ブルート・スコルピオン
「何だと!? また赤サソリが現れたのか!?」
「はい、そうです」
シューマン市長が声を荒げた。
「もう一体いたということか。もし俺の考えが正しいのなら、おそらく雄と雌だ。奴らはつがいだったんだ」
「なるほど、さすがセリオンさんですね」
「もう一体の赤サソリはどこに行った?」
「どうやらゴルピ(Golpi)荒野の方に向かったらしいです」
「わかった。すぐに出発しよう」
「しかし、馬車では厳しいと思いますよ?」
フローラが懸念を口にした。
「問題ない。俺にはバイクがある。それに乗っていく」
セリオンは一人でバイクに乗って、ゴルピ荒野を走行していた。
土煙が後ろに漂う。
「おっと、待ちやがれ!」
急に岩影から男たちが現れた。
全員武装している。
さらにガラが悪そうだった。
「何の用だ?」
「けっけっけ! 俺たちはゴルピ盗賊団! お頭がおまえを殺すよう命じたんだよ!」
男はモヒカン頭のマッチョだった。
ほかにもこの盗賊団にはマッチョが目立った。
「ずいぶんマッチョが多いな。悪趣味だ」
「けっけっけ! 俺はガロ(Gallo)。ゴルピ盗賊団の副長だ。マッチョはお頭の趣味だ。お頭はマッチョが好きらしくてな。それはどうでもいい。おまえがセリオン・シベルスクか?」
「そうだ」
「じゃあ、死んでくれや!」
男たちがセリオンの周りを囲む。
セリオンはバイクを亜空間収納に一時閉まった。
セリオンは大剣を出す。
男たちがセリオンに攻撃してくる。
セリオンは蒼気を放出した。
それだけでマッチョたちは震えた。
「くっ、何だ、こいつ!?」
「おい、こいつはやべえぞ!?」
「ただのこけおどしだ! 死ねやあ!」
警告を無視した男は蒼気の刃で両断された。
「ひっ!?」
セリオンは雷の力を高めた。
セリオンはぐるりと一回転し、雷の輪を放った。
セリオンの技「雷光輪」である。
周囲に群がっていたため、ゴルピ盗賊団の面々はセリオンの攻撃を防げなかった。
「こいつ……強すぎる……」
男たちは吹き飛ばされてばたりと倒れた。
セリオンは再びバイクで荒野を進むつもりだった。
そこに岩壁から赤サソリが現れた。
セリオンを狙っている。
「こいつは……一回り前の奴より大きい。こいつが雌か?」
「その通りですよ」
「!? おまえは!?」
そこには白衣をつけ、メガネをかけた女がいた。
「おまえは……フローラか?」
「ウフフフ……そうですよ。フローラは偽名です。私の真の名はフリーデリーカ(Friederika)。このサソリの産みの親ですよ」
「おまえが赤サソリを操っていたのか?」
「その通りです。このサソリの真の名を教えましょう。ブルート・スコルピオン(Blutskorpion)。それが真の名ですわ」
「そういえば盗賊がお頭と言っていた。まさか、おまえが!?」
「ウッフフフフ。勘がいいんですわね。その通り。この私が盗賊団のボスですよ」
「何のために赤サソリを使って人を殺していたんだ?」
「ウフフフ! 生物兵器の研究には宣伝が必要かと思いまして」
「生物兵器だと!?」
「軍の兵士でさえ軽く倒せるのなら、ビジネスチャンスには事欠きませんよ!」
「つまり、目的はカネか」
「まったくあなたが雄を倒してしまったせいで、繁殖の計画がぱあになってしまいました。その埋め合わせはこの雌と戦って死んでもらうしかないですね」
「……」
「さあ、ブルート・スコルピオン! この男を殺しなさい!」
「ギイイイイイイイ!」
ブルート・スコルピオンが口から強酸の息を出した。
アシッドブレスだ。
これは対象を溶かしてしまう攻撃だった。
しかし、セリオンは蒼気を発すると、蒼気の刃を放ち、ブルート・スコルピオンに命中させた。
セリオンは蒼気を極限まで収束させた。
そして蒼気は一本の剣になった。
セリオンはこのつるぎでブルート・スコルピオンを斬りつけた。
セリオンの技「蒼気凄晶斬」である。
セリオンの斬撃はブルート・スコルピオンを一刀両断にした。
「は?」
フリーデリーカは硬直した。
目の前のできごとに思考がついていかないようだった。
こんな簡単にブルート・スコルピオンが倒されるなどと……
セリオンはこの隙を逃すほど甘くない。
「蒼波刃!」
セリオンは蒼気の刃を飛ばして、フリーデリーカを斬った。
「くっ……私ともあろう者が……こんな結末なんて……ああ……」
フリーデリーカは絶命した。
かくして生物兵器事件は幕を閉じた。




