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Das Heldenlied Neu ヘルデンリート・ノイ  作者: Siberius
Neu Vier Aschtoreth
103/196

ユグルタの陰謀

ヌミディアにて……。

「フッフッフ、どうやらツヴェーデン軍は一個軍団10万の兵力をヌミディアに送るつもりのようですな。バカな奴らだ。我々が闇の祝福を受けているとも知らずに」

王宮でユグルタが言った。

ユグルタは豪奢な茶色の髪にすらっとした長身で顔も整っており、女性を魅惑する外見だった。

「そうは思いませんか? それにしても、この派遣軍も含めてすべてあなたの計略通りですな、サタン様?」

ユグルタの前にはサタンがいた。

サタンは玉座に腰かけていた。

「フフフ、ユグルタよ、そう焦るな。闇の力は絶大だ。闇と取引したおまえと、私は最大限、バックアップするつもりだ。ユグルタよ、おまえがツヴェーデン軍を破れば、ほかの国も、ヌミディアの現体制を認めるしか、つまりおまえの支配を受け入れるしかなくなるであろう」

「おお、サタン様!」

ユグルタはサタンの前でひれ伏した。

ユグルタは恍惚とした表情を見せた。

それは心からこの『悪魔の盟主』を、『サタン』を『崇拝』していることの表れだった。

ユグルタの悪魔崇拝である。

「すべてがかないましたら、私はこの国をサタン様への信仰に導くつもりです! サタン様こそ我が『救世主』! サタン様は闇の兵器を私どもに貸し与えてくださいました。特に、あのゴーレムは大きな戦力となるでしょう」

サタンはほおづえをついた。

「だが油断はできんぞ。情報ではセリオン・シベルスクとアラゴン・ダンスク、二人のテンペル聖騎士がツヴェーデン軍に参加しているということだ。ゆめゆめ、侮るな。特にセリオン・シベルスクは危険だ」

「わかっております。このユグルタ、万全の準備でツヴェーデン軍を迎え撃ちましょう!」

「そうあってほしいものだ。この戦争はセリオン・シベルスクをいかに始末するかで戦争の行方が変わってくる。セリオン・シベルスクは一騎当千。奴一人にヌミディア軍がボロボロにされかねんのでな。奴を始末しておくための特別な部隊を私は編成しておいた。彼らならセリオン・シベルスクをこの戦いから排除できるであろう」

「もう一人のアラゴン・ダンスクは?」

ユグルタが残る懸念について尋ねた。

「フッ、セリオン・シベルスクと比べれば、アラゴン・ダンスクなど小物よ。ヌミディア軍と機動兵器で包囲し、絶命させてやるがいい」

「はっ! さすがはサタン様! すべてはサタン様の御心のままに!」

「では、前祝いをするか」

サタンはワイングラスをかかげた。

「ヌミディアの、闇の勝利に乾杯!」

「サタン様に栄光あれ!」

サタンとユグルタはワイングラスを上にかかげた。


ツヴェーデン軍はアーブラカ(Abraka)大陸を目指して地中海(Das Mittelmeer)を航行する。

「おー、これが海か! これが地中海か!」

アラゴンが興奮して言った。

「アラゴンは海を見るのは初めてか?」

「私は冒険者をしていたこともあるが、地中海に来ることは初めてだ。海に吹き付ける風がさわやかだ」

「俺は何度か、地中海を見たことはある。だが、直接渡るのは初めてだ。今思えば、スルトはこういったことまで経験させておきたかったのかもしれないな」

その日の夜、セリオンはエーリカに無線通信機を貸してくれるよう手配した。

エーリカはすみやかに無線通信機を持ってきた。

エーリカはどうやら仕事ができる女らしい。

「もしもし、エスカローネか?」

「ええ、セリオン、私よ」

声からセリオンの心配をしていたことが分かる。

「今、船の中にいる。食事はもう食べた。今は地中海を航海しているところだ。そっちはどうだ? 何かあったか?」

「ニュースでツヴェーデン軍のことが持ちきりよ。それにしても、セリオンの声がして安心したわ」

エスカローネの顔は見えないが、今ごろ、安心した表情をしているに違いない。

「母さんはどうしている?」

「ディオドラさんは礼拝堂にいるわ。神に祈っているみたい。ディオドラさんは敬虔な人だから」

「そうか。母さんらしいな。エスカローネはしばらく糧食部勤務なのか?」

「そうよ。私は朝、昼、夕って食事を作っているわ。ディオドラさんが指揮してくれるからよほどのことがない限り、間違いは起こらないわよ」

「ははは。母さんの指揮は的確だからな。シエルやノエル、アリオンはどうしている?」

「シエルちゃんとノエルちゃんは勉強を頑張っているみたいね。今度試験があるって言っていたわよ。だから自分の部屋で勉強しているみたい。アリオン君は自分も地中海を見てみたかったって言っていたわ」

セリオンは彼らの近況にほおが緩んだ。

「まあ、アリオンも大人になれば行けるかもしれないな」

「セリオンのほうはどうしているの?」

「俺はツヴェーデン軍の訓練に参加したよ。さすが精強と名高いツヴェーデン軍だ。兵士の練度には舌を巻いたよ」

「そうなの……セリオンも楽しくやっているようでよかったわ」

エスカローネが通信機の先で笑った。

「それじゃあ、時間が来たから切るな」

「うん。セリオン、愛してる」

「俺もエスカローネを愛しているよ」

セリオンはそう言うと通信機を切った。

「ありがとう、エーリカ。用は済んだ」

「お話の相手は恋人ですか?」

「ああ、まあ、ね」

「そうですか。どのようなかたかうかがっても?」

「そうだな。金色の長い髪と青い目をした女性だ。特に彼女の髪はひときわ美しく輝いている」

「そうですか。さずがはセリオン様。もっともセリオン様のようなかたには女性のほうが放っておかないのではありませんか?」

「そう見えるか?」

「余計なことを言いました。忘れてください。それでは用件は以上でよろしいのでしょうか?」

「ああ、助かったよ。ありがとう」

「それでは」

エーリカはセリオンの部屋から出て行った。


次の日も船は地中海を航海していた。

その日はセリオンとアラゴンが剣術の訓練をしていた。

これはあくまで『剣術』のみで戦う。

これは闘気や技を使えばセリオンが勝ってしまうからだ。

純粋に剣術の勝負となると二人の技量は拮抗していた。

セリオンはアラゴンを攻めた。

セリオンの剣がアラゴンに襲いかかる。

「うおお!? さすがはセリオン。青き狼か」

アラゴンも反撃していく。

セリオンとアラゴンは間合いが異なる。

セリオンは大剣の間合い。

アラゴンは長剣の間合い。

セリオンが重みのある剣撃を繰り出してくる。

「くううっ!?」

アラゴンは守勢に回った。

戦いのイニシアティブはセリオンが握った。

甲板かんぱんには多くの人だかりができた。

ツヴェーデン軍の兵士たちがセリオンとアラゴンの戦いを見に来たのだ。

アラゴンも負けてはいない。

大剣を受け流すと、アラゴンは斬りこんでいった。

アラゴンの剣撃がセリオンに迫る。

セリオンは的確にアラゴンの剣をガードした。

戦いがヒートアップしてきたころ……。

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