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159 熱狂と平静のち熱帯雨林のお告げ

誤字報告ありがとうございます!


あと、前話の内容に合わせてのリアクションぽちってくださったのか、セージがなぞ感情と思っている「ニコニコ笑顔の絵文字」が多めだったのが印象的で楽しかったです。

どのリアクションも嬉しいです!ありがとうございます!

 


 ファンタジー酒池肉林っぽいやつみたいなのを思わせられた豪農王国祭りから五日後、俺はまた船上の人になっている。ハルトとマモルが生物型ダンジョンの攻略がおわった途端戻ってこいよと誘ってくれたからだ。

 都合のいい男ってこういうことなのかと思わせられた。


「やっとボス倒したからこっち戻ってこいよ。すっげー楽しかったんだぜ!」


「攻略不可能とされている《南海の銷魂・ヴェルファンドラ》完全攻略ー。三日三晩戦い続けるって本当にあることなんだーって感想? 実感? 戦闘中は手に汗握ったよねー。エルフたちとか子供たちとも交代しながら戦ってさー。あ、セージ、もう大丈夫だから戻ってきなよー」


 俺に「戻っておいで」ってのはついでのようで、「冒険譚聞かせてやるよ」が大半を占めていそうなやつだった。

 そして俺も素直でいい子なもんだから友達に誘われてホイホイと合流した。

 そしたらその場の熱い雰囲気に動揺。みんな興奮冷めやらぬ的なテンションだった。

 ずっと戦っていたってのが嘘みたいな元気でさ。キラキラした笑顔。達成感に満ちあふれた表情。あのクールっぽい年上少女エルフのカジュでさえも。

 つい最近もこういうテンションにちょっとビビって引いちゃった時があったなと記憶がよぎる。頭の中に猫みたいなのが浮かんでは消え浮かんでは消え浮かんだ。なんだっけ。


 それから三日ばかし話題はずっとダンジョンのことばかり。みんなまだまだ熱く語らい合っている。

 もういいよ、ダンジョンなんて。お宝らしいお宝が出るダンジョンならうらやましいと思うが、そうでない臭くて危険しかないダンジョンの話を聞いたところで、心の底から「すごいな、お前らよくがんばったよ」くらいしか感想がでない。そんな俺は友達甲斐のないやつだろうか。


「セージ様、ピクシー=ジョーとシエナから連絡があり、南大陸を見つけたそうです」


 広い談話室のソファーでゴロゴロしながらゲームしていると、アーシュレシカが静かに報告してくれた。

 ありがたい。ビビらなくて済んだ。


「ん。そか」


 ……。

 …………。


「え!? それだけ!?」


 向かい側の一人用ソファーで本を読んでいたマモルが驚いている。

 南大陸なんてそのうち誰かの久遠の騎士あたりが見つけてくれるだろうと思っていたのでそこまで驚くこともないと思うんだけど。違うの?

 ピクシー=ジョーが見つけたならピクシー=ジョーを配下久遠の騎士に持つマモルんとこの妖精型久遠の騎士アムちゃんにも連絡行くよね?

 つかマモルのアムちゃんとか、ハルトのロボット型久遠の騎士の……名前は忘れたけど、やつらはどうした。

 なぜ俺んとこの久遠の騎士だけゴリゴリ仕事してんだろ?

 もしかして俺だけ久遠の騎士の使い方間違ってたりしないよね? まさかね?


