9話:前半「不可侵の血肉」
第5階層を突破したあたりから、先行していた覚醒者や自衛隊小隊の姿は完全に途絶えた。
崩落した地下鉄の線路と無残に歪んだ鉄骨が散乱する回廊には、もはや人の気配など微塵も残されていない。立ち込める淀んだ空気の密度は階層を降りるごとに跳ね上がり、四方の暗がりから蠢き出るのは、十条のボーン・センチネルすら前衛の小間使いにすぎないような凶悪な中級上位モンスターの群ればかりであった。
だが、大宮の地下で第50階層のミノタウロス・ジェネラルを解体し、Lv.30へと到達した響と、耐酸装備と投擲ダガーで手札を固めた唯にとって、この程度の密度は何の障害にもならない。
曲がり角から飛び出す漆黒の変異獣を唯の投擲ダガーが正確に射抜き、突進してくる重装兵の関節を響の無駄のない脚撃と掌底が粉砕する。散らばる中級魔石を唯が目にも留まらぬ速さで回収袋へ放り込み、響はその場で大粒の結晶をボリボリと咀嚼しながら魔力を補充していく。完全に作業と化した蹂躙の進撃を維持したまま、2人は迷宮の深部へと突き進んでいった。
第6階層、第7階層、第8階層、第9階層――。
足を踏み入れるごとに人工的な地下街の名残は削ぎ落とされ、壁面は黒曜石のような禍々しい鉱石で塗り固められていく。
そして、ついに到達した第10階層。
通路はそこで唐突に行き止まりとなっていた。
視界を塞ぐようにそびえ立っていたのは、高さ5メートルを超える巨大な両開きの黒鉄の扉。
扉の表面には、無数の苦悶する異形のレリーフが彫り込まれ、隙間からは肌を焼くような高濃度の魔気と、フロア全体を震わせる凶暴な心音がドクン、ドクンと漏れ出していたのだ。
響は漆黒のフードを目深に引き下げ、腰の刀の鯉口を親指でカチャリと弾く。
「どうやら、ここがこのダンジョンの最奥だな。ボスの部屋ってわけだ」
「ひ、ひぃぃ……! 扉の向こうから、さっきまでのトカゲや骨とは比べ物にならないくらいヤバい気配がダダ漏れですぅ……!」
唯が防弾ベストの前で両手をぎゅっと握りしめ、豊かな胸元をすぼめて震え上がる。しかし、その三白眼の奥底には、大宮で階層主を完封した経験からくる、獲物を品定めするような狂犬の光が爛々と灯っていた。
◇
響は迷うことなく、両手を黒鉄の巨大な扉へとかけた。
重厚な金属の軋み音とともに扉を力任せに押し開くと、肌をチリチリと焼くような禍々しい魔気の熱風が一気に吹き抜けていく。
視界の先に広がっていたのは、吹き抜け構造の広大なドーム状ホール。
その中央に君臨していたのは、体長8メートルを超える異形の巨獣――獅子の漆黒の巨躯に、巨大なコウモリの皮膜翼を広げ、背後には鎌首をもたげた大蛇の尾を蠢かせる合成魔獣『キメラ』の姿であった。
金色の双眸をギラつかせ、侵入者を八つ裂きにせんと獅子の咆哮を上げかけた――その瞬間。
「唯、あの邪魔なヘビを切っちまえよ!」
響のドスの利いた怒号が広間に炸裂する。
挨拶も威嚇も交わす気など最初から毛頭ない。合図と同時に、響の身体が[身体強化Lv.1]の超加速で弾丸のように撃ち出された。
「了解ぃぃッ!!」
唯が低空で地を蹴る。
蛇の尾が毒牙を剥いて飛びかかろうとした刹那、唯の手首に巻かれたミスリルガントレットが蒼く閃光を放ち、逆手に構えた大型コンバットナイフが宙を薙ぎ払った。
ザシュッ!
