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42 クレッセント

「アリスさん、魔物の情報があります」


ギルドのカウンターに立ち、突然挨拶も前置きも無く話し出したから、アリスはキョトンとしている。

ギルドにいた他の冒険者達も、何事かとこっちを見ていた。


「みんな少し落ち着いて。ここじゃなんだから、奥でゆっくり話を聞くわ」


アリスに促され、奥の部屋へと誘われた。

少し待つようにと言われ、ロックウフルをチラッと見て出て行く。

暫く待つと、ギルドマスターと一緒に戻って来た。


「またお前らか、今度は何をやらかした。それに 見慣れないウルフを連れているな」


チムニーは、3匹のロックウルフを繁々と見つめた。


「最近ウルフを見ないと思ってたんだが、何処で見つけた。そいつらもノアの従魔なのか?」


ラグ達3人がそれぞれ自分のだと報告をして、そのままラグがここに来た経緯を話した。


「まぁ~なんだ、その情報はロックウルフから齎されたんだな」


「はい、それに岩場に残っているロックウルフも協力したいと言ってます」


「だから、危害を加えないで下さい」


それを聞いたチムニーは、不思議な事もあるなと呟き困った顔になった。


「従魔じゃ無い魔物を他の冒険者は信じないだろう。だが アームモンチの事を調べる者には伝えておこう。ドアロス辺りなら話が通じるだろう」


そう言って、ニヤッと笑う。

それから ロックウルフと話が通じるのなら、お前達でアームモンチ討伐までに対処しろと言い残して部屋を出た。

今直ぐ出来る事は無いし外は暗くなってきたので、ボク達は一旦家に帰る事にする。


ギルドを出て広場を横切って行くと、家の前で父さんが待っていた。

ラグロス スミス トリルの3人から、サインを貰うため待っていたそうだ。

父さんは、ボクに話す時平静を装ってはいたが、ボク達の快挙が嬉しくて興奮し うっかり渡し忘れたと照れて笑っていた。

そして、新しいウルフ達を見てチムニーと同じことをボクに聞いたよ。

父さんにお礼を言って、ラグ達がサインをして帰って行った。


ボクと父さんも家に入る。夕食の準備が整っていたので席に着いた。

今夜のミアは朝とは別人、同じ人と思えない位の変貌ぶりだ。

食事をしながら、

レイチェの荷物の仕分け方が機転が利いていて、とっても頭がいいのよ。

レイチェがお客様にね、可愛らしいお辞儀ねって褒められたの。

こんな具合で、レイチェの話題に事欠かない様子だった。


ミアが楽しそうに話題を振りまいていると、やっぱり食卓が華やかになり明るい雰囲気になる。


そんなミアを見て、従魔を欲しがっていた事を思い出した。

今朝、5日後王都に行くって言ってたな…多分テイマーギルドの登録にも行くだろう、たまには兄貴らしい事をするか。


「ミア従魔を欲しがっていたよね、ウルフがいるんだけど試す?」


「えっ!シャーみたいなの?」


「ん~シャドーウルフじゃ無いよ、ロックウルフ。小さくなったり隠れたり出来ないよ、それでもいいならだけど…」


ミアは少し考えた後、コクンと頷き父さんを見た。


「そのロックウルフと言うのは、さっき見た赤茶色のウルフの事かい?」


父さんに聞かれたので、いい機会だと思い今日あった事の顛末を話した。

みんな真剣な表情で聞いた後、深いため息が漏れる。

そして、セルジュがボクに話しかけて来た。


「そのロックウフルの事、激昂のオルムにも話していいかな?」


「多分いいと思うけど、一応3人にも聞かないとボクだけで勝手に決められない、兄さん明日の予定は?」


「明日は、昼から集合する約束だよ」


「じゃ~午前中にラグ達に話してみるよ、ミアの明日の予定は?」


「一日お店にいるわ。でも…母さんお昼からお休みにしてもいい?」


「ええ、いいわよ。ミアもたまには外に出なきゃね」


「セルジュ兄さん、私も一緒に連れて行ってね」


ミアは期待に胸が膨らみ嬉しそうだ。

そんな様子を見て、家族みんなが好ましく見つめていた。


部屋に戻ってから、シャーに岩場のロックウルフへ連絡してほしいと伝え、砂場の作業を少し進めてから寝た。


次の日 ボクは、広場でラグ達に会い昨夜の話をする。

セルジュとミアへロックウルフを譲るのに反対は、無かった。


一方 昨夜ロックウルフを連れ帰ったラグ達の親は、最初驚いていたが トーマス商会から受け取ったお金の事も有ったので、あまり厳しい事は言われなかったみたいだ。

ラッキーだったな!


