ギーク
ツヴェーデン軍は隊商の護衛をしていた。
隊商を守ることは経済を活性化させるために必要なことだった。
隊商の安全確保は切実な問題だった。
現在、ツヴェーデン経済は自由化によって、好景気が続いていた。
ツヴェーデン政府はギャング「闘牛団」による攻撃を重く受け止めていた。
このまま闘牛団の活動を許せば、経済が鈍化することは避けられない。
経済活動には安全は重要な要素だった。
そのためにツヴェーデン軍がじきじきに隊商を守ることになったのだ。
ツヴェーデン兵はまさか自分たちが護衛している隊商が襲われるとは夢にも思っていなかった。
左右に森が広がる道の中で、闘牛団は姿を現した。
左右に分かれて、闘牛団は隊商を取り囲む。
「敵襲だ! 戦闘配置につけ!」
ツヴェーデン兵はサーベルを抜いた。
ギャングとツヴェーデン軍が交戦する。
ツヴェーデンは覇権国である。
ツヴェーデン軍は地上最強という名声を確立していた。
そのツヴェーデン軍に対して、リザードマンたちは刀と数で圧倒していく。
「た、隊長! こいつら強いです! 普通じゃありません!」
「落ち着け! まずは現状を正確に認識しろ! 敵はリザードマン、たかがリザードマンではないか!」
隊長が部下を叱咤した。
リザードマンは普通は緑の皮膚をしている。
ところが襲撃してきたリザードマンは赤い皮膚をしていた。
リザードマンは口から火の息をはいた。
「ぎゃあああああ!?」
リザードマンの戦闘力は高く、一人一人のツヴェーデン兵の力を上回っていた。
「くっ、こんなところで……我々栄光あるツヴェーデン軍がリザードマンにやられたなどということは世界の笑いものだ!」
アイヒマン(Eichmann)隊長は絶叫した。
と、そこに。
「ぐぎゃああああ!?」
「ぎゃあー!?」
「なっ、なんだ!?」
一人の青年がリザードマンを斬り殺した。
そこに金髪碧眼の戦士が現れた。
それはセリオンだった。
「遠くで武器を交える音が聞こえたと思ったら、ギャングに隊商が襲われていたのか。これは見逃せないな」
リザードマンはセリオンに襲いかかった。
セリオンは軽やかな剣裁きでリザードマンたちを斬り捨てた。
ツヴェーデン兵たちは自分たちの命に希望を持った。
「どうする? まだやるか?」
リザードマンたちはじりじり後ろに下がっていった。
「いったい、何をやっているのだ! 『先生』にパワーアップしてもらいながら、そのような若造一人倒すことができないのか!」
そこに大きなモンスターが現れた。
舌を垂らし、腹が出た、短いしっぽのモンスターだ。
こいつは二足歩行していた。
手には長柄のハンマーを持っている。
「ギーク(Gieg)様!」
「このおでがこの若造を葬ってくれるわ!」
ギークと呼ばれたモンスターはリザードマンたちが見守る中、セリオンに一騎打ちを挑んだ。
「若造よ、名は何と言う?」
「俺か? 俺はセリオンだ」
「セリオン・シベルスク! テンペルの英雄か! フン! 相手にとって不足はない! このおでと勝負しろ!」
「いいだろう。勝負だ」
セリオンは大剣を構えた。
「はああああああああ!!」
ギークがロングハンマーで打撃してきた。
セリオンはとっさに跳びのいた。
ギークのロングハンマーは大地に穴を作った。
「すさまじい威力だ。まともにくらったらただでは済まないな」
「フフン! まだまだ行くぞ? ちょあああああ!」
ギークがロングハンマーを振り回す。
セリオンはギークの攻撃を受け止めることは危険と判断し、回避に徹した。
「ええい、ちょろちょろとすばしっこい奴め!」
ギークは口に何かをたくわえた。
セリオンはとっさに光の大剣を出した。
ギークは口からアシッドブレスをはいた。
アシッドブレスは物を腐食させる。
アシッドブレスが放射される。
セリオンはそれを光の大剣で斬り裂いた。
「死ね! 魔酸打!」
セリオンはすばやく跳んでこの攻撃をかわした。
「こちらからも行かせてもらう! 光波刃!」
セリオンは光の刃を放った。
光の刃がギークに命中する。
しかし、ギークの贅肉の前に光波刃は消滅した。
「ガッファッファッファ! そんな攻撃はおでには通用しないわ!」
ギークがロングハンマーで薙ぎ払った。
セリオンは大剣を出した。
そしてギークの攻撃を受け止めた。
「なん、だと!?」
ギークが驚く。
「何度同じ攻撃を見たと思っている? もうその攻撃は俺には通用しない」
「くっ! だが、おでのボディーを破ることはできん!」
「そうかな? はっ!」
セリオンは雷を収束した。
そしてギークに雷電の斬撃を叩き込んだ。
セリオンの「雷鳴剣」である。
「グギャアアアアアアアアアア!?」
ギークが絶叫を上げる。
ギークは手からハンマーを落とした。
「とどめだ! 雷光剣!」
セリオンは雷の力を集めると、必殺の一撃「雷光剣」を出した。
雷光がギークの体にはじけ飛ぶ。
「ギイヤアアアアアアアアアアアアア!?」
ギークは放心し、うつぶせに倒れた。
「この、おでが…………」
ギークは黒い粒子と化して消えた。
「ヒイイイイイ!? ギーク様がやられた!?」
「逃げろおおおお!」
「せ、せんせー!」
リザードマンの群れは散っていった。
「どうやら、ギャングは去ったみたいだな。けがはないか?」
セリオンはアイヒマン隊長に声をかけた。
「ああ、すまない。協力に感謝する。あのリザードマンたちは異常な強さを持っていた。まさかあれほど強いとは……なぜだ?」
「何者かが強化改造を施したんだろう。俺はいったんテンペルに戻る。それでは」




