43話
ひゅーひゅー。
「・・・・・んっ」
空が青い。
俺は今寝ころんでいるのか。なぜ?
ああ、そうだ。模擬戦で負けたんだったな。
後頭部から感じる極上の枕の気配・・・、横をみれば高い壁があり、壁の上部には2つのコブが付いており空を見る俺の視界の邪魔をする。
そしてそのコブの向こう側から現れたのは巨大な・・・女の子の顔・・・。・・・巨人か!?
その日、俺は初めて知った。
ヤツらに与えられる甘美な支配の恐怖を・・・
膝枕に囚われていた若干の屈辱と羞恥心を・・・
あ・・・れ?
ひざまくらってなんだっけ?
ひざまくらは膝枕だよね?
なんでこいつが・・・?
え?
ええええええええ!
俺は猛スピードで横に転がり素敵な太ももの持ち主から距離を取った。
(自問自答タイム)
見間違いか?
いや、がっつり見ただろ。俺に膝枕をしていた人を。
ええ~、嘘だろ・・・、見間違いであってほしい。
諦めろ。
ああ、現実を直視したくない。
たとえ顔を背けても、いつか権力によってその首は強引に正位置戻されるぞ。
・・・くっ!
(自問自答タイム終了)
酷く重い顔を頑張って上げ、あの太もも様の持ち主を再度確認する。
ああ、メリアさん。なぜあなたがそこに・・・。
これは今すぐにしなければならないことが出来たな。
シュバッ!と自らの格好を正して取った姿勢は正座。
「え~、この度は、平民である私ケイが、ロスラリス伯爵家長女メリア様に膝をつかせ、剰えもその高貴なる御御足を占領してしまったことをここに謝罪します。
大変申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げた。
「え、えっと、頭を上げてください」
そう言ってくれたメリアさんは非常にあたふたしていた。
メリアさんを除くロスラリス家の方々はポカンとしており、ニルとアストルムはその身を震わせ腹を抱えながら声を押し殺して大爆笑している。
このカオスな光景にハッと自分を真っ先に取り戻したロスラリス家の方は当主様であった。
流石。
「んんっっ!」
当主様が大きな咳ばらいを一つすると皆自分を取り戻していた。
今この場に茫然自失としている人は誰もいない。
「なぜあのような見事な謝罪をしたのかよく分からんが、別に良いと私は思うぞ。自らを守る力があると家族に示すために私と戦い意識を失った勇士に足の一つくらい貸してやっても罰は当たるまい。
それに、これほどまでに才能あふれる若者が我が娘の婚約者候補であることはロスラリス家としても祝福すべきことだからな」
「・・・・・え?婚約者候補?なんですかそれ」
「ぬ、知らぬのか?」
メリアさんの方を見るとメリアさんはそっぽを向きながら、ふすー♪ふすー♪と口笛を吹いていた。
可愛いな!でも音が鳴ってねえよ。あと、それでごまかせた奴は古今東西見渡しても誰一人としていないからね?
「メリア、どういうことだ」
「エット、メリアサン。ドウイウコトナノカセツメイシテモラッテモイイカナ?」
この場にいる全員の視線がメリアさんに集まり、メリアさんはウッとたじろいでいた。
「も・・・」
『も?』
「申し訳ありませんでしたーーーー!!!」
今度はメリアさんが見事な土下座を決めた。
「メリア、謝罪は良いから説明を求める」
「あの、当主様はどういった経緯で俺が婚約者候補だと思ったのですか?」
「それは10日ほど前に届いたメリアからの手紙に書かれていたことだ。大まかな内容は、『これから領に戻る。魔の森に行ってみたいというクラスメイトで友人のスぺシオンサム家のニルとサングイネア家のアストルムと武闘祭で優勝したケイと一緒に向かう。ケイは平民だけど強くてカッコいいから婚約者候補にしました。その部分も見極めてください』だったのだ。
だからてっきり君はメリアの婚約者候補だと思っていたのだ」
「なるほど」
「メリア、なぜ嘘を書いたのか言いなさい」
「えっと、それは・・・その、態とではなかったのです。妄想が爆発してしまった結果と言いますか・・・」
「それで、メリアはケイのことをどう思っているのだ」
「勿論、好きですよ!好きじゃ無ければ婚約者候補だなんて妄想が爆発しても書きません!」
「好きになった理由は?」
「最初はそれほど興味もなかったのですが・・・武闘祭でクラスの代表者を決めるときに、ケイさんは筆記以外の入試結果はトップクラスであり、驚愕の成長スピードもある天才だと先生が言いました。