昼まで時間が空いたので、少し前から考えていた事をみんなに話した。


「ねえ、ボク達もそろそろパーティーの名前決めない?」


「おう 俺もそう思っていたぜ」「そうだね」「決めようぜ!」


「みんなウルフを使役した事だし、それにちなんだ名前がいいんじゃねえか?」


ラグの提案で、みんなあれこれ考えた。

いつもながら単純だが、牙 牙狼  豺狼 猛禽 野獣。


「豺狼って、むごたらいい人って意味じゃ無かったけ?さすがにそれはどうかな」


「狼そのモノじゃなくて、例えばクレッセントムーンとかどう?牙を三日月に見立ててさ」


「おう~」「いいかも?」


「長いから、クレッセントだけでいいんじゃね?」「それだ!」


「よし!今日から俺等は、クレッセントだ」


「もう一つ提案があるんだけど」「なに?」


「ギルド直営の冒険者に貸し出している部屋があるでしょ、あそこを借りたらどうかな?値段も普通に借りるより安かったよ」


「確かに、アイテムやお金の分配とか いちいちギルドの部屋借りるのも面倒だしな」


「場所もギルドの裏だし、確か一ヶ月 大銀貨1枚で借りられたね」


「雨が降った時の集合場所も困らないな」


「空いてるかな?」「聞きに行くか」「賛成」「行こうぜ!」


ギルドの受付で確認すると、一階に一部屋と三階に二部屋空いていると回答され、皆で相談して 出入りがしやすい1階の109号室に決めた。


手続きをして鍵を受け取り、早速行ってみる。

そして 部屋に入ると驚いた、広い。

50㎡のホールと、物置の様な小部屋が5部屋もあるのだ。


「今日からここが、クレッセントの本拠地だ」「俺達の城だ」 皆大はしゃぎだ。


お昼近くになったので、皆にセルジュ達を連れてきていいかと断りを入れてから迎えに行く。

心が弾んで、ボクの足取りも軽かった。


家に着くと丁度ミアが帰って来た、中に入るとセルジュも待っている。

3人でお昼を食べながら、パーティーの名前が決まった事と部屋を借りたと報告すると、パーティー結成から9ヶ月で生意気だと笑いながら言われた。

セルジュ達も2ニ階の3号室に借りているそうだ。


食事も済んで、広場を横切りギルドの裏に向かう途中 セルジュが感慨深げにつぶやいた。


「そういえば、3人でこうやって歩くのって 久しぶりじゃない?」


「そうだね、大体ぼくと兄さんかミアと兄さんだもんね」


「3人一緒に広場に来るなんて、デクシラがいた頃の事よ」


ボクは、噴水の端につかまり 立ったり座ったりしていたミアの事を思い出していた。

そのまま広場を後にしてクレッセントの部屋に向かう途中で、後ろから走ってきたオルムと合流した。


初めて見るギルドの部屋にミアは、目を見開いて驚いていた。

ここが大銀貨1枚 安すぎるとブツブツ言っている、そういう所はすっかり商人の顔だ。


全員揃ったので、昨日の林へ向かう。

昨夜ラグ達は、自分のウルフに名前を付けたと歩きながら話していた。


3人は、名前が被らない様に 昨日ボクと別れた後話し合ったらしい。

その結果、まずトリルがロックウルフだからロックに決め それを聞いたラグが悔しがった、ラグも第一候補だったのだ。

スミスのウルフは、女の子だったのでロキシーにラグは、結局ロッキーにしたそうだ。

また凄く安易なと思ったが、黙ていた。


ロックウフルと約束した林に着くと 既にウルフ達10匹は、待っている。

先ず ミアが女の子が良いわと言った、そして2匹のウルフに決めた。

ラグ達3人も、もう1匹欲しいと言い選んでいる。

オルムは、流石に5匹は無理だと言いつつ 3匹引き取った。

残り2匹 ボクは、セルジュの護衛用に2匹テイマーする事にした。


初めて従魔術を使うミアは、少し緊張していたが難なく成し遂げた。

しかし、魔力が奪われて気怠そうだ。

ボクも自分の時より 緊張していたかもしれない。

ミアが成功させた後 安堵した。


ミアやオルムに、名前を付ける時も魔力が失われる事を説明する。

そして 寝る前につけた方が良いとアドバイスをした。

オルムは、先輩だから知っているかと思ったけど 一応ね。


ウルフの数がこれだけいるので、名前が被る可能性が大きい。

なので名前候補の話し合いをする事となった。


ボクは、雄をゼクス雌をツヴァイに決めた。

ラグが選んだ子は、雄でムーン。

パーティー名にちなんだそうなんだが、それを聞いたトリルが今度は、悔しがっていた。


そのトリルが選んだ子は、雌でキャル。

理由は、何と無く 多分考えるのを放棄したんだと思う。


スミスは、雄を選んでバウル。

インスピレーションだよと言っていたが、吠えた時に思いついたそうだ。


ミアが選んだのは、2匹とも雌でリリとララ。

覚えやすいし響きが可愛いと言っていたし、満足そうなので嬉しいよ。


オルムは、雄が3匹で アイム ノウム クルムと名付けるそうだ。

準備万端 早速印を付けている。


これで 全てのテイマーが終わりホッとした。

アームモンチ討伐の際、冒険者に誤って襲われる心配も無くなりなによりだ。


ギルドの岩場探索者は、昨夜ドアロスに決まり 今朝から出かけているとラグが話す。

アームモンチの動向や総数を確認しに行ったのだ。


岩場を空にするとアームモンチが蔓延る事になるので、昨夜名付けを終えたラグ達の3匹とアッシュとシルバーが、岩場に行く事となった。


オルムがお礼に、ロックウルフの問題が片付いた事をギルドへ報告しておくよと言って、セルジュと街に戻って行った。

ミアも、両親に早速ウルフを紹介すると言い一緒に戻る。


セルジュは、護衛のウルフをボクがテイマーした事が負担にならないか、気掛かりなようだ。

それよりも僕は、ミアのと合わせて家に4匹も連れて帰る事の方が心配だ。

流れでそうなったとはいえ、どうしたものか。

取り敢えず岩場の警戒をする5匹を見送り、ボク達も拠点の部屋に戻った。


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