シュパイダー
夜の道を、一人のビジネスマンが歩いていた。
彼は酔っていた。
彼はビールを飲んだ帰りだった。
「ヒック……はあ……しょんべんがしたくなってきたぜ。さて、この建物の影でするとしようか」
男は建築作業現場に入った。
ここはビルが建てられる予定地だった。
「ふいー……」
ふと男の背後から影が降りてきた。
影はしりから糸を出して男に接近した。
影は男に近づくと、その牙でかみついた。
「いてえ!? な、何だあ!?」
男の酔いは急速に冷めていった。
男は影を見た。
影の正体は大きなクモだった。
「な、な、な、何だ!? おまえは!?」
男はしりもちをついた。
「ククク、おまえはもうじき死ぬ。我が毒で全身を侵されてな」
「毒だって!? ぐお!?」
男はかまれた首筋を押さえた。
男は地面をのたうち回った。
「ぐあああああああ!? い、嫌だ! 死にたくない! 死にたくない!」
男は「死にたくない」と連呼していたが、やがて動かなくなり、こと切れた。
「グフフフフ! ようやく死におったか! さて、今夜も『食事』にありつけたぞ! では、いただきまーす!」
クモは男の死体にかぶりついた。
夜の町で一つの事件が起こった。
セリオンはテンペルの執務室に招かれた。
「入ります」
「うむ、入ってくれ」
中からスルトの声がした。
セリオンは扉を開けて中に入った。
そこにはスルトとアンシャルがいた。
「どうゆう用件で俺を呼んだんだ?」
「うむ、そのことについてだ。アンシャル?」
「ああ。セリオンに来てもらったのは討伐の依頼のためだ」
「討伐? モンスターでも出たのか?」
「そうだ。夜のシュヴェーデで人が喰われた」
「人が喰われた!?」
セリオンが繰り返した。
「ああ、このところシュヴェーデで人が襲われて喰われている。詳しく死体を調べてみると、毒によって殺された後、喰われているらしい」
「毒を使うモンスターか?」
「そうらしい。犯人は食事のために人を襲っているようだな。今日までで十人ほどが犠牲となっている」
「十人も犠牲者がいるのか?」
「シュヴェーデ市からテンペルに討伐依頼が来た。その魔物を倒すのがおまえの仕事だ。さっそく今夜からシュヴェーデを見回りしてほしい」
「わかった。今夜から出撃する」
夜、セリオンはシュヴェーデを歩いていた。
市内は夜でも人の往来がある。
シュヴェーデは夜でも眠らない町だった。
「ねえ、そこのお兄さん? 私といいことしない? 安くしておくよ?」
一人の娼婦がセリオンに声をかけてきた。
「結構だ。間に合っている」
セリオンは女を無視して歩き出した。
路面電車が市街地を通っていく。
セリオンはこの町で育った。
幼いころから愛着のある町だ。
そのため、今回のシュヴェーデで人間が喰われる事件は許せなかった。
セリオンはこの事件に嫌悪感を持った。
セリオンはてきとうに歩いているわけではない。
神剣サンダルフォンには魔物の気配を伝える機能もある。
セリオンはそれを頼りに動いていた。
「ん?」
神剣が何かに反応した。
「近いな! これ以上犠牲者を出すわけにはいかない! 何としてもくい止めてみせる!」
セリオンは走り出した。
ビジネスウーマンが夜風に吹かれて立っていた。
彼女は同僚とビールを飲んだ帰りだった。
彼女は同僚と別れて一人、路地裏にいた。
「あー……少し飲みすぎちゃったかな……ふう……ここで少し、休憩していこうっと」
女性は壁にもたれかかる。
そこに一つの影がビジネスウーマンに近づいてくる。
影はビジネスウーマンを獲物と定めた。
鋭い牙でかみつこうとする。
そこに光の刃が飛んできた。
「おっと!」
影は光の刃をかわした。
「え? 何? きゃ、きゃあああああ!?」
ビジネスウーマンは影を見て叫んだ。
大きなクモが襲いかかる寸前だったのだ。
「ええい! 誰だ! このわしの襲撃を邪魔したのは!」
「おまえが人を喰らう犯人か?」
そこに大剣を持ったセリオンが現れた。
「わしはシュパイダー(Speider)! クモの魔物じゃ! よくもわしの食事の邪魔をしてくれたな! 代わりにおまえに肉をいただくとしよう!」
シュパイダーはセリオンに毒の息を吹き付けた。
セリオンは光の大剣を出す。
神剣が光輝く。
セリオンは光の大剣「光輝刃」で毒の息を斬り裂いた。
「なっ、なんだと!? わしの毒の息が!?」
「そんな攻撃など、この俺には通用しない!」
シュパイダーは地面に降りて着地した。
「ならば牙から直接毒を送り込んでくれるわ!」
シュパイダーが接近してきた。
「甘い!」
セリオンは大剣でシュパイダーの接近を妨害した。
「くっ、おのれ!」
シュパイダーはジャンプしてセリオンに乗りかかろうとしてきた。
セリオンはすぐさま後退してかわした。
セリオンは大剣を構えた。
セリオンは大剣でシュパイダーを斬りつけた。
シュパイダーは口から歯を出して大剣にかみついた。
セリオンは大剣を光輝かせた。
「光在れ! 閃光剣!」
「ぐぎゃあああああああああ!?」
シュパイダーは光の閃光をまともに受けた。
そのままひっくり返る。
セリオンはシュパイダーにとどめを刺そうとした。
しかし、シュパイダーはしりから糸を出してセリオンの斬撃から逃れた。
シュパイダーはセリオンから逃走しようとした。
「ここで逃がすわけにはいかない! 光波刃!」
「ぐうぎゃああああああああ!?」
シュパイダーに光の刃が命中した。
セリオンはシュパイダーに近づくと、光の斬撃でシュパイダーを斬りつけた。
「ぎゃああああああああ!?」
シュパイダーは茶色い粒子と化して消滅した。




