発電所
「スルト、今帰った」
「おお、若き狼か。よく戻ってきてくれた。それで、いったい何があった?」
「アンシャルが言った通りだった」
「……つまり、サタンか?」
「そうだ。狂化改造を赤き祝福とかほざいていたな。驚くべきことにあの悪魔王サタンが黒幕だった」
「サタン……私たちはかつてサタンと戦った。その時はサタンは高いところから落ちたが……今から10年前の話になるが……」
「俺が10歳の時か……サタンの目的は何だろう?」
「それはこの地上を闇で支配することだ。そのためにツヴェーデンを襲ったり、我々テンペルの人間が邪魔になったりするのだろうが……」
「サタンを紐解く鍵は『ネーション・ステート』のようだ。スルト、どう思う?」
「ネーション・ステートは現在の国際秩序だ。目下の国家はいずれもネーション=民族を基礎として成立している」
「おそらく、サタンはそれを変える気だ」
「何?」
「サタンにとって自分の支配圏の確立こそ望み……今のネーション・ステートと国境線は何の意味もない。サタンが求める国家とはネーション・ステートを否定したところにあるんじゃないか?」
「サタンほどの男なら考えられることだ。む?」
「スルト!」
そこにアンシャルが入ってきた。
アンシャルは何か急いでいるようだった。
「どうした、アンシャル?」
「スルト……セリオンもいたか。ちょうどいい! 今発電所がギャングに襲われているらしい!」
「何だと!?」
「本当か?」
「ああ、そこでセリオンを派遣したいんだが……」
「よかろう。セリオン、帰ってきたばかりで悪いが、発電所に向かえ。ギャングを操っているのはおそらくサタンだ」
「わかった! すぐに向かう!」
「うむ。頼んだぞ、若き狼よ」
「クックック! これでよい。これでこの発電所のガードシステムは私の支配下に入った。フッフッフッフ! セリオン・シベルスクよ、どう出る? フフフ、……ファーハハハハハ!」
サタンの哄笑が制御室に響き渡った。
セリオンはバイクで発電所に到着した。
発電所の内部では警備兵と、リザードマン・狂が戦いを繰り広げていた。
戦いはリザードマンの優勢であった。
リザードマンたちは警備兵を次々と殺害していく。
そんなとき、 ちょうどセリオン現れた。
セリオンはすぐさまリザードマン・狂を斬り捨てた。
「何だ!? おまえも敵か!?」
「安心しろ。俺は味方だ。俺はリザードマンを倒す。戦場は激動的だ。ゆえにすべては激動的になされねばならない」
セリオンはすぐにリザードマンの群れに突入していった。
セリオンは圧倒的強さを見せつけた。
セリオンはリザードマンを次々と屠っていく。
リザードマンは動揺した。
セリオンの前に攻撃する意欲を失っていく。
じりじりとリザードマンは後退していった。
「何をやっているのだ! 敵はたった一人ではないか! 情けない!」
敵の指揮官がリザードマンに罵声を浴びせた。
「おまえは?」
「私はサタン様の部下で、名はデボリオン(Debolion)!」
デボリオンはニンニクの形をしたボディーに両手、両足がある姿だった。
「おまえが指揮官か。なら俺はおまえを倒すだけだ」
「ハッハッハ! 笑止! このデボリオン様と戦おうとするなどと! この発電所のガードシステムはサタン様がのっとった! ゆえにこのようなこともできるのだ!」
デボリオンが合図すると、奥からドーベルマンが現れた。
ドーベルマンたちは明らかに普通ではなかった。
例外なく目が赤かった。
「まさか、このドーベルマンは……」
「ハッハッハ! その通り! これは赤き祝福だ! さあ、どうする? 行け! ドーベルマンどもよ!」
ドーベルマンはセリオンに跳びかかってきた。
セリオンは大剣でそれを叩き落した。
ドーベルマンはセリオンにかみつこうとする。
セリオンは大剣で斬り払う。
セリオンは大剣を振るってドーベルマンを全滅させた。
「くっ!? ドーベルマンが倒されるとは……だが、これはどうだ? カッターマシン!」
奥から円形のカッターを備えた機械兵器が出現した。
両サイドにカッターが取り付けられている。
カッターマシンはセリオンに突っ込んできた。
セリオンは大剣に雷の力を集めた。
雷が大剣から放電する。