「シャァァッ!?」
蛇の胴体が根元から一刀両断され、汚泥のような毒血を撒き散らしながら床へとボトボト落ちていく。
その背後、巨大なコウモリの翼を羽ばたかせてホールの天井へ浮上しようとしたキメラの頭上には、すでに影を滑るように跳躍した響が音もなく回り込んでいた。
漆黒の刀身が冷酷に鞘を滑り出る。
キィィィンッ――!
研ぎ澄まされた連撃の一閃。
右の翼の付け根を骨ごと断ち切り、返しの刃で左の翼の皮膜を根本から抉り裂いた。
バッサバッサと肉と骨の塊が宙を舞い、巨大なコウモリの羽がゴミのように床へと叩きつけられる。
「グガァァッ!?」
飛行能力を一瞬で奪われ、墜落するように石畳へ激突するキメラ。
だが、響の容赦のない解体劇はここからが本番であった。
着地と同時に、響の漆黒の刀が地を舐めるように鋭く走る。
前脚の腱を左右同時に断ち割り、流れるような反転のステップから、後ろ脚のアキレス腱を的確かつ無慈悲に両断した。
ズバッ! ズバッ!
わずか3秒。
毒蛇の尾を切り落とされ、コウモリの羽をもがれ、四肢の腱をすべて断たれた百獣の王は、自重を支えることすらできず、まるで操り糸の切れた巨大な肉塊となって床に突っ伏す。
ピクリとも動けなくなったキメラを見下ろし、響の口元が醜悪なまでに歪んだ。
「――ははっ、図体ばかりデカい見掛け倒しがよ」
底知れない嗜虐の色を浮かべたニヤケ顔で刀を鞘へ納めると、響は魔力を両拳と両脚に集約させる。
ドカッ! バキィッ! ボガァンッ!
響の拳と蹴りが、一方的なリンチとなってキメラの頭部と胴体を無慈悲に蹂躙していく。骨を砕き、肉をすり潰す鈍い破壊音が広間に連続して響き渡り、やがて巨大な獅子の頭蓋が完全に粉砕され、巨獣の全身から力が抜け落ちた。
ピクピクと痙攣するだけの肉塊を見下ろし、響は荒い息を吐くこともなく、右腕に高密度の魔力を集中させていく。
鋼のような獅子の胸部、肋骨の隙間へ向けて、黒革の手袋をはめた右手を躊躇なく突き立てた。
メキリ、ブチュッ!
分厚い筋肉と骨を力任せにこじ開け、胸腔の奥深くへと腕を沈めると、ドクン、ドクンと脈打つ巨大な心臓の裏側――禍々しい熱を帯びた核を指先が鷲掴みに捉える。
「――フンッ!」
気合一閃、響は力任せに腕を引き抜いた。
ブチブチと肉と血管が千切れる生々しい音とともに、血塗れの掌の中に引きずり出されたのは、バスケットボール大の赤黒く発光する極上の魔石であった。
響は手元の魔石についた血糊を指先で弾き、足元に横たわるキメラの死骸を見下ろす。
通常であれば、核を破壊された魔物はその瞬間に黒い魔力や青白い光の粒子となって霧散し、跡形もなく消滅する。それが異世界でも、この現代日本のダンジョンでも共通していた絶対の理だった。
だが――。
数秒、十数秒が経過しても、目の前の光景に変化は訪れようとしない。
首から血を流し、翼をもがれ、四肢の腱を断たれ、心臓の核を強引に引き抜かれたキメラの巨躯は、光の粒子となる気配すら見せず、生々しい質量と肉の感触を保ったまま、切石の床の上に横たわり続けていた。
「……あ?」
響の喉から、間の抜けた声が漏れる。
後ろでナイフをしまおうとしていた唯も、足元に残り続ける巨大な肉の山を目撃し、丸い目を限界まで見開いた。
「ひ、響さん……? 化け物の死体が、消えませんよ……!? いつもみたいに黒い煙になってシュワシュワッて消えないですぅ……!」
「消えねえ……だと?」
響は眉をひそめ、爪先でキメラの毛並みを小突く。
確かな肉の弾力と、まだ温もりを残す獣の体温が靴底を通じて伝わってきた。
通常、モンスターの肉体は魔力で編まれた仮初めの器であり、核を砕かれれば魔力の霧となって大気へ還元される。だが、核を破壊するのではなく「肉体を生かしたまま、あるいは絶命と同時に魔石だけを直接えぐり出して分離させた」場合、その肉体は魔力への還元プロセスを踏むことなく、物質としての肉塊のまま現世に定着し続ける――。
