マグノリア
「ですから、私があなたを守ります、ノイアー市長」
「テンペルの青き狼か……君がいてくれるのは心強いが、本当にそのモンスターは私を攻撃してくるのかね?」
ノイアー市長が疑念を表明した。
ノイアー市長は40代のさわやかな政治家で、弁舌は滑らかだった。
青いスーツを着こなし、黒いネクタイをつけている。
髪は茶髪でオールバックだった。
ノイアー市長は笑った。
「敵を過小評価することは危険ですよ」
セリオンが忠告する。
セリオンはノイアー市長の部屋にいた。
「フン、私は君以外にも屈強な戦士を雇っている。君の出番がないといいがね」
「そうですね。それが、最も望ましいでしょう」
「し、市長!」
そこに男性の秘書官が狼狽してやって来た。
「バ、化け物が現れました! 目下、戦士たちと交戦中です!」
「何だと!? この私も出る!」
セリオンも市長についていった。
市庁舎の外ではすでに流血の戦闘が起きていた。
「これは、これは一体どういうことだ!?」
ノイアー市長は狼狽した。
ノイアー市長が雇った戦士たちは、すべて闇の槍に貫かれて絶命していた。
「ほう……ようやく現れたか、ノイアー市長。逃げずに殺されに来るとはな」
「おまえは……しゃべれるのか!?」
「我が名はマグノリア。闇の理の権化なり。さて、ノイアー市長よ、約束通りここで死んでもらおうか」
「そうはさせない!」
大剣を構えてセリオンが前に出た。
「きさまは何者だ?」
「俺はセリオン・シベルスクだ」
「ほう……我が宿敵と会えたな。夜叉丸と金剛鬼はおまえたちによって倒された」
「あいつらを操っていたにはおまえか、マグノリア!」
「その通り。では、ノイアー市長の前にセリオン・シベルスク、おまえを殺すことにしよう」
マグノリアが闇の槍を展開した。
闇の槍はセリオンを貫くべく発射される。
セリオンはそれらを大剣で弾き飛ばした。
「死ぬがいい!」
マグノリアの岩石弾。
岩石の弾がセリオンを押しつぶそうとする。
セリオンは軽快なステップでマグノリアの狙いをそらした。
「多連・硬石槍!」
マグノリアが多くの石の槍を放った。
セリオンは蒼気をまとった。
セリオンは蒼波刃でマグノリアの槍を迎撃した。
マグノリアは次なる土の魔法を唱えた。
「地爆!」
セリオンがいた地面が爆ぜた。
セリオンは大きくジャンプしていて無事だった。
セリオンは蒼気を収束すると、鋭い刃と化して、マグノリアに斬りつけた。
セリオンの技「蒼気凄晶斬」である。
マグノリアは一刀両断にされた。
「こんな……バカな……!?」
「終わったな」
「クククク……」
「何がおかしい?」
「私も配下の一人にすぎない。北のクレーターに行くがよい。そこにプロセルピナ(Proserpina)様がいる。プロセルピナ様を倒さねばすべては終わらぬ! 我々はプロセルピナ様によって作られたのだから!」
マグノリアはそう言い残すと、黒い粒子と化して消滅した。
セリオンはスルトと話をした。
「つまり、そのプロセルピナが邪鬼たちの黒幕なのだな?」
「マグノリアの話ではそうだ」
「では、プロセルピナを倒さねば事は終わらないということだ」
「スルト、俺はバイクで北のクレーターに向かうつもりだ」
「セリオン、一人で行くつもりか?」
「ああ」
「だが、バイクよりももっといい方法がある」
「それは?」
「飛空艇だ。飛空艇シーベリオン(Siyberion)を使う」
スルトをはじめ、アラゴン、セリオン、シエル、ノエル、ディオドラ、エスカローネがシーベリオンに乗り込んだ。
この飛空艇の存在を知っているのはごくわずかの者だけだった。
アンシャルはナンバー2としてテンペルに残る。
「危険が待ち構えているだろう。だが、おまえには人を信じさせる力がある。きっと切り抜けられるに違いない」
「ありがとう、アンシャル」
セリオンとアンシャルはあいさつを交わした。
スルトは指揮官、アラゴンは操縦士、ディオドラは料理担当、エスカローネは回復役、シエルとノエルはオペレーターだった。
セリオンはもちろん戦士だ。
「飛空艇シーベリオン、発進する!」
「アイアイサー! シーベリオン発進!」
スルトの命令を受けてアラゴンが船を動かす。
「まずは近くの町で情報収集だ。全てはそれからだ」
スルト一行はクローナシュタット(Kronastadt)で情報を集めることにした。
飛空艇は浮かび上がり、アンシャルはそれを見送った。
クローナシュタットの情報では北に行くとクレーターがあるらしい。
何やら昔、地表に何かが当たってこのクレーターはできたらしい。
セリオンは北のクレーターの情報を集めると、クレーターに向かった。
北のクレーターはさびれていた。
そこはモンスターさえ近づかないところだった。
「映像、ディスプレイに出します」
シエルがパネルを操作する。
映像が空間に投影されて浮かび上がる。
北のクレーターは想像以上に大きかった。
また爆発の衝撃か深くえぐれていた。
クルーたちは息をのむ。
「これは想像以上だな……」
セリオンが漏らした。
「クレーターの近くに不時着する!」
「わかりました」
「スルト団長!」
「何だ、ノエル?」
「クレーターの中央に穴らしきものがあります!」
「ほう、それは入口だろうな。セリオン、出撃準備だ」




