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Das Heldenlied Neu ヘルデンリート・ノイ  作者: Siberius
Neu Zwei Proserpina
41/196

セリオンとは?

エスカローネは一人で「音楽室」にいた。

ここで大好きなピアノを弾くためだ。

エスカローネがピアノを演奏する。

エスカローネの指が滑らかに動いた。

エスカローネはラフなファッション、ノースリーブの、黒いシャツに、白いタイトスカートといういで立ちだった。

髪は金色でストレートのロングヘア。

「相変わらず、ここが好きなんだな」

「あら、セリオン。どうしたの?」

「いや、エスカローネはどうしているか、気になってね」

セリオンは音楽室の中に入ってきた。

「もっと、何かを演奏してくれないか? 今はエスカローネの演奏が聴きたいんだ」

「うふふ、いいわよ」

エスカローネはいろんな曲をピアノで弾いた。

セリオンは目を閉じて、エスカローネのそばで演奏を聴いていた。

やがてエスカローネが演奏をやめた。

「ねえ、セリオン?」

「何だ?」

「なんだか、難しいことを考えているでしょう?」

「母さんといい、エスカローネといいよくわかったな」

「私はあなたの幼なじみを18年、恋人を2年やっているのよ? セリオンの顔を見ればわかるわ」

「そんなに俺の顔に出ていたか?」

「セリオンの考えていることは何?」

「ああ。俺は自分の存在について知りたいんだ。そして自分が生きている意味についても……」

「やっぱり、難しいことを考えているじゃない」

「ああ、これは精神の戦いだからな。俺はこの問いから逃げるつもりはない。必ず、答えを出してみせる。エスカローネっはどう思う?」

「そうね。セリオンは私にとって必要不可欠な人よ。あなたは私にとってかけがえのない大切な人。私が愛している人よ。私はあなたを愛しているし、あなたから私は愛されたい。セリオンにとっては戦いと愛がその力の源なんじゃないかしら?」

「戦いと愛?」

「だって、セリオンは光の側にいて闇と戦うでしょう? それに多くの人を愛しているわ」

「そう、だな。俺は自分が光の側に立つ存在だと思う。俺の敵は闇だ。俺は闇と戦う。俺は愛する、兄弟姉妹を。ありがとう、エスカローネ。少しは答えに近づけた気がする」

「どういたしまして。それでもっとほかの人に相談してみたら? 答えに近づけるかもしれないわ」

「ああ、次はアンシャルにでも相談してみるとしようか」


セリオンはアンシャルのもとを訪れた。

そこはアンシャルの私室だった。

「アンシャル……」

アンシャルはイスに座って本を読んでいた。

「アンシャル、相談したいことがあってやって来た」

「私に相談したいこと?」

「ああ」

「まあ、まずはおまえも座るといい」

アンシャルはイスを出した。

「ありがとう」

「で、話しとはなんだ?」

「ああ。俺は一体何者なんだろう? そして俺の人生の意味とは何なんだろう?」

「難しいことをきくな。まずその質問の難しさについて教えよう。それは古代からあまたの作家、芸術家、哲学者、宗教家たちが挑んだテーマだがいまだに公式見解に到達したことがない。結局、答えに到達できなかった者も多い。人間は平和になると考えるようになるものだ。今のおまえはまさにそういう状態だよ。だが、それだけではない」

「というと?」

「おまえ自身がその答えに挑む時だということだ。おまえは今まで武術の訓練と戦いをしていればよかった。かつては……今は違う。今はその力をいかに使うのか……何のために戦うのか、それを考えねばならない」

「俺は何をするべきなんだろう?」

「ははは。今はじっくり考えろ。その答えはすぐに出す必要があるわけでもない。まず、問いを二つに区別しよう。おまえが求めている問いは二つある。一つは自分の存在について。もう一つは自分の人生の意味について、だ。まず、どちらか一つから答えを出したらどうだ?」

「そうだな……それに気づかなかった。確かにまずは一つの問いから答えを得るべきだな」

「おまえの存在にとって決定的なのは、おまえが戦うこと、そして、神に仕えることではないか?」

「つまり、俺は戦士で、騎士で、聖騎士だというわけか」

「私はそう思う。おまえは光の戦士だ。私とおまえはおじとおいの関係だが、私は父と息子の関係だと思っている」

アンシャルは軽くほほえんだ。

「おまえは自分の存在性を深く探るべきだ。自分は何か? 自分は何者か? つまり『セリオンとは何か』ということだ。セリオン、おまえは何を求める? おまえが強烈に望むものは何だ?」

「俺は……俺が望むものは……俺は戦いたい。そして愛したい」

「それがおまえの存在意義なんだ。おまえは『戦う人』、そして『愛する人』だということだ。おまえにとって戦いと愛は二つともおまえの存在に不可欠な要素だ。おまえはただ、戦う人か? 違うだろう? おまえは何が違うんだ?」

「俺は光の側に立つ。光の戦士で聖騎士だ」

「少しずつ、おまえの存在性が浮かび上がって来たな。もう一つ、愛はただ愛するだけではないだろう?」

「俺が愛したいのはシベリア人、兄弟姉妹、同胞、友ら、家族だ」

「どんな概念も無制限では存在しえない。限定することが必要なんだ。おまえは光の戦士で、聖騎士で、愛する人というわけか」

「それが俺の存在性、存在意義、レゾン・デートル……でも、それだけではないと思う」

「ほう……なぜだ?」

「俺は英雄になる前からすでに、英雄になれることを知っていた。俺は英雄になるべくして生まれた。英雄とは俺の本質なんだ」

「確かにそうかもしれないな。それだけではない。おまえを象徴づける動物は『狼』だ。『狼』は誇り高い。とてもおまえにふさわしい動物だと思う」

「俺は何のために存在しているんだろうか? 俺は光の側で闇と戦い、大切な人たちを愛し、かつ守りたい。俺は悪と戦う……」

「ずいぶんと深く考えたな。それを整理してみよう。再び私が問おう。セリオンよ、おまえは何者だ? セリオンとはなんだ?」

「俺は光の戦士であり、神に仕える聖騎士であり、狼であり、英雄だ。そして俺は同胞や兄弟姉妹を、愛する。多くの人の希望であり、何より、光の側に立ち、闇と戦う」

「よく、そこまで深く沈潜できたな。おまえの存在意義は光の戦士であることだと、私は思う。さて、考えたな。少しはクールダウンさせようか。よかったら、コーヒーでも飲んでいかないか?」

「ああ、いただこう」


セリオンはアンシャルとの対談で自分の存在性を突き止めることができた。

もう一つの問いがセリオンにはあった。

それは人生の意味であった。

セリオンはスルトと相談するため、聖堂執務室に行った。

「なるほどな……人生の意味か……それはそう簡単に答えが出るような問いではない。私の人生では騎士と、軍人、指導者といったところか。セリオンよ、おまえはどう生きたい?」

「俺は……戦いたい……そして愛したい……多くの人や世界を救いたい……何より、かけがいのない存在と共に生きていきたい」

「フッ、セリオンよ。おまえは答えを急いで出そうとしているのではないか? 訓練場に行くぞ。久しぶりにしごいてやろう」

「げっ!?」

セリオンは心底嫌な顔をした。

その後セリオンはスルトからきつく剣術をしごかれた。

スルトはセリオンの「代父」であった。

セリオンもスルトを父として尊敬していた。

セリオンを幼少のころから鍛えたのはスルトであった。

セリオンはスルトに愛情があるのをわかっていた。

セリオンは一つのことに思い至らなかった。

それは「神につかえること」だった。

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