常識を根底から覆す驚愕の事実が、血の海の中で冷徹に証明されている。
吹き抜けの広大なホールの中心、防空壕のように頑丈な石造りの空間の中央に、解体されたキメラの巨躯がどす黒い血溜まりを作って鎮座していた。
引き抜いたばかりの赤黒い魔石を小脇に抱え、響はじっと足元に横たわる生々しい肉の山を見下ろす。
消える気配のない筋繊維、まだ微かに湯気を立てる脂身、そして獅子の分厚いロース肉。
ふと顎に手を当てて何かを品定めするように目を細めると、響は隣で固まっていた唯へ、極めて平然とした口調で一言を投げかけた。
「あのさ、こいつ食ってみねえか」
静まり返ったホールに、乾いた一言がぽつりと落ちる。
唯の身体がビクッと跳ね上がり、呼吸が完全に止まった。
丸い瞳をこれ以上ないほど見開き、顎が外れそうなほど口を開け、ギョッとした戦慄の眼差しで響の横顔を凝視する。
「……は?」
喉の奥から絞り出されたのは、裏返りきった掠れ声だった。
「な、ななな……何言ってるんですか響さん!? こいつ、さっきまでヘビの尻尾とコウモリの羽生やして火ぃ吐こうとしてた、正真正銘の化け物ですよ!? 毒とか寄生虫とか呪いとか、絶対に入ってますぅぅ!!」
防弾ベストを押し上げる豊かな胸元を両腕でぎゅっと抱きしめ、唯は激しく首を横に振りながら後ずさる。
だが、響はそんな相棒の絶叫など意に介さず、万能解体用アーミーナイフを指先で器用に回し、ニヤリと不敵に口角を吊り上げた。
「魔石が抜けて実体として残ってるんだ、ただの野生の肉と変わらねえよ。前世じゃドラゴンのテールステーキもオークの燻製もご馳走だったんだぞ。見ろよこの締まった赤身、絶対に美味いぜ」
響は獅子の背骨のラインに膝をつき、万能解体用アーミーナイフの刃先を迷いなく突き立てる。
分厚い背筋の隙間から骨の内側深く――極上の深層筋であるヒレの部位へと刃先を滑り込ませた。
ズブッ、スーッ……。
驚くほど滑らかな感触とともに、漆黒の毛並みの下から鮮やかな深紅の肉塊が姿を現す。スジひとつないきめ細やかな赤身肉、正真正銘のシャトーブリアンに相当する部位だ。響は手際よくナイフを走らせ、数キログラムはある極上のヒレ肉をごっそりとえぐり取った。
切り取った深紅の肉塊を左手で持ち上げ、響はキメラの背中にぽっかりと空いた傷口をじっと見つめる。
獅子の漆黒の剛毛を指先で手繰り寄せ、肉を削り取った穴を覆い隠すように撫でつけながら、ぼそりと独り言を漏らした。
「……ま、これくらいならバレねえだろう」
その呟きを耳にした瞬間、唯がぽかんと口を開け、目を丸くして問いかける。
「へ? な、なんで……? 誰にバレないようにしてるんですかぁ……?」
響は肉をトレイへ置き、平然とした顔で唯を見上げた。
「いや、一応こいつ丸ごと持って帰ろうと思ってな」
「持って帰るぅぅぅッ!?」
唯の裏返った絶叫が、防空壕のような石造りの大広間に木霊する。
両手で頭を抱え、顎が外れそうなほど口を開けてキメラの巨躯と響の顔を交互に見つめた。
「ななな、何言ってるんですか響さん!? 体長8メートルもある化け物の死体ですよ!? 入間基地にこんなの持ち帰ったら、大騒ぎどころか自衛隊の偉い人たちが腰抜かして気絶しちゃいますぅ!!」
「騒がれたら面倒だから、肉を削った部分を毛並みで隠して『完全な標本』として納品してやるんだよ。魔石が抜けても消えない死体なんて前例がねえんだ、自衛隊の研究班に叩き売れば莫大な特別手当が付く。その前に、一番美味いところを俺たちがちょろまかして味見する。合理的だろ」
響は事も無げに言い放つと、アイテムボックスから調理器具一式――頑丈なスキレット、携帯用バーナー、トング、そして調味料の小瓶を手際よく取り出した。
えぐり取った極上のヒレ肉をナイフで手早く2つに切り分け、バーナーの青い炎でガンガンに熱せられたスキレットの上へ無造作に放り込む。
ジュウウウゥゥッ――!!
