ターニャ
セリオンとエスカローネ、アリオン、シエル、ノエルらは川辺でバーベキューをしていた。
食材をまず全員で切り、それから火を起こして鉄板の上で焼いた。
鉄板の上からはおいしそうな匂いが立ち込めてきた。
セリオンとエスカローネが具材を焼き、特にメインの肉を焼いていく。
今日のエスカローネの服装はノースリーブの黒いシャツに、白いタイトスカートだった。
「おいしそうな匂いがしてきたな」
「そうね。芯が焼けてきたようだし、野菜はもういいんじゃないかしら?」
「俺は早く肉が食いたいぜ!」
アリオンはうちわで炭と火をあぶっていた。
「エスカローネ、タレと皿の用意を頼む」
「任せておいて!」
エスカローネがテキパキとタレ、皿、箸を用意していく。
テーブルに五人分を並べる。
「シエルとノエルはどこに行った?」
「あの二人なら川のそばで水浴びしてるよ。ほんとにまったくガキだよなー!」
アリオンが言った。
どうやら二人はお子様だと言いたいらしい。
「まあ、あの二人はまだ子供なんだ。子供のうちはたくさん遊んだほうがいい。大人になったら、そうはいかないからな」
「ふーん、そういうものか」
「おい、アリオン。あの二人を呼んできてくれないか?」
「えー? 俺が?」
アリオンは嫌そうな顔をした。
「わかった。俺が行ってくる。エスカローネ、鉄板を見ていてくれ」
「わかったわ」
「やれやれ」
シエルとノエルは川の中につかって、水を浴びかけていた。
「そーれ! ノエルちゃん!」
「うわー! やったなー! くらえ、シエルちゃん!」
「キャー!」
「おーい、シエル―! ノエル―!」
「あ、お兄ちゃんだ?」
「そうだね。何ー?」
「バーベキューが食べごろだ! そろそろ戻ってこい!」
「わかったー!」
「わかったよー!」
「さて、これでいいか。ん?」
セリオンはふと川に目を止めた。
川から何か小さなものが流れてくる。
「あれは? 行ってみよう!」
セリオンはそれに近づいてみた。
すると、それは小さな妖精だった。
体長は30センチくらいだった。
「お兄ちゃん、これもしかして!?」
「もしかして、妖精?」
「いや、おそらくシルフだ。風の精霊だ」
「精霊!? 私、精霊なんて見るの初めて!」
「私も初めて見たよ!」
「傷ついているようだ。どうして流れてきたのかわからないが、ともかく、エスカローネのもとに運ぼう。エスカローネから回復魔法をかけてもらおう」
セリオンはシルフの女性をかかえて岸に向かった。
「あら、セリオン。もう、アリオン君は食べてるわよ?」
「エスカローネ、この子を頼む!」
「この子は精霊ね? わかったわ、回復魔法を」
エスカローネは回復魔法をこの精霊の女性にかけた。
「うう……ん……」
「あっ、目を覚ましたよ、シエルちゃん!」
「そうみたい……」
「はっ!? 私はどうしてここに!?」
「落ち着け、まずは現状を認識しろ」
「えーと、あなたは?」
「私たちはテンペルの兄弟姉妹よ」
「テンペル? あのシベリア人の宗教軍事組織よね? そんな人たちがどうして私を?」
「俺たちは川辺でバーベキューをしていたんだ。そこに君が川から流れてきたのさ。君こそなぜ川から流れてきたんだ?」
「まずは自己紹介をしましょう。私はターニャ(Taaña)。風の精霊王にしてシルフの女王です」
「精霊王だって!?」
セリオンは目を丸くした。
さっきから肉ほおばっていたアリオンも同じだった。
「俺はセリオン・シベルスク。テンペルの聖騎士だ」
「私はエスカローネよ」
「俺はアリオン」
「私はシエル」
「私はノエル」
「ねえ、お願い! 私をテンペルに連れて行って! 大変なの! シルフの里が魔物に占領されたのよ!」
「どうやら急の用事のようだな。エスカローネ、アリオンたちの面倒を頼む。俺はターニャをテンペルに連れて行く」
「わかったわ。気をつけてね」