それを聞いて驚き、気になっていました。武闘祭で優勝したときはその容姿も相まってとてもかっこよく見え、一つ上の学年の優勝者である殿下相手に善戦している姿を見たときには自分の思いを自覚しました。ですが私は貴族のそれも伯爵家の出身であり相手は平民、自分の気持ちを受け入れてくれるのか不安になって言い出せずに悩んでいたのです。
幸いにもケイさんが夏休みに領地に来るという約束をしていたので、ちょうどいいから見てもらおうと思っていたのですがケイさんのことを考えながら手紙を書いているといつの間にか妄想が爆発してしまい、既にケイさんは私の婚約者候補になっている体で手紙を書いてしまっていたのです。
ものすごいテンションと勢いで書いたことなのであまり内容を覚えておらず、また書いた後にすぐに家に送ったので確認することも出来なかったのですが特に気にしていませんでした。
お父様がケイさんは私の婚約者候補と言ったことで完全に思い出しました」
「事情は分かった。ケイ、こんな訳の分からないことを偶にしでかす娘だが、基本的にはいい子だと思う。ケイはメリアのことが嫌いか?」
「いえ、あの見事な太もも様を持っている方を嫌いになるはずはありません」
「ケイとは仲良くなれそうだな。まあそこはあとでじっくり語り合うとして、嫌でないのならメリアの婚約者になってくれないか。ケイほどの強者であれば大歓迎なのだが」
「えっと・・・その、何といいますか、ね」
「何か問題でもあるのか」
「メリアさん自体は大変好ましいのですが、彼女は貴族の、それも辺境伯と呼ばれるほどの大身の家の娘ですよね。彼女の婚約者になると貴族の柵が付いてきそうと言いますか、彼女と結ばれるということは面倒くさいと言われる貴族社会と結ばれることと同義な気がして気が引けると言いますか、ぶっちゃけると萎えます」
「ふっ・・・はっはははははは、その貴族社会の中心に近い位置にいる辺境伯と呼ばれるほどの大身であるロスラリス伯爵家の当主の前で堂々とそんなことを言う奴は初めて見たぞ。面白い奴だな。
平民である身の人間と結婚をする貴族の娘は身分を落とし平民となる。建前上はな。実際は色々とちょっかいをかけてくる貴族もいるだろうがまあ、メリアであれば問題は無い。
何故なら家は辺境伯と呼ばれるほどの大身であるロスラリス伯爵家だからな。
手を出したやつは潰すと暗に匂わせておけば手を出してくる奴はいまい。
武力で家に敵う奴はいない。同等な家が3つほどあるが、別の地域の話にまで首を突っ込んでくることはない。
娘の出身の家が積極的に絡みに行くこともあるにはあるがロスラリス家に限ってそれは無いと断言できる。だから貴族の柵などは気にせずにメリアのことを見てやってくれないか」
「貴族の柵を気にする必要が無いのであれば、メリアさんは大歓迎です。それにこの太もも様を逃す手はありません。是非とも俺をメリアさんの婚約者にしてください」
「うむ、私もよき理解者が娘の婚約者になってくれて嬉しく思う。足のすばらしさについて朝まで語り合おうか」
「望むところです」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「どうやらメリアの婿とは仲良くなれそうにない」
「俺も」
「同意」
ロスラリス家の3兄弟のフェチは上から順に、胸、胸、首筋であった。
身分をも超えて親しくも不仲にもなれるフェチズム、何と業の深いことか。
____________________________
ステータス
名前:ケイ
年齢:15
スキル
鑑定Lv4(200/400) アイテムボックスLv5(180/500)
投擲Lv3(157/300) 剣術Lv7(388/700)
槍術Lv3(154/300) 槌術Lv3(154/300)
斧術Lv3(154/300) 杖術Lv3(154/300)
盾術Lv3(154/300) 火魔法Lv8(9/800)
水魔法Lv6(16/600) 風魔法Lv6(231/600)
土魔法Lv5(426/500) 聖魔法Lv5(379/500)
ユニークスキル
練度増加Lv4(153/400)
___________________________
よろしければブックマークと評価お願いします。
感想の方もよろしければお願いします。
感想が来た場合は全身全霊をもって返信します。
現在の返信確率100%!