激しい音とともに、香ばしい煙が一気に立ち上った。
野獣特有の臭みなど微塵もなく、熱を通された瞬間に上質な和牛をさらに凝縮したような芳醇な肉の香りと、甘みを含んだ脂の匂いが広間を包み込んでいく。
「う、嘘でしょ……めちゃくちゃいい匂いがする……」
さっきまで悲鳴を上げていた唯の鼻がピクピクと動き、喉がゴクリと鳴った。
響はトングで肉の表面を香ばしく焼き固め、取り出した岩塩と粗挽き黒胡椒、乾燥ハーブをパラパラと振りかける。レア気味に焼き上がった分厚いステーキをナイフでサイコロ状にカットすると、フォークで突き刺し、まずは自分の口へ無造作に放り込んだ。
ハフッ、モグッ……。
咀嚼した瞬間、響の目がわずかに見開かれる。
表面はカリッと香ばしく、内側からは信じられないほど柔らかい繊維が解け、噛むたびに濃厚で澄んだ肉汁が口内いっぱいに溢れ出した。
「……美味いな。魔力が肉の芯まで染み込んでやがる。胃袋に落ちた瞬間、魔力の巡りがわずかに活性化する感覚すらあるぜ」
響はもうひとつのフォークを手に取り、焼き立ての熱々の肉片を突き刺すと、ごくりと唾を飲み込んで張り付いていた唯の口元へ突き出す。
「ほら、唯。毒も呪いもねえよ。食ってみろ」
「えっ、あ、アタシもですか……!? で、でも相手はさっきまで暴れてたキメラで……あむっ」
戸惑う唯の口へ、響は容赦なく肉片を放り込んだ。
唯はビクッと身体を強張らせ、恐る恐る奥歯で肉を噛み締める。
その刹那、唯の三白眼がまん丸に見開かれた。
「――っ!!」
モグ、モグモグ……ゴクン。
「な、なんですかこれぇぇぇっ!? お肉が……お肉が歯がいらないくらい柔らかくて、噛んだ瞬間に甘い肉汁がジュワッて広がって……高級ホテルの鉄板焼きステーキより何倍も美味しいですぅぅ!!」
唯は頬に両手を当て、蕩けきった表情で悶絶する。
さっきまでの恐怖や困惑は一瞬で吹き飛び、狂犬の瞳は完全に極上肉の虜になっていた。
「だろ? 残りの肉も全部食っちまえ」
「はいぃっ!! いただきますぅ!!」
唯はスキレットに残った肉を狂ったようにフォークで口へ運び、2人はボスの部屋の真ん中で、贅沢なステーキを瞬く間に平らげていく。
最後の肉片を飲み込み、スキレットの底に残った旨味の出汁まで綺麗にパンで拭い取った唯が、両手をお腹に当てて満足そうに息を吐いた。
その直後、ふと自らの両掌をじっと見つめ、不思議そうに指先を開閉させる。
「……? な、なんだか力が湧いてきたような気がしますぅ……」
唯のその呟きを耳にした瞬間、響の目がすっと細められた。
「へえ……」
低く、有無を言わさぬ重みを含んだ尊厳ある声が広間に落ちる。
冗談を切り捨て、完全に百戦錬磨の戦士の顔へと戻った響は、唯の顔を真っ直ぐに見据えて命じた。
「ちょっとステータス確認してみ」
「は、はい!」
唯は慌てて虚空を見つめ、自身のステータス画面を呼び出す。
青白い光の文字を追っていた唯の目が、次第に見開かれていった。
「あ、上がってます……! 筋力と敏捷の値が、それぞれ1ポイントずつ……わずかですけど、本当にステータスが上昇してますぅ!」