セリオンはカッターマシンの正面から雷電の一撃をカッターマシンに叩き込んだ。
「紫電剣!」
カッターマシンは雷によって全身をショートさせ、機能を停止した。
カッターマシンから爆発が起きた。
「どうした? これでおしまいか?」
「ぐぬぬぬぬぬ! カッターマシンまで倒すか! かくなる上は、このデボリオン自ら相手をしてくれる!」
デボリオンは両手を長く伸ばした。
セリオンはジャンプしてデボリオンに斬りかかる。
デボリオンは両手で大剣をガードした。
「切り刻んでくれるわ! トルネード!」
セリオンはすぐさま後退した。
トルネードはデボリオンを中心にして、周囲に発生した。
トルネードが空気を切り刻む。
トルネードは収まった。
「多連・風翔槍!」
デボリオンが多くの風の槍を出した。
セリオンめがけて風の槍が飛んでいく。
セリオンは蒼気を出すと、飛来する風の槍をすべて迎撃した。
「トルネードシューター!」
デボリオンは横にトルネードを発生させた。
トルネードがセリオンに突っ込んでくる。
セリオンは蒼気の斬撃でトルネードを撃墜した。
「むう……これも効かんか……ならば! サンダーボルト!」
雷の列がセリオンに向かう。
セリオンは横にステップして、雷の列をかわした。
デボリオンはセリオンに接近した。
「おりゃあああああ!!」
デボリオンは右手を伸ばしてセリオンを突こうとしてくる。
セリオンはそれをかわした。
セリオンは銀色の光を大剣にまとわせる。
銀光の斬撃をセリオンは繰り出した。
セリオンの斬撃がデボリオンを襲った。
「ぐぎゃあああああああ!?」
デボリオンが悲鳴を上げる。
「サ、サタン様……」
デボリオンは倒れた。
「フン、デボリオンめ、倒されたか。役立たずめが」
そこにサタンが現れた。
「サタン!」
「フッフッフ、久しいな、セリオン・シベルスクよ」
「サタン、おまえの目的は何だ?」
「フッ、それはな、我々の新しい帝国を築くことだ。我々のレーベンスラウムをこの地上で手に入れることだ。そしてこの私が支配する。その帝国はこの私によって支配される。私は帝国の君主に、指導者に、皇帝に、なるのだ!」
「歪んだ誇大妄想だな。だが、それもここで終わらせる!」
セリオンはサタンに近づき、斬撃を浴びせた。
しかし、サタンはどこ吹く風だ。
「? おかしい……俺の斬撃はすべて当たった。なぜ斬れない?」
「フハハハハハハ! 少し、遊んでやるとしようか」
サタンは懐から大剣を出した。
セリオンがサタンに斬りつける。
セリオンの大剣はサタンによってすべて防がれた。
サタンは軽く薙ぎ払う。
セリオンは大剣でガードする。
両者の武器は互いに大剣だったが、違いがあった。
それはセリオンの大剣は片刃だが、サタンは諸刃の大剣だということだ。
サタンは片手で大剣を振るう。
サタンは斬撃を飛ばしてきた。
セリオンは蒼波刃で迎撃を試みる。
蒼波刃はサタンの斬撃をかき消した。
「フム……なかなかやるな」
「はあ!」
セリオンはサタンに近づき、剣の嵐を叩き込んだ。
サタンは涼しげだった。
セリオンの斬撃をサタンはすべて見切っていた。
「これが君の力かね?」
サタンは大剣で突きを出した。
セリオンはそれを大剣で受け止めた。
「フッフッフ! 少し強くいくぞ?」
サタンの大剣に闇がまとわれた。
サタンはセリオンに近づき、大剣を振り下ろした。
セリオンの方向に爆発が起きた。
セリオンは蒼気を出して、爆発を無力化しようとした。
だが、完全にはその爆発を消せなかった。
「くう……」
セリオンは片足をついた。
「フッフッフ、どうしたのかね? それがおまえの実力か、セリオン・シベルスク? 期待を裏切らせるな」
「まだ、俺は終わらない!」
セリオンは立ち上がり、大剣を構えた。
「フハハハハハ! それでこそ神の子だ、セリオン・シベルスク。しかし……」
サタンは大剣をしまった。
「? どういうつもりだ?」
「ここは我らの決着をつけるのにふさわしい舞台ではない。ここは引くとしよう。さらばだ、セリオン・シベルスク。いずれおまえはこの私に倒されるのだ。フハハ! ファーハハハハハハ!」
サタンは闇の霧に消えていった。
「くっ……サタン……あれほどの強さを持つのか……今の俺では力が足りない……」




