シュパイダリン
シュパイダリン(Speiderin)は路地裏で五人分の人肉を喰らっていた。
丸々と太った男たちの肉だ。
「うふー! 丸々と太った男たちの肉はおいしいかえ。それにしても、いったい誰がシュパイダーを倒したのか……」
シュパイダリンはとっさに横によけた。
蒼い蒼気の刃がシュパイダリンをかすった。
「何者!?」
「ちっ! 今のをかわされたか。不意を突いたつもりだったんだがな」
「よくも食事の邪魔をしてくれましたね! 許しませんよ!」
「俺はテンペルの騎士だ。おまえのつがいの相手シュパイダーは俺が倒した」
「!? なんと!? フハハハハハハ! サタン様に栄光あれ! サタン様は偉大だ! シュパイダーを殺した憎き相手とこうして会えるとは! 許さぬぞ! きさまは生きたまま喰らってくれる!」
「それはこちらのセリフだ。これ以上の犠牲には黙っていない! ここでおまえを俺が倒す!」
「ヒャーハハハハハ! それは不可能なり! これでもくらえ!」
シュパイダリンは尻を向けると、粘着性の糸を出した。
セリオンは蒼気の刃を出した。
糸がバラバラに切断される。
「ここではこちらが不利じゃな……ここは引くとしよう!」
シュパイダリンは大きくジャンプして壁を越えた。
「逃がすか!」
セリオンも壁を越えた。
身体強化で脚力を強化したのだ。
シュパイダリンは東の方向へと逃走していった。
おそらくそこに巣があるに違いない。
セリオンはすさまじいスピードでシュパイダリンを追って行った。
シュパイダリンは森の中に入って消えた。
「東の森か……奴はどこだ? どこかに隠れているはずだ。奴は俺を殺したいはずだからな。ん?」
セリオンの前に巨大なハチの巣があった。
「グンタイバチか……こいつらをここで放置しておくことは危険だな。やれやれ……まずはこいつらから倒さねばならないな」
セリオンは大剣を構えた。
グンタイバチはセリオンを認めた。
尻から針を出してセリオンに迫ってくる。
セリオンはグンタイバチを大剣で斬りつけた。
グンタイバチの死体が次々と築かれていく。
グンタイバチは数を頼みにセリオンを襲ってきた。
セリオンは上空から飛来するグンタイバチに、雷電の斬撃放った。
「雷電昇」である。
雷電がハチたちを灰に変えていく。
セリオンの雷電昇は巣に亀裂を入れた。
巣は森の中の木の上にあった。
グンタイバチの中から巣を守る役目のオスが四匹出てきた。
「オスか。今までのザコとは違う相手のようだな」
オスたちがセリオンの周りを回転する。
オスの一匹がセリオンに攻撃を仕掛けてきた。
セリオンは雷電昇で撃ち落とす。
一匹のオスが灰と化した。
残り三体のオスはセリオンに一斉に攻撃を仕掛けてきた。
セリオンは光の大剣を上にかかげて。
「光、在れ! 閃光剣!」
閃光がセリオンを中心にして起こった。
セリオンの閃光は巣ごとグンタイバチを消滅させた。
その瞬間、セリオンの背後から糸が発射された。
セリオンはすみやかに回避を取った。
セリオンは蒼波刃を糸に放った。
「そこか!」
「うきゃああああ!?」
シュパイダリンが木から落下した。
シュパイダリンが木の中に隠れていたのだ。
「うぐー! よくもやってくれたな! 私の攻撃はこれからだ! はあああああ!」
シュパイダリンは雷光の糸で巣を作った。
「からみとってくれるわ!」
「ここで決着をつける! 俺がおまえを倒して、事件は終わりだ!」
「くらえい!」
雷光のネットを、シュパイダリンは撃ち出した。
セリオンは蒼波刃でそれを迎撃する。
「ウッフフフフフ! 子供たちも生まれたがっておる! そなたの肉を生きたまま喰わせてくれる!」
「その前に俺がおまえを倒す!」
セリオンは雷光の力を収束させた。
「? 何じゃ?」
セリオンの刀身にははちきれんばかりの雷が収束された。
「これでとどめだ! 雷光閃!」
セリオンは雷光のひらめきをシュパイダリンに向けて放った。
「そ、そんな!?」
シュパイダリンは言葉を紡ぐ暇なく消滅した。
雷光がシュパイダリンを呑み込んだ。
すべてが収まると、シュパイダリンは蒸発していた。
「終わった。事件の解決だ」
セリオンは東の森を後にした。
そしてテンペルに戻り、スルトとアンシャルに報告した。