覚醒者のステータスは、覚醒した瞬間の器によって数値が完全に固定され、レベルの概念すら存在しない――それがこの世界の絶対のルールだったはずだ。響のように「前世の魂の器を修復して全盛期を取り戻す」特殊な例外を除き、一般の覚醒者が後天的にステータスを恒久的に伸ばす手段など、公には一切存在していない。
響は腕を組み、顎に指を当てて冷徹に思考を巡らせた。
(……キメラの肉を食べたことによるステータス上昇。だが、問題はここからだ。この数値の増加は、食事効果による一時的なもので時間が経てば消滅するのか。それとも、魔獣の血肉を直接取り込んだことによる永続的な肉体の変異・強化なのか。……時間経過と数値の推移を追って、綿密に検証する必要があるな)
もしこれが永続的な強化だとすれば、この世界のパワーバランスどころか、覚醒者とモンスターの概念そのものを根底から覆す劇薬になりかねない。
響は冷たい眼光を唯へと突き刺し、低くドスの利いた声で鋭く釘を刺す。
「唯、この件は絶対に内密だぞ。真鍋はもちろん、誰一人として他人に漏らすな。いいな」
「ひゃ、ひゃいぃっ!! 誰にも言いません! お墓まで持っていきますぅぅ!!」
唯は直立不動で敬礼し、必死の形相で頷いた。
響は短く首肯すると、手際よく調理器具をアイテムボックスへと収納し、背後に横たわる巨大なキメラの死骸へと向き直る。
(魔物を取り込めば――食事として胃袋に収めれば、覚醒者は一時的にであれステータスが上昇する。だが、通常の魔物は核を失えば光の粒子となって消滅する定めだ。死体を物質として残す術を知るのは、現時点で俺たちしかいない。その前提を突破できない限り、他者が真似を試みることすら叶わないはずだ。ましてや、怪異を喰らうという発想そのものがこの世界には存在しない)
自衛隊や民間の探索者たちがどれほど束になってかかろうと、ボスの四肢と運動器官を瞬時に切り落として拘束し、胸腔の奥深くに素手を突っ込んで核だけを毟り取るなどという真似ができるはずもなかった。
さらに言えば、この現代日本において、異形の怪異を「食料」として認識する発想そのものが存在していない。
未知の寄生虫、毒素、魔気の汚染――そうした合理的な恐怖と衛生観念が先立つ世界において、怪物の死体を見て「美味そうだから焼いて食おう」などと考える異常者は、前世で過酷な魔境を生き抜いてきた自分くらいのものである。
死体を残す技術の壁。
そして、怪物を喰らうという発想の壁。
(真似しようにも、土台となる前提が何重にも塞がれてる。他の奴らがこの領域に辿り着く心配は当分ねえな)
響は口元をわずかに吊り上げ、冷笑を浮かべた。
自分たちだけが独占できる、規格外の強化ルート。その価値の重さを改めて噛み締めると、響はキメラの巨躯へと手を伸ばし、アイテムボックスの無限の虚空へとその死体を丸ごと吸い込ませていった。
面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。




