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Das Heldenlied Neu ヘルデンリート・ノイ  作者: Siberius
Neu Drei Orpheus
71/196

魔法アカデミー

「ようこそ、我が魔法アカデミーへ。歓迎しますよ」

ヒルデブラントが校長室でセリオンとエスカローネを迎えた。

二人は黒いソファーに座った。

「今日は仕事中にすいません。どうしてもあなたと再び話をしたかったものですから」

セリオンが丁寧に述べた。

「いえいえ、私の仕事の都合はつきますから、気になさらないでください、セリオン殿」

ヒルデブラントが対面のソファーに座った。

「セリオン様、エスカローネ様、コーヒーにいたしますか? それとも紅茶にいたしますか?」

クリスティーネが尋ねてくる。

「コーヒーでお願いします」

「私もコーヒーで」

「かしこまりました」

クリスティーネはコーヒーを入れに隣の部屋に移った。

「それでは本日はどのようなことを話しましょうか?」

「そうですね。まずこのアカデミーでは何歳くらいの人が学んでいるのですか?」

「はい、当アカデミーでは15~22までの生徒が学んでおります。能力、才能、トップクラスの生徒たちがそろっています」

「ヒルデブラントさんは外法魔道士の存在をどう思いますか?」

エスカローネがヒルデブラントに質問した。

「そうですね。正規のルートで学んでいる身としては苦々しい存在ですね。ツヴェーデンの法律では、魔法は専門の機関でなければ教えてはならないと禁じております。残念なことですが、おカネにつられて魔法を教えてしまう者が多いのが実情です。先日、セリオン殿は外法魔道士のケンカに居合わせたそうですが、あの手のやからは魔法省が取り締まっています。わたくしどもが教えた生徒の中にも多額の金銭につられて、魔法を教えた者もいるのですよ。嘆かわしいことですが……」

ヒルデブラントは深くため息をだした。

「そんなに深刻なのですか?」

「ツヴェーデン国内だけなら、まだ犯罪として取り締まることもできるのですよ。ですが、ほかの国では謝礼を払って魔法を教える者もいるようですね。この問題はツヴェーデン一国だけで解決できるものではありません。国際的な取り決めが必要だと思います。ただ……」

ヒルデブラントは下を向いた。

「ただ?」

セリオンが突っ込む。

「ただ、魔法はもともと師・弟子関係で習得されてきた伝統があります。この関係が信義のもとったもの、善良なものならいいのですが、昔から、違法とわかっていて金銭と引き換えに魔法を教える者もいるのです。そう意味では外法魔道士は昔からの問題でした。特に闇の魔道士がその勢力を拡大するために、あえて闇の魔法を教えることもあるのです」

「ヒルデブラントさんはこの問題をどうお考えですか?」

「私は魔法は学校で教えられるべきだと考えております。魔法使いには倫理も問われるからです。魔法はそれを使えない者から見ると、ものすごい脅威です。そういうことがあってはなりません。ただ、問題の解決と取り締まりはいまだ有効な手が打てていないのが現状です。それにこれは法律の穴なのですが、魔法は模倣することは、つまり手本を見せてマネをさせることは違法ではないのです。これによって、正規のルートでも魔法を習得できてしまうのです」

「しかし、親が魔道士だったり、親戚に魔道士がいれば有利になるのではありませんか?」

「そうです。問題の本質は機会の平等なのです。結果の平等ではありません。魔法使いの希望者はみな同じ教えられる権利を持つべきです。問題の本質から外れてはいけません。つまり、生徒たちにはできる限り公平に魔法を教えられる必要があるのです。ですが、劣等生が補助教育を受けることを禁止できないでしょう? 要は、魔法の、魔道士育成の理念とからんでくるのです。公教育による魔法教育は魔道士の育成に革命的成果をもたらしました。もちろん、生徒には学校に授業料を収める義務があります。このおカネで教師たちの給料がまかなわれるのですから」

「コーヒーができ上りました」

そこにクリスティーネが入ってきた。

熱く語ったヒルデブラントはコーヒーを二人に勧めた。

「それではコーヒーをどうぞ。これは一流の豆を使用した、最高級のドリップコーヒーです。お口に合うとうれしいのですが」

クリスティーネがコーヒーカップをセリオンとエスカローネのもとに置いた。

ヒルデブラントは話を中断してコーヒーを飲んだ。

三人がコーヒーに口をつけて。

「ん、おいしい!」

「とってもおいしいわ」

「そうですか。気に入ってくれて何よりです。フフフ」

ヒルデブラントは笑顔を見せた。

「それでは私は失礼いたします。どうぞ、お話の続きを楽しんでください」

クリスティーネが退出した。

「いいのですか?」

「何がでしょう、セリオン殿?」

「私たちがクリスティーネさんを邪魔しているような気がして……」

エスカローネはクリスティーネを気にした。

「かまいません。別室でも彼女の仕事はできますから」

「クリスティーネさんは優秀そうですね?」

「ありがとうございます。彼女は私が選んだ秘書です。彼女がほめられると、私は自分のことのようにうれしいのです。実際私は彼女に頼っているところがあります。彼女は事務能力は高いので、おもに私の補助を頼んでいます」

「クリスティーネさんは家族関係などはどうなんですか?」

エスカローネが質問した。

エスカローネはクリスティーネに興味がわいた。

「そうですね。彼女は孤児で私の家に引き取られたのです。私の家族として育ちました。私の家は『ローゼンクロイツ』という姓で分かる通りローゼンクロイツ財団の経営者でした。私は小さいころから父の経営を手伝ってきました。父には感謝しています。それによって、魔法アカデミーという重責も担うことができたのですから。私とクリスティーネは兄と妹のように育ちました。彼女は勉学は得意でした。ただ、彼女は孤児だったので高度な専門教育を受けることはできず、彼女は独学で秘書の仕事を学んだのですよ」

「へえ……そうなんですか。すばらしいですね」

エスカローネが感激した。

「それでは、今日はありがとうございました。お仕事の邪魔になりそうなので、俺たちは帰ります」

「おいしいコーヒーをありがとうございました」

「おや、もうこんな時間ですか。それでは私がお見送りしましょう」

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