優秀、いや神じゃない? 私の80しかないしょぼめの体力、魔物にやられていたらひとたまりもないのよねって、改めて考えたら怖い……。シロリ~ン!」 

 

 シロリンをはしっと抱きしめる。


「ワフゥ?(どしたの?)」

「こんなにかわいくて頼もしいなんて、シロリンといられる私って幸せ者だなってことよ」


 しみじみと、シロリンの存在に感謝する。


「私は一ポイント削れただけでも命取りになりそうだし、一時間持続するってのはありがたいよね。他にも魔力回復やなんかに有効なものがあるかも。常備しておこうっと!」


 シロリンにべろべろ嘗められながら、体重をかけられて軽くつぶされながらも、ほくそ笑むマリサだった。


「さあ、どうぞ~」


一番大きいブロックイチゴを丸ごとシロリンの皿に乗せる。


「アフッ、ワフッワフ~ッ(ぼく、このあまいの、ニクのつぎにすき~)」

「うふふ、お肉はお昼ご飯までまってね」


 マリサも小さくカットしたブロックイチゴを口に入れる。忽ちその甘味九割、酸味一割といった感じの豊潤なジュースが口いっぱいに広がり、鼻からも甘い香りが抜けていった。 

 疲労も解け、目が覚めるその味わいに気を良くしながら、半分だけこのまま食べることにして、一個半は公爵城で頂いたハンドジューサーでボウルに搾っていった。


「はぁー、搾ると甘―い香りが一段と濃くなったわ。癒されるな~。ここに、アイテムボックスに保存してあるミルクを入れちゃいますよ」


 真っ赤な果汁にミルクを入れたら、かわいらしいピンク色に染まり、更に美味しそうだった。控え目に注いだコップに、ポーションを入れたらスムージーのようにならないかと願いたいところだが、混ぜるのに心が拒絶し、手が動かないマリサだった。


「うーっ、仕方ないっ」


 魔力ポーションをそのまま一気飲みすると、素早く粒々を少し残したイチゴミルクをごくっとあおった。


「わ、おいしい……イチゴミルク、優勝!」


 あまりの美味しさに空を見上げて歓喜する。

 いつも口腔内にしがみつくように残る激ニガが一瞬で消え去り、甘いイチゴとミルクが更に際立つように支配していた。


「クゥゥ、ワフッ、ワフワフッ!(うわぁ、ぼくにもちょーだい!)」


 シロリンを見ると、尻尾をわっさわさと振り、口の周りを真っ赤に染めて目をきらきらさせている。思わず吹き出しながら、シロリンの皿にイチゴミルクをたっぷりと注ぐのだった。




少しでも楽しんでいただけたら幸いです


後二話ほどでようやく一区切りとなります。

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