41 憂えと愉悦
シャー達の背にのんびり揺られ、外の林まで出かけた。
この場所の壁の向こう側で、シャーに会ったんだな…感慨深い。
「おーこの場所」「あっちの壁の向こうが、初任務の場所だね」
「久しぶりに来たなここ」「あの時のノアの顔。ぷぷぷ」
皆も覚えていて何よりだが、そこは忘れていいのに…
「シャー ここでいいの?」
シャーに問いかけたら 丁度林の中から、赤茶色のウルフが13匹群れてやって来た。
「ノアこのモノ達です」
「どうやって意思を伝えるの?ウルフ達は、会話が出来る?」
「我を介してノアに伝えます」
そして シャーが間に入り話を聞く、まどろっこしいが我慢だ。
アジョン周辺のウルフ達は、これまで住み分けていた。
林の奥の岩場をロックウルフ率いる流れモノ達が支配をし、アジョン近隣の林周辺をシャドーウルフ シャー達が支配していた。
それが数年前 シャドーウルフが林から姿を消したので、ロックウフル達が近隣まで跋扈しだす事となる。
だが、突然またシャドーウルフが現れコテンパンにのした後「人間に害なすモノは、我が許さん。不満があるものは、我が相手になる憶えておけ」そう捨て台詞を残し立ち去った。
シャーに服従したのはいいが、放って置かれたままだ。
ロックウルフが率いるアジョン一帯にいたウルフの殆どは流れモノばかりだった為、シャーの言葉に不満があるモノは、また別の所に流れてしまった。
「我等ロックウルフは、祖先からこの先にある岩山の穴倉を住処としていた。だが 急激な仲間の減少で、他の魔物に付け狙われるようになってしまったのだ」
他の魔物と言う言葉が気になった、なのでそこを詳しく尋ねる。
すると 魔物の正体はアームモンチで、3匹の小隊が入れ代わり立ち代わり様子を探りに来ている。
岩場にある洞窟に前から目を付けていたが、今まで手が出せなかった。
だが 邪魔なウルフが激減したので、付け入ろうと狙っているらしい。
とてもボク達だけで対処できるものでは無い ギルドに報告しないと。
ボク達が急いで立ち去ろうとすると、引き留められた。
ロックウルフ達も一緒に戦いたいというのだ。
その為なら、従魔になり使役されてもいいとまで言う。
「いや ちょっと待って。気持ちは、分かるけど。ボクこれ以上ウルフを使役するつもりは無いよ」
「じゃ~俺がやってもいいぜ!」「俺も」「僕もいいよ」
「えーん~ 餌代や場所とか、親に相談した方が良いんじゃない?ロックウルフって、身を隠したり 小さくなったり出来ないかもよ?」
「ノアがそれ言う?思い付きでテイマーしたくせに」
そこを突かれると、返す言葉が無い。
取り敢えず鑑定しようか?と言ったが、知らない方が面白いと言われた。
3人は、今までテイマーに失敗しているので、試しにそれぞれ1匹挑戦したらウルフの意思もあってか、すんなり成功した。
だが 3人とも魔力を少なからず消耗したみたいだ。
使役者と思念で会話が出来るが、言葉を発する事は無かった。
シャーって格別なんだなぁ ボクは、本当に運が良かった。
念話が通じるので 三人は、隠れるすべがあるのか?大きさは変われるのか?を確認したが、
どちらも出来ない事が判明した。
そこで 残り10匹をどう分けるかを相談する事となる。
シャーほど大きく無いが、それなりに体長があり アパート住まいのラグとトリルの家では、これ以上無理だ。
皆で頭を悩ませていると「うんうん 分かった。聞いてみるぜ!」
「どうかした?ラグ」
「岩場を空にする訳にいかないから、他のモノは一旦戻るってさ」
「それもそうだね、何かあったら連絡取れるのかな?」
「ノア 我もいますから、それは大丈夫です」残りのロックウルフは、岩場へ戻って行った。
ボクが余分に買っておいた印を、3匹のウルフに装備した。
3人とも 深刻な状況だからイケナイと分かっているんだろうけど、それで隠しているつもり?口元が緩んでウキウキ気分が滲み出ているよ。
家に戻ってもそれが続くといいけど 少し気掛かりだ。
それからボク達は、ギルドへ報告する為 急いで街へと戻った。
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