「そのまさかだと思うなー。久遠の騎士って普通さ、護衛、索敵、情報収集に活用して、最悪自分の代わりに戦ってもらうってのが久遠の騎士のご利用法なんだよ?」


「う? うん。だから俺もこうして護衛してもらって、周囲に厄介ごとはないか見張ってもらって、できればそれを避けるよう対策してもらい、俺が行くにあたり大丈夫そうな道を探してもらって行動、それから俺の代わりに面倒ごとと戦ってくれる。そうだろ、アーシュレシカ」


「はい。我々はセージ様の為にあらゆる方面からセージ様の心身の安全をお守りいたします」


「ほらー」


 俺の思う「心の安全」に対しての久遠の騎士たちの貢献は結構低めだけど、丸腰よりはいいと思っている。俺の心の安全に対する貢献度は今のところシロネ氏が最高峰である。


「基本戦闘特化型の人形なんだよ、久遠の騎士って。その騎士にメイドや農業や雑用させるって宝の持ち腐れもいいとこじゃない?」


 前にも言われた気がするけど今更さ。

 というか、きちんと魔物対策もしてもらってるから本来の久遠の騎士としても活躍してくれていますよ。

 農地の周辺とか。食肉として魔物を狩るとか。

 そもそも戦闘力だけで言えば久遠の騎士よりシロネとシュラマルとティムトとシィナのほうがすこぶる高い。そしてシロネは久遠の騎士など屁でもないくらい愛想がいい。俺は自家製の防御系のスキルでなんとかなるし。

 となると足りないのは対人面での面倒ごと対策の人員だけで、その人員を補うための久遠の騎士だと俺は思っている。

 人との交流などくそ食らえ精神があるなら周囲を久遠の騎士だけで固めてもいいけど、俺はそこまで鋼の精神は持ち合わせてないのでシロネさんには助けられている。あのコミュニケーション能力の高さよ。俺が記憶を持ったまま来世を迎えてもコミュニケーション能力に関してシロネさんに勝てる気がしねえ。


「いいんだよ、マモル」


 へらりと微笑む。

 俺は愛想笑いでこの話題を乗り切ることにした。届くだろ、この思い。

 ……マモルからしらけた視線を受けた。気にすまい。


「……」


 ……。


「マモル、南大陸が見つかったみたいだぞ!!」


 見よ、俺の本気。

 マモルが読んでいた本を横に置いて、こちらに正面を向け目をすがめ、両膝に両肘をつき、口の前で指を組み、聞く姿勢に入った。


「……」


 誰か助けて。

 視線を泳がせると、報告をしてくれたアーシュレシカがまだいた。

 当然一人じゃ怖いのでアーシュレシカに声をかけた。


「あああアーシュレシカさんや」


「な、なんでしょうか、セージ様」


 声が震えた。俺の声の震えにアーシュレシカも動揺したか。

 たぶんこのとき、俺とアーシュレシカは緊張を共有した。

 どうしよう。もしかしたらこれから、普段痛みもしない頭痛が痛くなるかもしれない。


「さきほど南大陸を発見したと言ったが、詳しく報告してくれないかな。そこのマモル氏にも詳しくわかるように。えーと、そう、あれだ、詳しい詳細というやつを」


「承知いたしました。詳しく細かな詳細ですね」


「そう、それだ」


 どうか頼む。よきにはからってくれ!

 俺は心の中の仮想シロネ神社にこの場を切り抜けられるよう、切にかしこみもうした。


 詳細を話すアーシュレシカと、それを真剣に聞いてる風味を出す俺を、茶番を見るかのように眺めるマモル。

 その正解が小憎い。

 真剣になりきれない、特に興味もないくせに興味ありげにする俺はまるで道化のよう。

 ……なんか歌ができそうだな。ふんふんふんふんふふ~ん。


「で、セージはどう思う?」


「ええ?」


 当然聞いてなかったので、急に話しかけられても対応できない。しかも話しかけられた内容は何かを問う感じのやつだ。答えねばならない系の。


 焦っているところに神が現れた。

 ドタドタと走ってきてバンっといきなり扉を開け、元気よく声を張る神が。


「おい聞けよ! 南大陸だぞ! 超南国! 熱帯雨林だってよ! ジャングルじゃん! 冒険しかないだろ!」


 蒸し暑苦し大変そうなワードがもりもり。

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