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第二章 交錯 第九話「別々の依頼人」

数日後、江戸川探偵事務所に、思いがけない依頼が舞い込んだ。

「実は……主人の身辺を調べてほしいんです」

依頼人は、この地方で古くから続く旧家の関係者だった。名前は明かさなかったが、話しぶりから、樋口家に近い筋の人間らしいと安藤は睨んだ。

「最近、主人が妙な外国人と接触しているようで。何か、家の言い伝えに関わることらしいのですが……」

一方、工藤の元にも、横浜時代の伝手から連絡が入っていた。

「工藤くん、例の件、進展があった。イスラエル大使館関係者が、極秘裏に岐阜方面へ移動しているという情報だ。目的は不明だが、おそらく歴史的な調査案件らしい」

秋月がその話を聞き、腕を組んだ。

「杉原記念館、位山、樋口家……全部繋がってきたな」

工藤は窓の外を見ながら、静かに呟いた。

「休養のはずが、とんでもないことになってきましたね」

「言っただろ、お前は絶対無理だって」

秋月は呆れながらも、どこか楽しそうだった。



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